中国がダメならインドがあるとインド投資を考えている日本企業が多いが、課題は多く、その一つが労務問題だ。
最も早く進出したスズキのインド現地企業の暴動が解決はしたが、その原因について、会社側はテロと言い、現地州政府や警察は労使関係の齟齬と食い違いを見せている。スズキが企業内組合との労使関係を築いてきたところに、インド伝統の産業別組合がスズキの新工場に組合を結成しようとして労使紛争になったのが事の発端であることは間違いない。
最近のニュースでは韓国現代自動車のインド工場(チェンナイ近郊)での労使紛争だ。2007年労働組合が結成されたが、会社が労組を認めず、2008年には組合関係者を解雇し、労使関係は悪化。労組に所属する従業員の一部は2012年10月30日から4回のストライキを実行した。その大きな原因は会社がこの共産党系ナショナルセンターCITUの属する組合に対抗すべく、昨年5月に新労組を結成させ賃金協定を締結したことだ。
タミールナドゥー州議会の議員でかつ労組名誉会長の要請で州政府が労使紛争の解決に乗り出し、ストは中止したが現代自動車インド社は政党のバックアップを受けている労組は認めないと強行で解決に至ってない。工場を移せと言う声さえ上がっている。
インドには永年与党の国民会議派と密接に関係ある最大ナショナルセンターINTUCがあり、企業内組合にこだわらす、この組織の産業別組合に組織された組合との良好な関係を築くことが労使関係安定への道だ。もちろんかつての宗主国英国の組合の影響を受けているので労使協調などとは行かない。厳しい団体交渉、場合によってはストもありうる。