行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

「愛を積む人」若い人に見て貰いたい

2015-07-19 22:04:54 | Weblog

台風豪雨の日、久しぶりに昭島MOVEXで映画を見た。最近東京から年寄りを地方に移そうという話題が取りざたされているが、この「愛を積む人」は鎌田の工場をたたんで日本で最も美しい村と言われる美瑛に移住し、物語の舞台となる絵を描いたような例だ。英国人と思える外人が住んでいた瀟洒な別荘を買い、妻の希望で野菜園の外周に石垣を積み美瑛の景色を背景にした美しい風景はうらやましいかぎりだ。

引退後の安穏な生活は妻良子の心臓病で暗転、病を知らなかった夫篤史は突然の妻の死で生活は荒れる。夫婦には一人娘がいるが娘の不倫をきっかけに篤史とは絶縁状態だ。1人残された篤史は庭師見習いの若者徹とひたすら石を積んで石垣を完成させる。徹は口べたでなかなか篤史に馴染めないが、ある事件をきっかけに恋人の咲英と伴に篤の身の回りの世話までするようになる。ここでこの映画の小道具が登場する。妻が生前したためていた手紙を篤が見るであろうアルバムや真珠の首飾りの入っている宝石箱とかに潜ませていてそれを篤が発見し、物語が展開する。もう一つの小道具が真珠の首飾りで、篤が妻に毎年誕生祝いに一粒の真珠を贈り、30年で首飾りができていた。妻の葬式後、それを娘に届け、和解するが、それは妻の手紙による願いでもあった。

もう一つの物語は徹と高校3年生咲英との恋愛で、妊娠してしまい咲英の怒った母親は堕胎を迫る。しかし咲英はどうしても産みたいと決意する。徹は篤史に説得され咲英の実家の牧場に行き、咲英の継父熊二に結婚を懇願する。熊二は徹を殴るが、土下座する徹を見て、1年間牧場での修行を条件に赦す。強行だった咲英の母親も継父である熊二の寛容を受け入れ孫の誕生を喜ぶ。最後は石垣の完成祝いに全員が集まることになる。

この映画は引退後シニアの夫婦愛が主だが、不倫した娘と父親の葛藤と親子の愛、また高校生の妊娠といった事態に大人達が真正面から向き合い、若い二人の愛が貫かれる。石が積まれ石垣ができるとそれぞれの愛も積まれる。是非若者にも見て貰いたい映画だ。それにしても美瑛の四季の景色は美しくもうちょっと見たかった。

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