行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

参議院選挙改革、地域代表は要らない

2015-07-11 22:23:20 | Weblog

参議院の「1票の格差」を巡っては、最高裁判所が、5年前とおととしの選挙の2回続けて「違憲状態」とする判断を示したことから、各党が、来年夏の参議院選挙に向けて、格差是正に向けた改革案の取りまとめを進めている。自民党は9日隣接する2つの選挙区を1つにする、いわゆる「合区」を2か所で行うなどして、選挙区の定数を「10増10減」するとした案を提案した。この案でも1票の格差は、平成22年の国勢調査の結果で計算すれば、最大で2.974倍になる。3倍以内なので何とか違憲状態ではないという思惑だ。

これに対し、合区の対象となる鳥取、島根と徳島、高知選出の参議員だけでなく知事もこぞって猛反対、各県の代表がいないと意見が中央に通りにくいとか地方崩壊だとかおかしな理屈をこねている。衆議院選挙区は小選挙区になり地方の声が中央に通りやすくなったことを忘れている。参議院が政党化し、衆議院のコピーといわれてから久しい。参議院の存在意義は、国全体を考えた有識者議員や、職能代表議員による衆議院の補完機能で、場合によってはブレーキ役であったはずだ。

日本は現在人口減少社会に入り、かつギリシャ以上の財政赤字を抱えている。この際、県単位の選挙区は廃止し、全国区だけに絞った縮小化をはかるべきだ。それで1票の格差問題はなくなる。政治家が自ら選挙制度の見直しをやるとなると今回のように5年経っても決まらない。専門家による特別委員会で参議院改革を任せる方が早くかつ公正な結論が出る。

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そこまでやるか中国の株価対策

2015-07-09 22:32:21 | Weblog

前回のブログで、中国政府の上海市場株価対策として国有の証券会社21社が2.3兆円で株を買い支えるが効き目はあるかと書いたが、8日の市場では8%もの暴落で日米の株価も大きく下げた。更に5兆円の資金を投じて買い支えることを発表した。中国の8割を占める個人投資家は儲けの率が高い信用取引(証券会社から借金をする)で投資をしており、その残高は44兆円にも達するという。株価が上がっている時は良いが下落に転じると、借金を返すために損害を少なくするため売り急ぐことになり、下落に拍車がかかってしまう。買い支えることには限界がある。

そこでとった対策は次のように驚くべきものだった。中央銀行の中国人民銀行は「様々な手段で流動性を供給し、金融システム不安を抑える」と緊急声明を出し、国有企業の監督当局や保険当局は、市場の混乱が続く間は大手国有企業が持ち株を売りに出さないことを宣言。そして上場している企業に売買停止をさせるという前代未聞の策だ。政府や中央銀行が株価を支える対策は日銀でもやり出したことでうなずけるが、上場している株の売買停止ということは商品を出荷しないということで、コンビニ行ったら半分も商品がないといった状態なのだ。これでは売るもの限られているので本日の上海市場は5.8%の上昇となり、かたちの上では下げ止まった。しかし売買停止の影響は大きい。社会主義市場経済と中国政府はいうが、ここまでやると国家資本主義そのもので世界2位の規模になった上海市場は大きく信用を落とすことになるし、下がることをいやがって売買停止したのだから売買停止を解いたらその株に売りが殺到するかもしれない。中国株を組み込んだ日本で売ってる投信も売買停止の影響を受け、売買ができない状態となり、おっかなくて中国関連の投信は買えない。第3者の経済学徒にとっては興味深く見物させて貰う。

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ギリシャ、ギリシャと騒ぐけど

2015-07-07 22:31:55 | Weblog

ギリシャ国民がEUの緊縮策にノーと投票し、昨日は日本の株式相場が大幅に下落した。マスコミは大騒ぎだったが、私たちの生活に直接響くようなことではないと思うのだが、昨日は金融業者から電話があり、大変な事態に発展するから金を買えと言ってきた。ギリシャの変事で株や商品相場が動けば動くほど投機家には儲けるチャンスが出て来る。つまり相場が動かないと困るのだ。2012年2月、EUから13兆6500円のギリシャ支援が追加され、民間債権の半分以上11兆2000億ユーロが放棄されることになった。そのかわりギリシャは160%にのぼる政府債務のGDP比率を120.5%へ低下させることになった。そのためギリシャは年金を削り、公務員の数を削り、税金も上げたが、経済は回復することなく失業率が高くなった。日曜の投票結果はもうこれ以上の緊縮策はできないという意志表示だ。前回は民間債権が放棄されたが、今や32兆円の膨大な借金はEU諸国に残っている。返済ができないことは明らかで棒引きしかない。そんなこと判っているのに協議を続けることは株や商品相場を動かそうというモーメンタムが働くだけで見え透いている。

自分たちの生活に影響がより大きいギリシャ以上の変事が中国で起こっている。中国の上海市場では今年に入って、不動産投資にむかっていた個人資金が株にむかい1年で2.5倍となり明らかににバブルになっていた。そしてピークの6月12日から3割近くまで暴落し、2.7兆ドル(332兆円)が蒸発した勘定だ。この数字はギリシャの借金の6倍で、ギリシャのGDPの11年分だ。国有証券会社21社が政府の意を受けて19.40億ドル(2.3兆円)を拠出し、市場で買い支えに入ったが予断は許さない。中国上海市場の投資家は8割が中国の個人で、被害を受けて個人消費が縮まるだろう。中国は日本にとって最大の輸出市場であり、最近ではインバウンド消費の主役だけに、今後じわじわと日本経済に影響を及ぼすだろう。

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東芝の悲劇再びか?

2015-07-05 22:04:18 | Weblog

1966年頃だったか東芝は経営危機に陥り、三鬼陽之助が「東芝の悲劇」を書いてベストセラーになった。当時の財界総理石坂泰三東芝会長が石川島播磨から土光敏夫を招き東芝の再建を図った。歴史に残る有名な話だ。最近の報道、「東芝の不適切会計問題は利益の減額修正幅が5年間で1500億円を超す見通しとなった。不適切処理が近年常態化していた背景には、予算達成へ向けたトップの強い圧力があったようだ。関係者によると、毎月の定例会議では予算未達の事業部門が厳しく追及され、現場が無理を重ねる要因となった。第三者委員会もこの点を注視しているもようで、田中久雄社長ら経営陣の責任を問う声も出ている」(日経)から、再び経理部門に定評のあった名門会社に危機が訪れているとしか思えない。

リーマンショック後、パナソニック、日立、ソニー等とリーディングカンパニーが危機に陥り、身を削るリストラで再建しようとしている折に、今度は東芝がという感がある。東芝のトップ佐々木副会長、田中社長はリーマンショックをようやく乗りきったが、業績に於いて日立の再建で差がつけられ、売上げ(東芝6兆5000億、三菱4兆3000億)でははるかに差をつけている三菱電機に営業利益では2900億対3100億で引き離され、時価総額では三菱の半分強に甘んじている。経営トップに業績回復への焦りが不正経理という結果を招いたのだろう。

詳しいことは今後の第三者委員会で解明されるが、最初インフラ部門の550億の不正経理と言われていたのが、電力計、半導体などに拡がり本日の報道では1500億円になっている。東芝が米ウエスティングハウス社を買収し、原子力部門の強化をはかった時には世界一の原発メーカーになるのではと期待された。ところが福島原発の事故は世界の原発メーカーにショックを与え、フランスの名門アレバも経営危機をむかえ、政府の援助を仰ぐ事態だ。ウエスティングハウス社の経営状況はどうなのだろうか?東芝の経営に直接影響するだけに心配だ。東芝の連結グループには20万人弱の従業員が働いており、連日の報道に固唾をのんでいることだろう。

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正体を現したブラック企業

2015-07-03 22:03:48 | Weblog

靴の販売店ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていた疑いが強まり、東京労働局は2日、労働基準法違反容疑で法人としての同社と役員ら3人を書類送検したとの報道。この数年ブラック企業の存在が噂されていたが、労働局は4月に「過重労働撲滅特別対策班」を設置し、大手企業に絞って調査を進めていた。全国規模で調査し、従業員の違法な長時間労働で年3回是正勧告を受けた大企業の社名を公表する方針を打ち出している。

報道された法違反は、労使の時間外労働協定を大幅に超えるケースと協定そのものを結んでないで時間外労働をさせたケースだ。労働基準法では、時間外労働を従業員にさせる場合は必ず労使で協定を結びその範囲内で時間外労働をすることになっている。その場合でも従業員の同意が尊重される。従って協定無しでは時間外労働を命じることは出来ない。

東京労働局によると、同社の嫌疑は昨年4~5月、「Grand Stage池袋店」で労使協定無しで20代の男性従業員2人に、月112時間と97時間の違法な残業をさせた。「ABC-MART原宿店」でも男女社員2人を、労使協定で定めた残業時間(月79時間)を超えて月109時間と月98時間の違法な残業をさせた。同社は過去にも全国の複数の店舗で行政指導を受けたが、是正されなかったため、書類送検する必要があると判断した。

ABCマートは2015年2月期の連結売上高は約2100億円、店舗数は全国に約800店で2015年3~5月期の連結営業利益は、前年同期比3%増の135億円前後で、3~5月期として過去最高を更新したが、陰には従業員の過酷な労働が存在していることが明らかになった。

違法な長時間労働で病気や自殺に追い込まれる人が後を絶たないとして、厚生労働省はブラック企業の監視を強化しているが、最近ではブラックバイトなどと、労働法に無知な学生アルバイトの問題が浮上している。労働基準法の周知をマスコミを通じて喧伝する必要がある。

 

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景気はほんとに回復しているのか

2015-07-01 18:49:09 | Weblog

日銀が本日1日発表した6月の短観は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス15だった。前回の3月調査(プラス12)から3ポイント改善した。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。ところが中小企業で見ると製造業が1ポイント悪化のゼロで非製造業は1ポイント改善のプラス4だった。中小企業の3か月先行きは製造業が横ばいのゼロ、非製造業は3ポイント悪化のプラス1だった。これを受けて政府は景気は良くなっていると見ているが信じがたい。

他の直近の指標を見てみると
6月29日、経済産業省は独立行政法人中小企業基盤整備機構が全国の中小企業を対象に四半期ごとに実施している「中小企業景況調査」の結果を公表した。2015年4~6月期の全産業の業況判断DIは、前期差0.9ポイント悪化のマイナス18.7となり、2期ぶりにマイナス幅がやや拡大した。
また5月鉱工業生産指数速報は前月比2.2%低下となり、事前予測を大きく下回った。自動車の在庫積み上がりが解消していないことや、スマートフォンの世界的需要悪化から電子部品の生産も減少したことが影響した。

6月30日、厚生労働省が発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の変動を考慮した実質賃金は前年比0.1%減となり、25カ月連続でマイナスとなった。減少幅は2カ月連続で0.1%と小幅にとどまった。景気に敏感な所定外給与は前年比1.6%減で3カ月連続で減少し、総実労働時間も前年同月比2.7%減で、時間外労働時間が減少していることを示している。これでは節約志向となり、円安で物価が上がっていることを考えると消費増には結びつかない。

昨年来論争になっているが、円安が日本経済にプラスになって株価を押し上げ、資産効果やインバウンドによる消費増という図式も肝心の中小企業を含め国民全体に及ばず息切れしている状態ではないか。日経新聞の世論調査(29日発表)でも、景気回復を実感してないという率が75%に達している。管官房長官は「アベノミクスの成果が反映されてきている」などと脳天気なことを言っているが・・・

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