国際労働財団で招聘したアジアの労組リーダーから各国の最低賃金についての報告があった。各国様々でお国の事情が反映されている。どこの国でも共通しているのは最低限生活が出来る賃金living wageを目指し、タイやインドネシアでは来年度の最低賃金はこれまでになく大幅に改定され労働者にとっては幸いだ。タイは政府主導で、インドネシアは労働組合のゼネストを含む圧力で達成された。
2013年、タイは全国一律日額300バーツ(750円)、インドネシアは各州、地区、市によって自治体が定めるがジャカルタ、ブカシ地区は月額220万ルピー(18700円)その他の地域は今後それを反映させたものにして行くと労組リーダーは言っている。
ヴェトナムは公務員・公共セクターと民間・外資企業の2本立てだが民間・外資は地域によって5段階でかつプラスαが許容されるという複雑な構造、公務員・公共セクターの最低賃金が民間・外資の最低ランクに据え置かれているのはかつて官舎、光熱費が国負担というなごりで今でもその慣習が残っているからだ。公務員・公共セクターの最低賃金は全国一律で2012年月額105万ドン(4100円弱)、民間・外資の最低賃金は最も高いハノイ地域で2百万ドン(8000円弱)。
マレーシアはようやく今年最低賃金制度が導入され、2013年1月から発効される。マレー半島が月900リギット(24000円)、サバ、サラワク島が月800リンギ(21000円)で、平均賃金の約半分の水準だ。それでも4500社以上の企業が実施の延期を求めている。組合としては妥当な水準と評価している。
フィリピンは最低賃金制度があるが1000以上の最低賃金がある上、10人以下の企業は対象外といった例外が多く、実効性に疑問が残る。首都圏だけでも2012年農業は日額409ペソ(819円)、非農業日額409~466ペソ(932円)
最低生活費がいくらか?ということから最低賃金の根拠を求めているが、人間らしい生活には何が必要品目かで議論が分かれる。インドネシアでは通信費が入っていないので労組は組み込むよう要求している。タイでは当然のように御布施が入っている。