行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

GDP600兆円計画は岸内閣と池田内閣をなぞっている

2015-10-08 22:23:20 | Weblog
安倍首相の新3本の矢は祖父の岸内閣での安保改定に次ぐ池田内閣の所得倍増計画をなぞるものだ。しかし後に述べるように当時の状況とかなり違う。国論を割り、安保改定を強行した岸内閣は退陣、混乱した国内を沈静化するため国民に新たな目標を示したのが池田内閣の所得倍増計画だった。当時国民は月給2倍になると聞いて半信半疑、池田内閣のブレーンの下村治氏が疑問を呈するエコノミストを論破、結果は10年で倍増どころか4倍増となった。
安倍内閣は安保法制を強行し、支持率が一気に下がった。そしてニューヨークの記者会見で安倍首相は経済経済経済と3回叫んだという。岸→池田内閣への政策転換をなぞり同じ内閣でやるべくGDP600兆円を柱に据えた経済成長戦略が新3本の矢だ。政治から経済へという政策転換で支持率回復をねらうが当時の状況と大きく違い成長戦略が上手く行くとは以下の理由で信じがたい。
 
1,池田内閣のブレーンには下村治博士がいたことだ。当時私は経済学徒だったが歯切れの良い理論にしびれたものだ。安定成長論者は国際収支の天井を意識していたが、下村氏は自動車産業だっていずれ輸出産業になり、国際収支は黒字になると喝破していた。
2,今回の安保法制は日本の軍事力負担を増し、財政に負荷をかけるが、60年安保では日本の軍事力負担を増やすことはなく、投資は生産力増強に集中できた。安保改定で日本は防衛コスト増を押さえることができたのだ。米国にそれだけの力があったとも言える。
3、人口9000万労働力は4500万で人口増の時代、若い労働力が豊富にあった。いまや人口減少社会に突入した。
 
もちろん当時より日本経済は巨大化しており、世界トップの技術力を背景に日本商品の質の高さと信頼性の高さは現在の方がはるかに勝っている。また当時よりはるかにインフラは整っており、街の清潔さは世界でトップクラスで、当時は考えられなかった観光客が押し寄せるようになった。5年後に600兆円を目指すのであればこの現在の優位の状況を利用することしかないだろう。
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