行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

「おもてなし」という不思議な言葉

2011-05-10 23:11:30 | Weblog

先日NHKで岩手を元気づける趣旨か朝ドラの続編どんと晴れを2日間に渡り放映した。テーマは徹底的に目に見えないおもてなしであった。朝ドラに出て来るような高級旅館を利用しないのでやや理解不足の感があるが、30年ぐらい前には旅館に泊まると仲居さんにいくらチップを上げるか頭を悩ませたものだ。それがサービス料という名目でホテルも旅館もレストランまでも10%程度勘定に含めて強制的に取る制度になった。

チップで頭を悩ませる必要がなくなったが、良いサービスでも悪いサービスでも払わなくてはならないという矛盾を感じる。欧米ではまだチップ制度で、ウエイターの接客態度で払わないこともあるし、遅い時間でも快く料理を出してくれたレストランではチップをはずんだこともある。日本の旅館では2食付きの料金にも拘わらず遅く着くと火を落としましたで終わることもあった。慣れるとチップ制度は合理的だ。

こんな経験をしていると、目に見えないおもてなしと言われると考え込んでしまうが、強いて言うと日本と外国のホテルやレストランのサービスの違いは先ず笑顔にあるのだが、日本ではお客の立場に立って考えるということからおもてなしが出てくるのだろう。欧州ではお客もホテルマンもウエイトレスも対等の立場でサービスを提供してそれを買うということになる。ただそれが限度で、日本の場合、お客の立場に立てば、通常提供するサービス以外に有形無形のニーズが出て来る。それを満たすおもてなしの心が顧客満足度を高めることになる。

観光立国で外国人観光客に来てもらいたいという国策があるが、慣れない日本での観光ではおもてなしの心が基本だろう。それは外国にはない無形のノウハウで、それだけにマニュアルだけでは実行できない心の持ち方が必要だ。ドラマどんと晴れの舞台となった旅館のごとく若い人を先輩が時間をかけて辛抱強く教えることだ。
おもてなしを味わった外国人観光客はリピーターとなるだろう。

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サマータイム以上の標準時間変更を考えては

2011-05-08 22:31:00 | Weblog

欧州にこの時期行くと夜がすこぶる長いことは誰でも感じる。日本人は緯度が高いからだと納得する。そして欧州は3月の最終日曜日午前2時(=夏時間午前3時)から10月の最終日曜日夏時間午前3時(=標準時午前2時)までの期間サマータイムに移行している。

日本も同様サマータイムを実行すればかなり節電になると長い期間議論されたが、主に身体の調子が狂うという理由で実行されなかった。私は政治のリーダーシップ不足がその原因だと思う。今夏の電力不足では独自のサマータイムを導入する私企業が多くなりつつある。しかし全国的にやらないと極めて効率が悪い、例えば役所の営業時間とのずれ、また通勤ダイヤがそのままでは不便だろう。

今夏の電力不足はどのくらいなのかわからないし、民間のシェアが大きくなっている今日ほんとに15%も民間で節電できるのか極めて疑問だ。欧州に話を戻すが日本と同じ緯度のスペインにこの時期行くと、日本人観光客は日が暮れるのが9時過ぎでも欧州だからだと納得する。

日本でもスペインと同じ時間帯にしたらサマータイムどころではない節電ができるのではないだろうか?夜が明けるのが7時で日が暮れるのが9時過ぎとなり現在の日本標準時より3時間ぐらい時間をずらすことになる。朝涼しいうちに出勤、ネオンや街灯がともるのは9時過ぎ、仕事が終わっても新宿や銀座によらずにスポーツでもということもあり得る。

スペインのように夕飯が10時過ぎということにはならないだろうが、生活時間が大きく変わることで生活にどのような変化が起こるか不安もあるが、毎年1時間ずつ3年間で標準時間を遅らすことで激変は避けられるのではないだろうか。東経135度に拘る理由があるのだろうか。

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イスラマバード回顧

2011-05-06 23:17:49 | Weblog

オサマ・ビン・ラデンがイスラマバードの北70kmのアボタバードに2005年から住み、米軍に発見され殺害されたというニュースは大きな衝撃を世界に与えた。米国ではオサマの死体の写真やイラスト掲載を禁じたオバマ大統領の命令に対する賛否がやかましいが、一方でパキスタン政府や情報部に対する疑惑が俎上に浮かび上がった。オサマ家族が灯台もと暮らしができたのは何らかのパキスタンの協力があったのではないかという疑惑だ。

私は2004年にイスラマバードへ2回ほど出張し、イスラマバード近郊のダムや炭鉱、工場の労働安全衛生関連の技術支援を実施し、アボタバードの近くにも行った。その際、幅広く議会のトップや労使のトップと接触し話を聞き、生産性向上についての講演もその後テロで爆破されたマリオットホテルで行った。

その時の印象から、パキスタンという国の不思議さに魅力を感じた。英国の植民地からの独立はインドと同様で、しっかりした議会と政党があるが、一方で核兵器を持つ軍の力も巨大だ。国の名前にイスラムが付くくらい宗教には厳格で、多くの女性が黒いブルカを被る一方、上流階級のクラブでは華やかな民族衣装の女性が夜遅くまで食事を楽しんでいる。

北朝鮮への核技術の流失が闇の市場で行われ、カーン博士が巨額の利益を上げてもまだ彼は国民の英雄だ。大土地を所有する地主は自分の王国のように振る舞い、法の支配が及ばないこともある。貧困にあえぐ小作人は子供まで働かせる。オサマの隠れ家が大きいとか塀が高く有刺鉄線が張ってあるとか報道されてるが、イスラマバードでは日本大使館をはじめ各国大使館は同じような仕様の防護柵を構築している。

私が炭鉱を訪問した時、護衛の警官が4人も付いた。地方へ行けば山賊が出るので治安上大金持ちは防護柵を造り厳重な警戒をしている。だからオサマの屋敷は目立たず、しかもまさかのイスラマバード近郊なので、長い間見つからなかったのだろう。米軍ヘリが進入することも判らなかったのだからパキスタン政府や軍はオサマ邸宅に気がつかなかったと私は見ている。

イスラムの国だが、イスラマバード近郊にはガンダーラ文明時代に栄えた仏教文化のタキシラ遺跡があり、博物館(写真)には多くの仏像が展示されていて訪れると奈良にいるような静けさを味わえた。この国で多くのテロが起きてるとは信じがたい不思議な気分だった。

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昭和記念公園の牡丹とこもれびの丘

2011-05-04 22:42:51 | Weblog

春が短くなったのは世界的現象なのか、チューリップも終わりになり、今日は日本庭園の牡丹を見に行った。牡丹も終わりに近づいて、あでやかな姿も残り少ない。それにしても今日の公園の賑わいは記録的で園内を走る列車も待つ人の長蛇の列で驚いた。

混雑する日本庭園を後にして裏のこもれびの丘へ、期待通りの新緑が目にしみる。ここまで来るとさすがに人は少なく森林浴がのんびりできる

林の中に地味な花の群落があった。ホウチャクソウの群落だった。名前の由来は五重塔の屋根の四隅にさがっている宝鐸(ほうちゃく)に姿が似ていることからつけられたようだ。

目をこらすとさらに地味なふたり静かがひっそりと咲いていた

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福島第一原発事故海外メディアの総括

2011-05-02 23:06:55 | Weblog

当初、日本からの情報が少ないとクレームをつけていた海外のメディア、ここへ来て各種の情報を取り込み、今回の事故について総括的な報道をしている。その典型が4月27日のインターナショナル・トリビューン紙の第一面トップ記事で、今回の事故の原因は政官業と一部学者による癒着構造「日本原発村」にあると報じている。

規制の国日本で原発に対する規制が緩かった点を次のように上げている。第一に福島第一原発1号機のように30年経たのに政府は津波の危険性を指摘されながら安全性を東電の自注判断に任せ10年の延長を認めた(大震災の1週間前のこと)。またかつて東電の安全規則違反に対する処分も原発を維持することを優先にした緩やかなもので、会長や社長は辞任しても相談役で残り、役員の報酬カットでお茶を濁した。

これは癒着の文化の中で形成された「日本原発村」が背景にあると同紙は厳しく追及、経済産業省原子力保安院が規制当局でありながら、1959年から2010年までに経済産業省の上級官僚4人が連続して東電副社長に天下りをしており、、これは癒着の文化そのものとしている。さらに保安院のメンバーには原子力産業の企業から専門家が天上がりしており、出身の企業に対する規制は厳しくできないだろうと分析している。

また、原子力分野の研究は財政的に政府か電力業界によって支えられており、学者にしても批判的な人物は遠ざけられ、協力的な学者だけが原発村に入れるとここでも癒着の構造を指摘している。政界では1955年から2009年まで政権の座にあった自民党で元東電副社長加納時男参議員(現在は東電相談役)が原子力政策を含むエネルギー政策に大きな影響量力を行使してきたと個人名まであげている。

以上、いちいちもっともな指摘で真摯に受け止め、今後の原発政策に生かして行かなくてはならない。

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