何年か前、iPhoneが出てきた頃、ある大学の先生が最近、講義では私語がなくなり静かになったと思ったら、学生はスマホに集中していたと嘆いていた。ところが今日日、東海大学の小泉眞人教授は「広報・広告論」の講義で、そのスマホ自体を利用するという教授側の逆襲を演じている。つまり学生が所有しているスマホを使った双方向講義を実践しているとのこと。学生は、講義中に手持ちのスマホでアンケートに答えたり、質問、意見などをリアルタイムに発信したりでき、かつその内容は、講義室前面のスクリーンで、全員が共有できるようになっている。いつの間にか、講義に引き込まれ、授業に参加してしまう仕掛けだ。
大学、高校ではこのようにうまくスマホを学習の手段にすることは出来ても、小中学生だと全員がスマホを持てるわけではないし、Lineによる虐めも出てきているのでので、学校にスマホの持参を禁じたり、登校時に別保管したりして弊害をなくそうとする試みがなされている。
先日、現役の後輩とゴルフをやったら、私以外の3人はスマホ持参でラウンド、ひっきりなしに通話したりメールをやりながらのゴルフで、ゴルフ場の風景も変わってきた。電話では即時に決断しなければならない事態もあり、グリーン上では間違った判断もやりかねない。要する重要な案件でも慎重に時間をかけて検討したり、逃げたりすることがやりにくいのだ。会社によってはGPS追跡ができるようにスマホを支給し、即時に連絡が取れ、ビジネスが早くなることは結構だが、充分なデータもない出張先での判断に落とし穴がなければ良いが。
それにしてもスマホのインパクトは大きく、どこまで社会を変えるのか誰も予想はできない。電車の中でも、歩行中でも、はては自転車に乗りながらもスマホの画面を見ているのを見ると、人間のスマホ化が進むのではないかと危惧せざるを得ない。