行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

ヨハネ受難曲を聴く

2012-03-11 23:57:45 | Weblog

昨日は東京JSバッハ合唱団の定期演奏会でヨハネ受難曲を聴いた。格調高い舞台回しの語りがテノール、イエス役のバス、ペトロ・ピラト役などのソリスト、そして群衆の役を歌う合唱が古楽器と見事に調和していた。昨年の大震災犠牲者への鎮魂歌に聞こえても不思議ではなかった。

場所のすみだトリフォニーホールは奇しくも昨年3月11日にこのホールでマーラーの第5番を演奏したところだ。震災直後で、新日本フィルは演奏をやるか中止するか迷ったようだが、指揮者のハーディングをはじめ、演奏者は余震の中を苦労してたどり着き、観客が一人でも来るようだったらやろうと決行した。トリフォニーホール自体は耐震設計が充分で安全が確認されたとの背景もあった。

高齢の観客もスカイツリーを目印に歩いてきたという。満席の予定が100人余の観客、演奏が終わった時には奏者も観客も総立ちで拍手をしたという。マーラーの5番にはレクイエムが挿入されているので出だしのホルンの奏者は緊張しただろう。この11日にはいろいろな出来事があったが、ここのフォールでのエピソードも歴史に残るし、英国人ハーディングは地震初体験でまさにメモリアルな指揮だった。

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追悼、草野忠義さん

2012-03-10 10:39:47 | Weblog

30年来の労働運動の同志で、ひつじ会の重鎮だった草野さんが急逝した。このところ、笹森、鷲尾、と連合のトップOBの訃報が続き、ショックの連続だ。草野さんは2000年、金属労協議長を1年務めたあと連合の事務局長に就任。たった1年だったが金属労協で議長ー事務局長のコンビを組んだので、国際金属労連の会議で欧州やアジア諸国へご一緒させてもらった。

草野さんは日産出身ということもあり、2001年だったかベニスでの会議の帰路、ベンツのスマートの工場を見たいというので、ドイツ金属労組にたのんだところ、スマートはベンツの車ではない、作っているのもフランス・ストラスブールだからと、小型車Aクラスの工場に案内された。日本の工場と違い、全員組合員(正社員)で組み立て、モジュールはとなりの関連会社工場で作りコンベアでAクラスの生産現場に運ぶという厳格さに感心していた。

私が国際労働財団専務理事となり、草野連合事務局長へのコンタクトをとることが多かったが、分刻みのスケジュールでアポを取るのが難しかった。かれはスーパーマンのごとく深夜まで諸案件を処理したが、仕事の性格上、飲みながら人と会う機会が多かった。連合事務局長を辞めても休む間もなく連合総研の理事長をやりながら、政府の行革委員や国家公務員倫理審査委員などもこなし、激務が命を縮めたとしかいいようが無い。

5年前、韓国労働財団の招きでのんびりとソウルを訪れ、休ませてやろうとしたが、草野さんはスケジュールを切り上げて帰国してしまった。剣道の達人ではあったが気遣いが細やかでその分頼まれたことは断れなかったのだろう。                                                                                                                      合掌
       

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エルピーダ、DRAMエレジー

2012-03-08 18:24:05 | Weblog

日本で唯一のDRAMメーカーエルピーダが更正法を申請した。ついにここまで来たかと時代の流れを感じざるをえない。1970年代コンピューターの発展を予想し、そのメモリーとなるDRAMは産業の米と称され、当時の通産省がコンピューターを製造している日電、富士通、日立、東芝、沖、三菱などを結集して最先端のDRAMを開発する研究組合を創り世界のトップを走る半導体産業を育成した。

まさに向かうところ敵無しのバラ色の発展を誰でもが当時思った。ところが金曜日羽田を発ち、ソウルでアルバイトをして日曜日に帰国する半導体技術者が話題になり、日本の技術が秘かに韓国に流れたことが明らかになった。途上国への個人的技術援助と特にとがめる動きはなかった。

1996年だったか韓国現代電子(現在のハイニックス)を訪れ、むこうの話を聞いて驚いた。半導体への投資額が日本とは桁違い、当時の売上高と同額を次年度に投資をするという。これでは早晩韓国に負けると思った。事実、最近の世界シェアは韓国が57%を占め、エルピーダは17%にすぎない。

産業の米といわれたDRAMも激しい投資競争で過剰生産となり、DRAM価格は、2006年末から2007年中頃までと2008年中頃から2008年末までの2年程で20分の1以下にまで値下がりした。サムスン以外は赤字に転落しても不思議ではない。これに円高が加わり、政府の支援もむなしくエルピーダは更正法申請に至った。

米国のGMは巨額の政府支援で立ち直り、オバマ大統領の再選への助けとなっているがエルピーダをさらに税金を投入して再建するか難しい判断をしなければならない。

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398円のワインを試す

2012-03-06 21:59:45 | Weblog

ヨーカドーに買い物に行ったら、食品売り場のあちこちで売られていたのがスペイン・ラマンチャ地方の「ロス・モリーノス」というワインだ。ワイン売り場はもちろん、肉や総菜売り場にまで展示しているので目に付いたが、395円という値段を全面に出しているから目立つ。

年金生活者としては思わず手が出たわけで、とりあえずスペインの代表的な葡萄種テンプラーニョとガルナッチャ(フランス語でグルナッシュ)を使用した赤を買って試してみた。スペインはワインの作付面積世界一、そしてこのユーロ安ということでこの値段が実現したのだろう。

味が悪ければ、料理ワインにというつもりで鍋料理で試してみた。若いワインであることは間違いなくそのつもりで評価すれば、味、香りともに悪くない。軽い味ながら渋みもきちんとあり、鍋料理とかパスタに良く合うと思う。この値段だとビール代わりにランチに飲むのが良い。贅沢言えば、テンプラーニョのふかみがあればと思うのだが・・・

スペインでは1リットル1ユーロぐらいの量り売りワインが庶民には飲まれていることを考えるとこの395円ワインはコストパフォーマンスの良い上等のテーブルワインとも言える。

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梅はまだ3分咲き、昭和記念公園

2012-03-04 15:07:50 | Weblog

3月の節句が過ぎたというのに気温6度ぐらい、春まだ遠しで梅は3分咲き、いつもは咲き誇っている日本水仙も今年は寒さのせいかぱらぱらと咲き、先日の雪で折れてるのも見受けられる。福寿草に至っては、例年一面に咲くところも今年は探すような状態。

早咲きの八重野梅(やえやばい)もこの程度

 

紅梅も同じ程度の咲き具合

 

緑がかった月影はシンプルな姿だ

いつもは一面に咲いているのだが・・・・・・・・・

 

 

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AIJ詐欺事件の教訓、

2012-03-02 18:22:24 | Weblog

「AIJ投資顧問」が、運用を任された企業年金資金約2000億円を消失させた問題は大がかりな詐欺事件に発展しつつある。何故厚生年金基金がいとも簡単に引っかけられたのか、その背景には5.5%で資産を運用しなければという縛りがあったからだ。

年金には確定給付型と確定拠出型があるが、確定拠出型は個人が運用するので日常から自分の運用実績が把握でき、元本保証以外の債権や株式で運用していれば、この10年差損が出ているケースが多いけど、明確に判る。確定給付型は加入者個人は所属する会社か厚生年金基金に運用を任せ、5.5%の運用を約束されてるのでほとんど自分の年金資産には関心がない。

確定給付型の厚生年金基金は資産運用が命だが、主に大企業が単独で設立する「単独型」と、グループ企業と共同で設立する「連合型」ですら、資産運用の経験者を役職員に採用していない基金が67%を占め、主に中小企業が集まって設立する「総合型」では82%という調査結果だ。プロが運用しているのかと思ったが、実際は素人集団で、このデフレの時代に5.5%で資産運用をするのは不可能に近い。

そこで、投資顧問会社にたより、AIJは基金側に利回りについて「初年度に35%、05年度までは10%超だ」「2002年運用開始以来、昨年までの累積の利回りは約250%に上る」と説明、その極意は「英領ケイマン諸島のファンドを通じて、株式や債券などを組み合わせた金融派生商品への投資」と言って基金の運用担当者をころりと騙したわけだ。世界の金融情勢を多少知っていれば10%以上も運用できるはずがないと判るのだが、実際は運用益が出たのは最初の1年間だけだった。

基金の被害はAIJへの投資額によるが、中小企業の統合型基金では会社が損失を補填できることは難しく、年金給付が減額されることが予想される。確定給付が確定でなくなるわけで、こうしたことはこのデフレ時代(超低金利時代)今回の被害を受けなかった基金でも5.5%の運用が保証されなくなり、年金減額もあり得る話だ。

国の厚生年金も今の国会での議論を聞いていると最低保障年金さえも難しい、若い人は自分で勉強、研究しながら個人年金でリスク回避をお薦めする。

 
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