行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

2013春闘定期昇給だけで良いのか?

2013-02-19 18:26:44 | Weblog

春の交渉も3月中旬の一斉回答にむけて開始されたが、先日電機労使トップのコメントが朝日に掲載されていた。その中で、日立製作所の労働担当常務(労担とかつて言ったが今は死語なのか変換不可能)は「労組側は賃上げをしてないと言うが、定期昇給などの賃金体系維持は実質的な賃上げにあたる。一律に年齢に応じて給与が上がっていくことが働き方としてふさわしいとは思わない」と言っている。

定期昇給は個人にとって見ればまさに年齢に比例して定期的に上がるので月2000円とか3000円とかのレベルだが賃金は増える。しかし、会社にとっては原則賃金総原資は増えない、実質、賃上げではないのだ。毎年必ず退職者がいるから、新入社員の昇給は退職者のそれと相殺されるからだ。団塊の世代のような社員層が固まっている時には賃金原資がよけい必要になるのでそのような原則論は通らないが。現在のように卒業生が多く、若い人が少ない社員構成の古い大企業では定期昇給をしても賃金原資がうくことになる。

以上のことは賃金論のイロハで、労担であれば良く認識していると思うが上記のような発言をする真意は何なのか気になる。デフレが長く続き、ベースアップ無き時代が労担をもとにかく賃金を削れば利益増に貢献できるという錯覚を起こさせてしまったのではないだろうか。それで社員はやる気を起こし、利益増へ邁進出来るのだろうか?

1997年をピークに毎年賃金が下がってきた現実を見ると、年功序列賃金体系はデフレ時代に相応しい賃金体系で、企業の内部留保を貯め込むのに寄与したのではないかと思わざるを得ない。

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