シャープは27日、電子機器の受託生産で世界最大手の台湾企業、鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携すると発表した。不振の液晶事業の立て直しが狙いで、シャープは鴻海グループ四社を引き受け手とする第三者割当増資を実施する。鴻海グループの出資比率は9.9%となり、筆頭株主となる。
さらに提携では、テレビ用大型液晶パネル生産の堺工場(堺市)を運営するシャープ子会社の株式の約46%を鴻海側に譲渡し、共同運営に移す。
という報道だ。今期670億円の経常利益の計画が300億円の赤字、純利益は2900億円という巨額の赤字となり、まさに存亡の危機、液晶パネルとテレビの価格下落によるもので藁を掴む思いの決断だ。
本来なら国内企業のパナソニックやソニーとの提携が考えられるがその2社とも同じテレビ部門と液晶部門で巨額の赤字では話にもならない。後は中国か韓国か台湾の企業という選択しかなく台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)鴻海精密工業にすがったのだろう。この世界最大手のEMSは連結売上高は8兆2992億円という急成長したマンモス企業だ。
このブログで何回か取り上げたアップルのiPad,iPhoneを中国で受諾生産しているフォックスコン社は鴻海精密工業の子会社だ。フォックスコン社は中国の農民工を劣悪な労働条件で雇い、目下国際的に監視下にある問題企業。シャープはこうしたことを飲み込んで提携に踏みきった点が心配だ。
1970年代初期、関西で勤務していた頃、シャープの友人に連れられ、西田辺の社員クラブになっていた創立者早川徳治さんの屋敷で食事をした記憶がある。当時、シャープは液晶を使ったポケット電卓を開発し、電池1本で100時間持つと世界中を驚かせた。私の1ヶ月の給料の半分ぐらいの値段だったがそろばんの下手な私は即、手に入れた。その後、太陽電池や液晶で業界の最先端を走っていたシャープがこの危機を乗り越え早く再建してもらいたい。