昭和40年代、私が就職した頃は、大方のデパートや商店は元旦はもちろん、3日まで休みだった。家電商品の初荷は5日前後、メーカーの営業所にいたので、販売店を回って形式的に軽い蛍光灯などを届け、販売店で祝い酒を振る舞われ、この日だけは酔っ払っての帰社が許された。大型店時代となると、大晦日に出荷が多くなり、伊達政宗が始めたという仙台の正月営業のごとく、デパートもショッピングモールも元旦営業が始まった。
昨今の働き方改革の号令で、今年は元旦休業するデパートや全国チェーン店が増えてきた。近所のはやっているラーメン屋は3が日休業だった。しかし、前述のごとく、昔は正月は休みだったのだから働き方改革でなく、これは働き方が元へ戻ったのではないだろうか?勘違いしてもらっては困る。
大晦日の新聞で「2億円事件」という見だしで全面広告を幸楽苑がだした。読んで笑ってしまった。大晦日の15時から元旦まで休みますという広告だが、売上げ2億円を犠牲にするという内容だ。犠牲にしても従業員の働き方改革を行うという宣言広告だ。日本の多くの経営者の感覚はこうした「休業=売上げ減」というもので、従業員が有給休暇を取りづらいのもこうした感覚が根底にあるからだ。もちろんゾゾタウンの前沢社長のように、働き方は従業員の自主性を重んじるという若い社長も出てきたので、将来は明るいと思いたい。
前掲の広告にも元旦には頑張っている社員にも「幸」せで「楽」しい時間を。と触れているが、働き方改革は従業員が「やりがいを感じ、幸せになってもらう」ことで、それにより生産性が上昇につながることを肝に銘じてもらいたい。