昨日は東京JSバッハ合唱団の定期演奏会でヨハネ受難曲を聴いた。格調高い舞台回しの語りがテノール、イエス役のバス、ペトロ・ピラト役などのソリスト、そして群衆の役を歌う合唱が古楽器と見事に調和していた。昨年の大震災犠牲者への鎮魂歌に聞こえても不思議ではなかった。
場所のすみだトリフォニーホールは奇しくも昨年3月11日にこのホールでマーラーの第5番を演奏したところだ。震災直後で、新日本フィルは演奏をやるか中止するか迷ったようだが、指揮者のハーディングをはじめ、演奏者は余震の中を苦労してたどり着き、観客が一人でも来るようだったらやろうと決行した。トリフォニーホール自体は耐震設計が充分で安全が確認されたとの背景もあった。
高齢の観客もスカイツリーを目印に歩いてきたという。満席の予定が100人余の観客、演奏が終わった時には奏者も観客も総立ちで拍手をしたという。マーラーの5番にはレクイエムが挿入されているので出だしのホルンの奏者は緊張しただろう。この11日にはいろいろな出来事があったが、ここのフォールでのエピソードも歴史に残るし、英国人ハーディングは地震初体験でまさにメモリアルな指揮だった。