行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

TPP大筋合意、消費者の視点が欠けている

2015-10-16 22:58:17 | Weblog

TPPの合意内容大筋といわれ、小出しに徐々に公開されてきたが、まだ良いのか悪いのか正直判らない。米国では新薬の特許が8年では短いと大手製薬会社が議会に圧力をかけ12年以下なら合意するなと政治資金をちらつかせている。自動車産業労使の圧力でヒラリー・クリントン大統領候補者は雇用を生まないと反対している(初めからこんなことは判っていたのに、今時アメ車を買う人いるかな)

日本では相も変わらず農業が焦点で、米、肉、酪農品など重要5品目は守ったと胸を張っている。しかし、後ほど明らかになった野菜、果物類は結構関税ゼロ品目が多く、野菜、果物農家を中心に対策費を要求している。かつてウルグアイラウンドという自由化交渉で農産物関税化を目指したが、日本は米、麦、酪農品など自由化を認めず高率関税とミニマム輸入枠をセットにした現在の制度の枠組みで妥結した。それでも農業関連議員は合意の影響を緩和するため対策費として6兆円ものつかみ金を取り込んで、農業農村整備事業(土地改良事業など)に用いられた。しかし、その殆どは色々な建物や施設に使われたが、多くは朽ち果てているか使っていないといわれ、当然農業の国際競争力にはほとんど影響ない。農業経営者の平均年齢65.8歳、耕作放棄地が40万ヘクタール、ほぼ埼玉県の面積に匹敵するこれが現実だ。金を使うなら農業の構造改革に使うべきだ。

日米ともに、声の大きい生産者を重視し、消費者の立場はないがしろにされている。野菜の自由化は良いけど安全性を誰がどういう方法で担保するか明らかではない。ワインの関税がなくなるのは良いが、チーズやバターは依然国家貿易品として関税がなくなるのは16年後のようだ。米国で問題になっている新薬の特許期間、クスリが安くなれば日本だけでなく途上国の医療費が節約できる。いずれも消費者の視点を政治家は意識的にスキップしている。従って世論調査ではTPPを概ね評価しているが、自分たちの生活にプラスという比率が低い結果となっている。

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