アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

絶対音感より大事なもの。

2012年10月05日 | ピアノ
発表会で弾くとき、なんでだかいつもより速く弾き始めちゃって慌てたことはありませんか?

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それで、あれーどうしようと思っているうちに崩壊したりとか。あるいは、ふつうのテンポで弾き始めたのに、焦るたんびにだんだん速くなってしまって、指がついていかなくなるとか。

初心者がたくさん出る発表会などで聞いていると、だいたい速くなる系の人が多いような気がします。私はなぜだか、緊張すると遅くなってしまうことが多くて、それはそれで…指がもつれなくても聞いてる人はつらいと思います(-_-;; なんで遅くなっちゃうんだろう。慎重にしようと思うあまり?? 練習の録音と本番の録音で比べると、たいがい本番のほうが長い。

ともかく、安定感のある演奏をする人というのは、ちゃんと訳あって自分でこうしようと思うテンポで弾いている人であり、また、途中で訳もなくテンポが変わっちゃったりしない人ですよね。

絶対音感がなくたって、ピアノは調律師さんが調律してくれてあるから大丈夫ですが、テンポはステージ上、孤独に決めなくちゃいけません。ここがゆらぐとすべてがゆらぐ。

チャイコフスキー・コンクールで優勝した諏訪内晶子さんが、小学四年生のときに受けた全日本学生音楽コンクールでは、東日本の一位になったものの、全国大会のときはテンポ設定を誤り、よい演奏ができず優勝を逸したそうだ。諏訪内さんはその悔しさをバネに、その次のコンクールでは絶対テンポ感の確立をめざす。(*)

「規則正しい生活をし、練習時間や方法も自分で決めたルールを守ること。そうしないと、いざというときに破綻が生じる。自分の出来る最善の時間割を作り、それを守ることにしようと、私はそのときに決心した。」

それで、夏休みには、「塾-昼食-プール-昼寝-バイオリン」と判で押したような生活をやりとおして、実際に今度は全国優勝。

ほんとのほんとに、規則正しい生活をすることで確かなテンポ設定ができるようになるのか、なんだか疑わしくもあるが(^^;; ともかく、強い意志を感じるエピソードだ。

さらに、チャイコフスキー・コンクールのときには、風邪を引いて高熱を出してしまうというアクシデントがあったけれど、

「解熱剤を飲み続けたおかげで、体温は三十七度前後まで下がっている。薬の副作用で荒れた胃が、何とも不快だった。私は、脳から送られる信号がきちんといつもの早さで指先に伝達されること、それだけを注意してステージに上がった。」


レベルの違う話で恐縮だけれど、素人は素人なりに、よい演奏をするにはまずは普段どおりのテンポで弾き始めることが肝要だと思う。

明日、よいピアノで弾く機会があるのだけど、練習する時間もないので、混乱するようなややこしい曲にはしない。今回のテーマは、ずばり、「納得のテンポ設定」。ところで、いまさらというかこの生活の中で、規則正しいもへったくれもないんで、できることは何だろう…とりあえず、弾き始める前に一呼吸、心の中で一小節流してみるっていうところを確認したいと思います。

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(*)「ヴァイオリンと翔る」(諏訪内晶子、NHK出版)より
コメント (2)
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