行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

景気はほんとに回復しているのか

2015-07-01 18:49:09 | Weblog

日銀が本日1日発表した6月の短観は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス15だった。前回の3月調査(プラス12)から3ポイント改善した。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。ところが中小企業で見ると製造業が1ポイント悪化のゼロで非製造業は1ポイント改善のプラス4だった。中小企業の3か月先行きは製造業が横ばいのゼロ、非製造業は3ポイント悪化のプラス1だった。これを受けて政府は景気は良くなっていると見ているが信じがたい。

他の直近の指標を見てみると
6月29日、経済産業省は独立行政法人中小企業基盤整備機構が全国の中小企業を対象に四半期ごとに実施している「中小企業景況調査」の結果を公表した。2015年4~6月期の全産業の業況判断DIは、前期差0.9ポイント悪化のマイナス18.7となり、2期ぶりにマイナス幅がやや拡大した。
また5月鉱工業生産指数速報は前月比2.2%低下となり、事前予測を大きく下回った。自動車の在庫積み上がりが解消していないことや、スマートフォンの世界的需要悪化から電子部品の生産も減少したことが影響した。

6月30日、厚生労働省が発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の変動を考慮した実質賃金は前年比0.1%減となり、25カ月連続でマイナスとなった。減少幅は2カ月連続で0.1%と小幅にとどまった。景気に敏感な所定外給与は前年比1.6%減で3カ月連続で減少し、総実労働時間も前年同月比2.7%減で、時間外労働時間が減少していることを示している。これでは節約志向となり、円安で物価が上がっていることを考えると消費増には結びつかない。

昨年来論争になっているが、円安が日本経済にプラスになって株価を押し上げ、資産効果やインバウンドによる消費増という図式も肝心の中小企業を含め国民全体に及ばず息切れしている状態ではないか。日経新聞の世論調査(29日発表)でも、景気回復を実感してないという率が75%に達している。管官房長官は「アベノミクスの成果が反映されてきている」などと脳天気なことを言っているが・・・

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