NHKの世論調査によると、安倍内閣を「支持する」と答えた人は先月より7ポイント下がって41%で、「支持しない」と答えた人は9ポイント上がって43%でした。第2次安倍内閣の発足以降、初めて「支持しない」という回答が「支持する」を上回った。その原因は経済政策では半分が支持をしているが、採決を今週しようと目論んでる安全保障法制にある。調査では集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備を進めていることを評価するかどうか聞いたところ、「大いに評価する」が8%、「ある程度評価する」が24%、「あまり評価しない」が31%、「まったく評価しない」が30%で、他の世論調査と変わらない。
審議をつくしたというが、安倍首相の答弁は「集団的安全保障は違憲ではないと確信している」の一点張り、何故今憲法解釈を変えるのか国民には判りにくい。これまでの歴史を見ると、政治家が軍備を拡大する時は必ず危機感を煽ってきた。安全保障関連法案を審議する衆議院の特別委員会は13日、中央公聴会を開き、それぞれの公述人からは、安全保障上の観点から法整備が必要だという意見が出された一方で、法案は憲法に違反しており廃案にすべきだといった意見が出された。与党の学者の中には中国の軍拡やテロリストの暗躍で国際情勢は変わったと危機感を主張する人もいた。
しかし、シニア国民には冷戦時代と今とどちらが危険なのか判断に迷うところだが、中にはもう米国は日本を守ってくれないという危機感を煽る人もいる。今回の集団的安全保障は米国から要求されたものでなく、日本が発案したものだ。当初米国も戸惑い安倍首相が米国議会でよいしょ演説をしてからようやく本気になってきた。新3要件などかなり限定してきたが、その曖昧さが不安を呼ぶことになる。
本日の中央公聴会における意見陳述の中、山口二郎教授の次の陳述で、国民がこの安全保障法制に対して何故評価しないのか私にはすとんと来るものがあった。
「米中関係自体が決してうまくいっているわけではないが、両国は戦争は何としても避けるという前提で、粘り強く対話しようとしている。それに引き替え、日本は中国との対話や相互理解はそっちのけで、自国が武力行使をする可能性を拡大すればより安全になると主張しているのは、政治的に稚拙である」