日本で唯一のDRAMメーカーエルピーダが更正法を申請した。ついにここまで来たかと時代の流れを感じざるをえない。1970年代コンピューターの発展を予想し、そのメモリーとなるDRAMは産業の米と称され、当時の通産省がコンピューターを製造している日電、富士通、日立、東芝、沖、三菱などを結集して最先端のDRAMを開発する研究組合を創り世界のトップを走る半導体産業を育成した。
まさに向かうところ敵無しのバラ色の発展を誰でもが当時思った。ところが金曜日羽田を発ち、ソウルでアルバイトをして日曜日に帰国する半導体技術者が話題になり、日本の技術が秘かに韓国に流れたことが明らかになった。途上国への個人的技術援助と特にとがめる動きはなかった。
1996年だったか韓国現代電子(現在のハイニックス)を訪れ、むこうの話を聞いて驚いた。半導体への投資額が日本とは桁違い、当時の売上高と同額を次年度に投資をするという。これでは早晩韓国に負けると思った。事実、最近の世界シェアは韓国が57%を占め、エルピーダは17%にすぎない。
産業の米といわれたDRAMも激しい投資競争で過剰生産となり、DRAM価格は、2006年末から2007年中頃までと2008年中頃から2008年末までの2年程で20分の1以下にまで値下がりした。サムスン以外は赤字に転落しても不思議ではない。これに円高が加わり、政府の支援もむなしくエルピーダは更正法申請に至った。
米国のGMは巨額の政府支援で立ち直り、オバマ大統領の再選への助けとなっているがエルピーダをさらに税金を投入して再建するか難しい判断をしなければならない。