先日NHKで岩手を元気づける趣旨か朝ドラの続編どんと晴れを2日間に渡り放映した。テーマは徹底的に目に見えないおもてなしであった。朝ドラに出て来るような高級旅館を利用しないのでやや理解不足の感があるが、30年ぐらい前には旅館に泊まると仲居さんにいくらチップを上げるか頭を悩ませたものだ。それがサービス料という名目でホテルも旅館もレストランまでも10%程度勘定に含めて強制的に取る制度になった。
チップで頭を悩ませる必要がなくなったが、良いサービスでも悪いサービスでも払わなくてはならないという矛盾を感じる。欧米ではまだチップ制度で、ウエイターの接客態度で払わないこともあるし、遅い時間でも快く料理を出してくれたレストランではチップをはずんだこともある。日本の旅館では2食付きの料金にも拘わらず遅く着くと火を落としましたで終わることもあった。慣れるとチップ制度は合理的だ。
こんな経験をしていると、目に見えないおもてなしと言われると考え込んでしまうが、強いて言うと日本と外国のホテルやレストランのサービスの違いは先ず笑顔にあるのだが、日本ではお客の立場に立って考えるということからおもてなしが出てくるのだろう。欧州ではお客もホテルマンもウエイトレスも対等の立場でサービスを提供してそれを買うということになる。ただそれが限度で、日本の場合、お客の立場に立てば、通常提供するサービス以外に有形無形のニーズが出て来る。それを満たすおもてなしの心が顧客満足度を高めることになる。
観光立国で外国人観光客に来てもらいたいという国策があるが、慣れない日本での観光ではおもてなしの心が基本だろう。それは外国にはない無形のノウハウで、それだけにマニュアルだけでは実行できない心の持ち方が必要だ。ドラマどんと晴れの舞台となった旅館のごとく若い人を先輩が時間をかけて辛抱強く教えることだ。
おもてなしを味わった外国人観光客はリピーターとなるだろう。