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たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『木靴の樹』シナリオ(3)

2015年01月24日 22時39分03秒 | 映画『木靴の樹』
1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。


計量の日(朝)

 鐘の音。粒状のトウモロコシを袋詰めにするバティスティと、それを手伝うミネク。

バティステイ
「しっかりもて、ひろげてはしっこを持つんだよ」

 袋を荷馬車に積み、ミネクも荷台に乗せると、バティスティは馬に話しかけて出発し、石門を出る。アンセルモ爺さんとペピーノ、フィナールと次男が続き、朝もやの中、3台は地主の屋敷へ向かう。幼いベッティーナやトゥーニまで馬車に乗せてとせがむ、にぎやかな朝。


地主の屋敷・2階
 地主が新しい蓄音器をいじっている。そこに管理人が入って来る。

管理人
「 とうもろこしの計量日です」

地主
 「お前がやれ。あとで勘定する。(使用人のローザに)家内に来るように言ってくれ」



地主の屋敷の庭
 農夫達が荷馬車で続々と集まって来る。


村道
 道すがら、フィナール親子が重量を増やすために、荷馬車に石ころを積み込む。

フィナール
「(次男に)早く!早くしろ、みつかる!」



地主の屋敷の庭

管理人
「次の者!早く!(フィナールの馬車がくる。)12と少々・・・13キンタル。(フィナール、ほっとする)袋をそこへ並べろ。もう少し前へ・・・前に出て袋をおろすんだ。鷲鳥みたいに歩くな。袋に気をつけろ、破けるぞ!」
 突然、2階の窓から朗々たるオペラ、モーツアルトの<ドン・ジョバンニ>の歌声が流れてくる。


地主の屋敷・2階
 地主が得意気に、妻に蓄音機を聴かせている。

地主の屋敷の庭
 農夫1「おい、なんだ」
 農夫2「静かに」
  全員が驚いてつっ立ったまま2階の窓をみつめ、歌声に聴き入っている。