行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

地方大学の時代に期待

2015-10-10 18:17:48 | Weblog
連続ノーベル賞受賞で日本全国は沸き立った。生理学・医学賞に大村智・北里大学特別栄誉教授が、物理学賞に梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長が選ばれた。大村氏は韮崎高校から山梨大学、梶田氏は川越高校から埼玉大学へ、二人とも高校、大学とも地方だ。昨年のノーベル化学賞を受賞した中村修二氏は徳島大学出身で、この3人の共通点はいわゆる旧名門帝国大学の出身ではない。
 
最近の受験競争は大学全員入学時代でも激しさを増している。有名大学に入学するには進学塾に入り進学校の中学、高校に入らなければという風潮で、昨今のノーベル賞受賞はそれをひっくり返す地方大学の時代にという期待が生まれ、地方創生に寄与大だ。東京都の教育委員会が都立高校進学重点校に選定する基準は旧帝国大学に何人その高校から入ったかによって決める。これからはノーベル賞を受賞した地方大学もその対象にしたらどうか??とさえ思える。地方大学の良いところはマンモス教育でなく、少数教育ということで個々の個性が伸ばせることだろう。お二人はメインストリームでないために苦労されたこともあったが、地方大学が更に躍進すればその苦労は報われるということだ。
 
今回の受賞者お二人の経歴はかなり対照的で年齢もかなり違う。受賞分野の違いが色濃く出ており、大村博士はまさに何万という土のサンプルと格闘してきた文字通り地道にコツコツという研究が実を結んだ典型例で、80歳という高齢になってからの受賞だ。梶田博士はスーパーカミオカンデという巨大な装置を駆使しての研究成果で、小柴さんという先達を引き継いでの成果で56歳の若さで受賞した。
 
私は1998年だったかかつて職場旅行で神岡鉱山を見学したことがある。その時の興味はイタイイタイ病の源である鉱山を見ることにあって、廃鉱の利用について説明を受けたがが、東京大学宇宙線研究所の研究装置、スーパーカミオカンデのことは記憶にない。坑内の温度が1年を通して14度と聞いてワインの保管に良いですねと発言したことは覚えている。まさかこの廃鉱利用でノーベル賞を受賞するなど思いつきもしなかった。
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GDP600兆円計画は岸内閣と池田内閣をなぞっている

2015-10-08 22:23:20 | Weblog
安倍首相の新3本の矢は祖父の岸内閣での安保改定に次ぐ池田内閣の所得倍増計画をなぞるものだ。しかし後に述べるように当時の状況とかなり違う。国論を割り、安保改定を強行した岸内閣は退陣、混乱した国内を沈静化するため国民に新たな目標を示したのが池田内閣の所得倍増計画だった。当時国民は月給2倍になると聞いて半信半疑、池田内閣のブレーンの下村治氏が疑問を呈するエコノミストを論破、結果は10年で倍増どころか4倍増となった。
安倍内閣は安保法制を強行し、支持率が一気に下がった。そしてニューヨークの記者会見で安倍首相は経済経済経済と3回叫んだという。岸→池田内閣への政策転換をなぞり同じ内閣でやるべくGDP600兆円を柱に据えた経済成長戦略が新3本の矢だ。政治から経済へという政策転換で支持率回復をねらうが当時の状況と大きく違い成長戦略が上手く行くとは以下の理由で信じがたい。
 
1,池田内閣のブレーンには下村治博士がいたことだ。当時私は経済学徒だったが歯切れの良い理論にしびれたものだ。安定成長論者は国際収支の天井を意識していたが、下村氏は自動車産業だっていずれ輸出産業になり、国際収支は黒字になると喝破していた。
2,今回の安保法制は日本の軍事力負担を増し、財政に負荷をかけるが、60年安保では日本の軍事力負担を増やすことはなく、投資は生産力増強に集中できた。安保改定で日本は防衛コスト増を押さえることができたのだ。米国にそれだけの力があったとも言える。
3、人口9000万労働力は4500万で人口増の時代、若い労働力が豊富にあった。いまや人口減少社会に突入した。
 
もちろん当時より日本経済は巨大化しており、世界トップの技術力を背景に日本商品の質の高さと信頼性の高さは現在の方がはるかに勝っている。また当時よりはるかにインフラは整っており、街の清潔さは世界でトップクラスで、当時は考えられなかった観光客が押し寄せるようになった。5年後に600兆円を目指すのであればこの現在の優位の状況を利用することしかないだろう。
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ネパールにようやく春が来るか、憲法制定

2015-10-06 17:40:22 | Weblog

4月25日11時56分、ネパール中部ゴルカ郡の深さ15kmを震源としたマグニチュード7.8の大地震が発生し、約80km離れたネパール最大の都市である首都カトマンズとその近郊でも甚大な被害となった。その模様はこのブログでもJILAF(国際労働財団)からの報告の一部を掲載した(7月15日)。詳しくはJILAFホームページに動画で7月上旬の現地の模様をアップしている。

災いを乗り越えるために、まとまりにくい現地の政治情勢であるが、ようやく国会が機能し、9月16日,制憲議会において新憲法草案が採択され、9月20日共和国憲法が発布された。2006年に王政が廃止され、2008年制憲議会開会以来、無政府状態が続き、多くの人命が失われた。新憲法は,国民主権に基づいて連邦民主共和制を採り,連邦・州(7州)・地方の三層構造を導入し,立法・行政・司法の三権分立,連邦議会2院制(下院(定数275)及び上院(定数59)),複数政党議会制(小選挙区選挙及び比例代表選挙の混合選挙により選出),司法制度(三審制)などが定められている。ようやくアジアの最貧国に春が訪れようとしている。日本政府も緊急支援だけでなく、ODAを柱にしながら、JICAやJILAFのようなNGOの努力が実を結びつつある。しかし、問題は山積しており、特に隣のインドのネパールを支える姿勢が必要だ。
 
マスコミの報道はないが9月25日からのインドの国境封鎖によるは経済制裁?は理解に苦しむ。石油や天然ガスなど生活必需品はほとんど南のインドを通じて輸入している。生殺与奪の権をインドが握っているわけだ。国連総会から帰国後モディ政府は徐々にではあるが国境封鎖を解き、物資がネパールに入ってきたとポカラ在住の知人からファイスブックでの報告。陸の孤島に近いネパールにとって空港の整備が緊急であり、日本政府のレーダー等の安全性向上への支援で輸送力増加が期待される。また、国内幹線道路についてもODA50億円で整備がされている。
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大山鳴動、米国の雇用統計と利上げ

2015-10-03 22:31:37 | Weblog
今年に入って金融緩和の出口政策として9月には米国FRBが利上げをすると大騒ぎをし、中国をはじめ新興国が米国へ資金が流れるから止めてくれと訴えた。米国連邦準備銀行理事会は忖度して10月か12月に利上げを延期として一段落したかのようだった。ところが昨日の米国の9月雇用統計、ほとんどの専門機関や証券会社が20万人増と予想していたのが、蓋を開けてみたら14.2万人との発表、しかも8月の雇用増も17.3万人を13.6万人に下方修正し、結局最近3か月間の平均雇用増は16.7万人で昨年同期の26万人増に較べて大幅にダウン。「何だ米国の景気回復はイマイチ」ということになった。
 
自動車の販売など個人消費は順調なので、利上げのよりどころが雇用情勢改善としてきたFRBイエーレン議長もビックリしたに違いない。これでは米国経済事態に確信が持てないので、年内の利上げはすっ飛んでしまったようだ。雇用増予測が6万人もマイナス差異だった原因は石油鉱山部門とドル高による製造業部門での不振が予想外だったことだが、8月の統計で
4万人も誤差があったことの方がショックは大きい。
中国の統計数字は自他共に怪しいとしていたが、米国の統計も劣らず怪しいものだ。
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アベノミクスは不具合につきバージョンアップへ

2015-10-01 15:19:51 | Weblog
アベノミクスの「三本の矢」??忘れてしまったかのような印象なので復習してみると
第一の矢 大胆な金融政策 •企業・家計に定着したデフレマインドを払拭•日本銀行は、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現
第二の矢 機動的な財政政策 •デフレ脱却をよりスムーズに実現するため、有効需要を創出•持続的成長に貢献する分野に重点を置き、成長戦略へ橋渡し
第三の矢 民間投資を喚起する成長戦略 •民間需要を持続的に生み出し、経済を力強い成長軌道に乗せていく•投資によって生産性を高め、雇用や報酬という果実を広く国民生活に浸透させる

どれも残念ながら、今のところ未達だ。株価だけは7月まで好調だったが、ここへ来て3番底、中国の株価と変わらない落ち込みだ。肝心の成長率もマイナスに落ち込み、慰めは失業率が低くなったことぐらい。ここへ来て国民の大半が反対している安保法案強行採決で支持率も低下、挽回するためにニューヨークの記者会見で経済、経済、経済と3回繰り返しアベノミクスバージョンアップを発表した。
 
「アベノミクス2.0」は第1の矢が「希望を生み出す強い経済」で、GDP(国内総生産)600兆円という目標を掲げ、「戦後最大の経済」と「戦後最大の国民生活の豊かさ」を実現、第2の矢が「夢をつむぐ子育て支援」、第3の矢が「安心につながる社会保障」の3本。これによって「1億総活躍社会」を目指すとしている。
 
キャッチコピーは素晴らしいがその実現性となると誰も信じないだろう。現在500兆円のGDPを100兆円ふやすなど「ファーストステージも道半ばなのに、セカンドステージで新たな数値目標を掲げられても、にわかには信じがたい」というのが外国人記者の反応とのこと。第2の矢はこのブログで成長戦略の基本は人口増だと言ってきたがようやくという感。第3の矢は第1の矢が実現しなければ夢のまた夢、せめて「年金は減らさない」ぐらいを目標として貰いたい。
この調子だと日本経済は漂流する恐れが
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