行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

激変する世の中、ジャーナリズムも選別する時代へ

2018-11-10 22:57:57 | 技術
昨日、朝日新聞社と米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の提携90周年を記念するシンポジウムが東大安田講堂であり、NYTの電子版読者の私に招待があり、出席した。両社からトップが講演したが、主役は3回のピューリッツァ賞を獲得したNYTコラムニストのトーマス・フリードマン氏で、彼の講演主旨は
・2007年はグーテンベルグの印刷技術発明に匹敵する新技術が多く生まれた年だった。それらはiphone、Google、アンドロイド、ネットフリックス、IBMのワトソン、アマゾンのKindleなどによって社会は激変し、今まで無秩序な動きが広がっている。テロリストもトランプもツイッターを自由に流せる。
・こうした時代、家族や地域といった人々の結びつきがますます重要になっており、それを支えるジャーナリズムの役割を強調した
 
NYTの発行人、サルツバーガー氏はこの20年間で米国のジャーナリズムは半分に減少した。新聞社の広告収入は減少し、今は4000万人の購読料で成り立っていると強調した。日本の新聞は元々購読料が基本であるが、通勤電車で新聞を読んでいる人よりスマホを見てる人の方が圧倒的に多い。朝日新聞はもとより日本の新聞も電子版を軌道に乗せようと躍起になっている。NYTは全世界に電子版購読者を拡大しており、配信もきめが細かい。朝起きると、昨晩までの重要ニュースをメルマガで配信し、夕方にはその日の重要ニュースを配信してくる。その中から読みたい記事をWebで見ることになる。その選択で各読者の傾向を分析し、週末には読者に合わせた記事を配信するといったきめの細かさだ。
 
このシンポジウムでの講演者は言わなかったが、今やフェイクニュースを非難する大統領が数え切れない嘘ばかり記者会見で堂々という時代、ジャーナリズムも選別が必要で、権力におもねないジャーナリズムの本筋をまもるのが朝日とNYTということか、
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米国にも復元力が残っていた

2018-11-08 21:42:41 | 海外
米国の中間選挙、これほど日本中が注目したことはなかった。暴走するトランプの米国はどこへ行くのか世界中が注目しているからだ。選挙中のトランプの言動は、いつもより更に欺瞞に満ち、罵り、聞くに堪えないもので、国民を敵か味方に分け、敵と判ると子供でも「出て行け、ママのところに帰れ」と攻撃する。こんな大統領でも1年間持っている。
 
トランプを熱狂的に支持する有権者を見ていると、ファシズムの中で思考停止をする国民としか思えない。しかしながら今度の選挙では、反トランプキャンペーンをはり、下院で民主党が多数を占めて、米国にはまだ復元力があるとなんとなくほっとした。しかもトランプが嫌っているイスラムの女性議員の誕生とか、投票に行かなかった若者が投票率を上げ、1年前までウエイトレスをしていた29歳の女性議員を誕生させた。
 
これから大統領再選に向けて、トランプの言動は激しくなるだろう。貿易摩擦は年中行事と化すだろう。今日の新聞にも日本の対米黒字をやり玉にあげ、「日本の車は低い関税で米国に入ってくるが、日本は高い関税で米国車を閉め出してる」と虚報を流している。日本は米国車の関税をゼロにしていることを仲の良い安倍首相は伝えてないとしか考えられない。トランプの虚報に確実に反論しているのは中国で、日本政府もキチンと対応すべきだ。トランプのポチに成り下がっては困る。
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奥多摩の紅葉

2018-11-06 17:56:27 | 国内旅行

天候不順で紅葉の色づきも遅れている。いつもだと昭和記念公園も色づくのだが、今年は遅い。それではと昨日、奥多摩湖から周遊道路をドライブした。

奥多摩湖は冬桜が紅葉と競っていた。

奥多摩湖付近でもまだこんな状態

高度を上げて丹波山村へ、ここの道の駅のジビエ、700円とやや高かったが鹿バーガーは絶品だった。山梨のワイン甲州も販売していたが道の駅の食堂では提供禁止となっていた。温泉施設もあるひっそりとした山里だ

五日市へ抜ける周遊道路は期待どおりの紅葉で、展望台辺りは紅葉のトンネルだった

展望台より奥多摩湖を望む

この地域何カ所か温泉施設があるが、泉質が全国日帰り温泉ベスト3にはいる五日市、瀬音の湯で休憩した。

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愛新覚羅浩展(~12月2日)に見る手紙の迫力

2018-11-04 18:02:12 | 散歩
私の生まれ故郷杉並区成宗の近く、杉並区立郷土博物館で「愛新覚羅浩展」を開催してることを友人から教わり訪ねた。中公新書で「キメラー満州国の肖像」を読んでたので、ラストエンペラー溥儀の弟溥傑へ嫁いだ愛新覚羅浩のことは知っていたし、娘の愛新覚羅慧生の天城山心中事件も記憶にあった。ところが郷土博物館は初めてだったので、そこが愛新覚羅浩の実家嵯峨家の屋敷跡とは知らなかった。
旧、嵯峨家の庭石
 
今回の展示は浩が嫁いだときの雅やかな婚礼装束が飾られていたが、中心は初公開の浩の手紙と慧生の周恩来首相への手紙で、全て読むのに1時間はかかったが、実物の迫力は凄いものだ。浩が溥傑に嫁ぐ前に学習院の親友に送った3通の手紙からは満州国の皇帝の弟に何とか日本人の嫁をという国家(陸軍?)の方針が窺われる。嵯峨家では陸軍からの要請にもちろん反対で、何とか他の華族の方をと戸惑いすらあり、再三断った。溥傑は日本人なら浩をということから最後は皇后様からのお薦めという手段を陸軍は取り、嵯峨家も浩も決断した。式次第から全て陸軍が執り行い、式の会場は軍人会館(現在の九段会館)だった。外務省も宮内庁も関わりなく、陸軍が全ての時代になっていたかのようだ。
 
その後の二人の結婚生活はラブラブで幸せで二人の娘が生まれたが、満州国の崩壊の後、一家の苦難の歴史が始まった。溥傑は戦争犯罪人として共産中国の撫順刑務所に、慧生は学生生活を日本で送っていたが、浩は次女を連れて1年余も逃亡生活、1947年ようやく日本に帰国した。慧生は日中の懸け橋になりたいと中国語を学習院高等科で勉強し、1953年「父親なら、娘の父恋しい気持ちはお解りになるでしょう」いう手紙を切々と周恩来首相に書いた。これが通じて以後溥傑と一家の文通が可能となった。この慧生の手紙は日本語訳の展示もされている。
 
浩は溥傑への手紙で慧生の死について、早くから日中の懸け橋のになると志を立てていた娘の死は衝撃的で天城山の現場を訪ねて弾丸を見つけたことから決して自死ではないと書いている。
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日本の勤労者、半分しか有給を取ってないとは!!

2018-11-02 23:00:11 | 労働
厚生労働省は先月23日、2018年「就労条件総合調査」結果を公表した。それによると2017年1年間の年次有給休暇の取得日数は9.3日(前年9.0日)で、取得率は51.1%(同49.4%)という結果だ。働き方改革とか大騒ぎをしている割には肝心の休みをきちんと取ってないことが明らかになった。与えられた休暇も消化せずに働いているのに長い間実質賃金は低迷している。途上国を含めて休暇を半分しか取ってない国は日本だけだ。
 
この調査、企業規模別にみると、有給休暇取得率は「1,000人以上」の大企業でようやく5割を超えて58.4%、「300~999人」の規模の企業では47.6%、「100~299人」の中企業で47.6%、「30~99人」の小企業だと44.3%と人手不足は労働者に重くのしかかっている。産業別では、「電気・ガス・熱供給・水道業」公共性の企業が72.9%と最も高く、「製造業」は58.4%、人手不足が深刻な「建設業」38.5%、「卸業、小売業」35.8%、そして「宿泊業、飲食サービス業」は32.5%と最も低い。時間外労働の実績がこの調査では入っていないが、おそらく有給休暇取得率の低い産業ほど時間外労働は多く、この状態では就職しようという奇特な人はいないだろうから、悪循環に陥っている。
 
いずれにしろ実質賃金は上がらない、有休も満足に取れないという状態で日本の勤労者は散々だ。経営者の報酬は毎年上がり、企業の内部留保は貯まる一方なのに。当たり前の権利である有給休暇を100%取ることが働き方改革の一丁目1番地だ。
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