レイムダックとか不人気だとか言われてきたオバマ大統領、特に外交では中国への弱腰やISISを跋扈させた中東政策で批判を浴びてきた。しかし、キューバとの国交回復、イランとの核をめぐる交渉での仕上げは永年どの大統領もなしえなかっただけに歴史に残る快挙だ。
キューバ危機は1962年ケネディ大統領の時期、ケネディはカストロ政権を倒そうと反乱軍を組織したがキューバ国民の支持を得られず大失敗、反動でキューバがソ連にミサイル基地を提供したのに対抗してキューバを封鎖し、キューバ周辺でソ連の軍艦を臨検し、潜水艦に爆雷攻撃をした。時は冷戦の真っ最中、ソ連潜水艦は核弾道を装備したミサイルがあり、核戦争もありえ、世界が固唾をのんで注目した。当時私は大学2年、米国国民が核戦争に備えて買い出しをしているなどと聞いたが。日本では高度成長の真っ最中、皆楽観的だった。フルシチョフソ連書記はソ連艦を引きあげ、その後キューバから核ミサイルを撤去し、核戦争は回避できた。それ以来米国とキューバは国交断絶、しかも経済制裁を続けてきた。日本もそれにお付き合いをしてきたわけだ。
1978年イランの親米パーレビ国王政府がホメイニ革命で倒され、介入に失敗した米国は新政府より大使館員人質という予想外の反撃にあう。更に大使館員救出に向かった特殊部隊が作戦に失敗、全滅し、米国民はイランへの怒りをつのらせた。在イラン米国民間企業の中には私兵を雇い社員救出に成功した例もあった。その後核疑惑でイランは国際社会から制裁を受けるが、米国のイランへの恨みが根っこにあり和解の道は遠かった。今でも共和党の中には和解を受け入れない議員がかなりいる。日本は石油の大供給源であったイランを失い、投資してた多くの企業が損害を被るに至った。これから日本は石油の安定確保と価格低下の恩恵にあずかることになろう。
オバマ大統領の決断を大いに称えたい。