行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

利休を訪ねよ

2014-05-21 23:56:21 | Weblog

山本謙一作「利休にたずねよ」はこれまでの利休像を大きく変えるものであった。わびさびの枯れた茶人というイメージが艶かしいたくましい男へと変わり、興味深い時代小説となっている。所用で京都を訪れる機会があり、利休の足跡を訪ねた。

利休の最大にして最期の危機を招いた大徳寺を訪れた。秀吉が通らされた山門は巨大で朱色が年月でくすんでいた。肝心の利休の像は公開されておらず大きな山門を見上げるのみであった。

大徳寺は信長の葬式を秀吉が取り仕切り、天下人へのスタートを切った寺だけに敷地内には多くの大名が寺院を建立している。公開しているのは少ないが当時の庭園や狩野派の絵画が見られ、かつ各大名が利休の弟子だったゆえに利休好みの茶室も見聞できる。古いものだとにじり口がないものもある。青かえでの鮮やかさは秋の紅葉の見事さを想像させる時期であった。

利休との関わりで、鷹ヶ峰の光悦寺を訪れ光悦垣と云われる竹垣をみた。写真とは違い本物はがっちりとした大きくてダイナミックな曲線を描いていた。

今回の主目標は東山の野村美術館で、6月8日まで利休縁の展示物があると聞いた。瓦屋長次郎に茶碗を造らせた経緯は「利休にたずねよ」の中の秀作で、あくなき美への追求の一例だ。その長次郎が焼いた茶碗と利休がこだわって創った竹花入れ、利休自筆の軸や手紙、珍しい秀吉の大茶会成功を喜ぶ狂歌、など京都ならではのお宝の数々

 

 

 

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