中国にはかつて仕事で度々訪れ、中南海の首相官邸や人民大会堂で多くの要人と交流を深め、北京だけでなく桂林、西安、杭州、南京、上海等、美味しい料理で乾杯を重ねた良い思い出ばかりだ。ところが習近平政権になってからこの国は大国を振りかざし、香港では狂気を感じる弾圧を始めた。
2019年の選挙で民主派が8割超の議席を獲得した区議会に危機感を深めたためか国家安全基本法を1年前に制定し、香港当局は中国政府への批判的論調で知られるリンゴ日報創業者の黎智英氏らを同法違反容疑で逮捕し、同紙の関連資産を凍結。香港を代表する主要紙は、6月24日付の発行を最後に廃刊に追い込まれた。国安法により中国や香港政府に対する忠誠宣誓の義務化と違反者の資格剥奪が決まり、民主派の議員を失職させることになる。
香港は1997年イギリスから中国に返還され、一国二制度の原理の下、1997年7月1日に最初の特別行政区になり、50年間民主主義が公約されたが24年目にして反故にされた。今香港人は恐怖の毎日を送っている。中国の狂気は南シナ海におけるフィリピン領海での200隻停泊や尖閣諸島への侵犯、そしてその矛先は台湾に向かっている。しかし台湾は香港の現状を見れば米国に頼らざるを得ず、習近平の大きな誤算となった。
狂気と言えば、先週開催されたトランプ元大統領の集会を伝えるテレビ放送。トランプは未だ大統領選挙は自分が勝利したとバイデンを罵る演説、集会参加者は大部分が白人で、トランプに熱狂する若い世代の眼には狂気が感じられた。