昨日の話の続き。「うさぎパン」文庫版の後半に載っている、スピンアウト作品。違う角度からみた研究室を描いた「はちみつ」という短編があります。
←基本的に変人のほうが好き
うさぎパンのほうで、家庭教師として出てくる「美和」のいる研究室で、事務員が必要になったとき、美和の口利きで美和の幼友達が働くことになったんだけれども。
この女性は、美和といろいろと違うからかえって仲が良かったというタイプで、どっぷり恋愛体質。
失恋きっかけで、ふつうに「食べる」ってことができなくなっちゃったという傷を抱えています。美和は、彼女なりのやり方で、友人が「食べる」ことを取り戻すきっかけを探ってますが、そんなにうまくいってなくて。
で、この恋愛体質女子、ある意味、美和よりずっとフツーの人から見て、この研究室にいるのは確かに変人ばかりなんです。「一般常識にも生活感にも乏しい」。
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出勤したら学生が床に倒れて爆睡していたり(最初のときは単に徹夜明けだというのがわからずに救急車を呼んでしまった)、実験結果をパソコンに保存しそこねた助手のひとりが逆上して液晶画面に頭突きしたり(研究室の電話には修理業者の番号が短縮ダイヤルで入っている)、きちんと整理しておいたキャビネの中身が翌日には泥棒が入った後のようにしっちゃかめっちゃかにひっくり返されていたりもする(いたりもする、というか、だいたい毎朝そうだ)。研究室の面々は、日によって口をきいてくれなかったり、逆にぺらぺらとわけのわからないことを熱心に話し出したりする。
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けど、彼女はそれが特に苦になるわけではなく、「救急隊員には誠意を持って謝ればいい。散らかった棚はまた片づければいい。話しかけても返事がないときは、研究に没頭して上の空になっているのだから、そっとしておければいい。機嫌よく喋っている分には、にこにこして聞き流せばいい」と思っています。ということはつまり、この人も案外素質あるってことです。
なんの素質かというと、理系の素質ではなくて、理系の人々と快適にいっしょにいられるという素質です。
この小説の中で、彼女は、ふとしたきっかけから、ある先生と心の交流が生まれて、「食べる」ことの健全さを取り戻すことになります。この先生は、この研究室の中でも筋金入りの変な人、仙人といわれるくらい浮世離れした人なんですが。
もちろん、最初はコミュニケーションがとりづらいし、何考えてるんだろって感じなのですが、淡々とその仙人が自分のペースで弁当を食べたり、ちょっとしゃべったり、突然なんだか気を遣ってくれたり、そんなことで妙に癒される瞬間が訪れるわけですね(別に男女の浮いた話ではありません)。ということはつまり、この事務員さん、自分が理系ではないけど、理系電波を受信することはできる人だったということです。
自分が理系の人でなくても、リケダンとチャネルが合う人だったら、リケダンって結構お得です。素朴で誠実、裏表なく、わかりにくいかもしれないけれど真心あり、ま、ちょっとこだわりが強かったり、抜けが多すぎたりしてやっかいなところはあるでしょうけど、慣れればそれもまた「味」です。
そういえば、私は大学時代の経験から、すごくモテるタイプだと思っていましたが、単にリケダンとチャネルが合うタイプということなのかもしれません。その証拠に、いろんな人からバラエティーに富んだ宝物(物理的な意味ではなく)を受け取ることができたけど、男女関係的浮いた話になったわけじゃないですからねぇ。
最初、美和は、友人を事務員として自分の研究室(変人の巣窟)に連れ込んでしまった手前、「悪いひとたちじゃないんだけど、まあ、大目に見てあげてよ」とかいって気にしてるんだけれども、この事務員さんから見ると、美和も、男性陣が見せる突飛な生活スタイルとか奇癖とは違うけれどももっと「物事の考え方や性質の面で」十二分に変わった人だということになる。
自覚に乏しいのも、リケジョ、リケダンに多く見られる傾向なのかも…あ、私は違いますよ(笑)
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社
←またろうがイラストを描いた本(^^)

「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)

うさぎパンのほうで、家庭教師として出てくる「美和」のいる研究室で、事務員が必要になったとき、美和の口利きで美和の幼友達が働くことになったんだけれども。
この女性は、美和といろいろと違うからかえって仲が良かったというタイプで、どっぷり恋愛体質。
失恋きっかけで、ふつうに「食べる」ってことができなくなっちゃったという傷を抱えています。美和は、彼女なりのやり方で、友人が「食べる」ことを取り戻すきっかけを探ってますが、そんなにうまくいってなくて。
で、この恋愛体質女子、ある意味、美和よりずっとフツーの人から見て、この研究室にいるのは確かに変人ばかりなんです。「一般常識にも生活感にも乏しい」。
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出勤したら学生が床に倒れて爆睡していたり(最初のときは単に徹夜明けだというのがわからずに救急車を呼んでしまった)、実験結果をパソコンに保存しそこねた助手のひとりが逆上して液晶画面に頭突きしたり(研究室の電話には修理業者の番号が短縮ダイヤルで入っている)、きちんと整理しておいたキャビネの中身が翌日には泥棒が入った後のようにしっちゃかめっちゃかにひっくり返されていたりもする(いたりもする、というか、だいたい毎朝そうだ)。研究室の面々は、日によって口をきいてくれなかったり、逆にぺらぺらとわけのわからないことを熱心に話し出したりする。
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けど、彼女はそれが特に苦になるわけではなく、「救急隊員には誠意を持って謝ればいい。散らかった棚はまた片づければいい。話しかけても返事がないときは、研究に没頭して上の空になっているのだから、そっとしておければいい。機嫌よく喋っている分には、にこにこして聞き流せばいい」と思っています。ということはつまり、この人も案外素質あるってことです。
なんの素質かというと、理系の素質ではなくて、理系の人々と快適にいっしょにいられるという素質です。
この小説の中で、彼女は、ふとしたきっかけから、ある先生と心の交流が生まれて、「食べる」ことの健全さを取り戻すことになります。この先生は、この研究室の中でも筋金入りの変な人、仙人といわれるくらい浮世離れした人なんですが。
もちろん、最初はコミュニケーションがとりづらいし、何考えてるんだろって感じなのですが、淡々とその仙人が自分のペースで弁当を食べたり、ちょっとしゃべったり、突然なんだか気を遣ってくれたり、そんなことで妙に癒される瞬間が訪れるわけですね(別に男女の浮いた話ではありません)。ということはつまり、この事務員さん、自分が理系ではないけど、理系電波を受信することはできる人だったということです。
自分が理系の人でなくても、リケダンとチャネルが合う人だったら、リケダンって結構お得です。素朴で誠実、裏表なく、わかりにくいかもしれないけれど真心あり、ま、ちょっとこだわりが強かったり、抜けが多すぎたりしてやっかいなところはあるでしょうけど、慣れればそれもまた「味」です。
そういえば、私は大学時代の経験から、すごくモテるタイプだと思っていましたが、単にリケダンとチャネルが合うタイプということなのかもしれません。その証拠に、いろんな人からバラエティーに富んだ宝物(物理的な意味ではなく)を受け取ることができたけど、男女関係的浮いた話になったわけじゃないですからねぇ。
最初、美和は、友人を事務員として自分の研究室(変人の巣窟)に連れ込んでしまった手前、「悪いひとたちじゃないんだけど、まあ、大目に見てあげてよ」とかいって気にしてるんだけれども、この事務員さんから見ると、美和も、男性陣が見せる突飛な生活スタイルとか奇癖とは違うけれどももっと「物事の考え方や性質の面で」十二分に変わった人だということになる。
自覚に乏しいのも、リケジョ、リケダンに多く見られる傾向なのかも…あ、私は違いますよ(笑)
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社

「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)