英国では、1991年までは生産性の伸びと賃金の伸びは同じであったが、それ以降は米国と同じく生産性の伸びが増加したにも拘わらず、賃金の伸びは停滞ている。フルタイムの労働者の実質賃金で見ても20年間年26000ポンド前後の凍結状態で、この点は日本とよく似ている。最近でも2011年の大企業100社(ロンドン証券取引所FTSE)における管理職給与は平均49%上昇したにも拘わらず、一般従業員の賃金は2.7%増に止まった。
この背景は、この5年間で見てもフルタイム雇用が34万人減少し、パートタイム雇用が66万人増え、失業者が85万人増えるという労働市場の変化がある。この流れは今年も公共支出830億ユーロ削減の具体策で、公共部門55000人カット、公共サービスの民営化(アウトソーシング化による)、福祉予算の40%カットで加速される。
英国労働組合会議(TUC)としては、かつて4割近くあった組合組織率が26%まで低下し、特に民間企業の組織率は15%まで落ち込んでいるので、先ず組織率回復へ全力を注ぎ、リビングウェッジ(生活賃金)キャンペーンを開始すると言っている。同時に、アマゾン、グーグル、など税金を払ってない先端企業から徴税するキャンペーンにも参加する。