韓国の珍島沖で起きた客船「セウォル号」沈没事故は若い高校生を中心に死者・行方不明者304人を出した大惨事となり、建国以来の沈鬱な空気となっていると報道されている。日常的に行われてきた法違反の過重積載、避難誘導の訓練もされてなかった船長や乗組員,いずれも経営者による人災で、船長ら4人を殺人罪で起訴したところで根本的な解決にはならない。また監督官庁の監査が甘かったという行政の人災が重なって、韓国国民の怒りは大きい。
トルコでは13日、一酸化炭素の爆発による炭鉱事故で301人の労働者が犠牲となり、史上最悪の惨事となった。かねてよりソマでは炭鉱事故が頻発し、労働組合や最大野党の共和人民党(CHP)などは4月末、問題視し、国会で調査委員会設置を求めたが、エルドアン政権が拒否した経過があり、これも行政による人災だ。
昨年の4月に起きたバングラデッシュの繊維工場ビルの崩落で1138名の若い労働者が犠牲となったことは記憶に新しい。事前に建物にひびが入り、危険を指摘されながら操業を続けた経営側の人災であり、安全査察の時には普段は塞がれている非常口を確保するなど、手の込んだことをやって事故の犠牲者を増やした。1年経って,ようやく補償の話がスタートするという無責任さにはあきれる。
いずれの事故も、人命より利益を優先させた人災であることが共通している。日本でも我々の周囲でそうしたことが起きてないか、政労使は安全第一を再確認だ。