政府は28日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、専門職を中心に週40時間を基本とする労働時間規制を外す方針を決めた。首相は、働いた時間ではなく成果に給与を払う第一次安倍内閣でつぶれた「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入に執念を燃やしている。集団的自衛権の導入への思い入れと同じだ。
厚労省はディーラーなど高度な専門職に限って導入をするといっているが、企業経営者からなる民間委員は首相と伴に職種拡大を狙っている。言い分は年間労働時間に上限を設け、かつ有給休暇の取得下限を設けることで長時間労働は避けられる。また労使の合意や本人の同意を前提とする。など、条件面の整備を挙げている。
連合をはじめ、労働組合はホワイトカラー・エグゼンプションは残業代ゼロ制度だと導入に反対して、昨日は日比谷公園で大集会を開催した。派遣労働法にしても最初は職種を13に限定し、当初製造業には拡大しないという国会決議もしたのに、その後職種がどんどん拡大し、最後はネガティブリスト化(対象職種限定でなく、やってはいけない職種のリスト化)になって派遣切りが社会問題となった。まして最近はブラック企業という法自体を守らない企業の続出で企業への不信感は強い。
今回の議論で疑問を感じるのは労働時間に上限を設けるから大丈夫だという推進派の学者の論で、時間管理を外すホワイトカラー・エグゼンプション対象者の労働時間をどうやって把握するのだろうか、対象職種は多分ネガティブリストとすることになるのだろうが、企業側は経理・総務にまで対象を広げたい意欲のようだ。また、居酒屋チェーンなどサービス業のように店の営業時間が決まっている職種はネガティブリストに入れると言っているが企業側は納得するのだろうか
米国のようにホワイトカラー・エグゼンプションの選択は本人の同意と言ってるが、契約意識の高い米国のように本人の意志が反映されるのだろうか、何となくホワイトカラーの労働時間が長いから生産性が日本は低いのでホワイトカラー・エグゼンプションの導入で生産性を上げたいという企業側の意向が表に出すぎている。現状の労働環境のままで導入すれば、手品でも使わないかぎり労働時間はそのままで残業代がゼロになるだけだ。
企業現場の問題点は多く、実験的に導入するなど、時間をかけて検討すべきだろう。