私がPC上に
「育休がふつうになってもなぜ働くお母さんが増えないの?」
という記事を表示したままにしていたら、通りすがりのこじろうがふとそれを見ていて、
←やっぱ基本的な「ダウト力」は育てておきたいものですよね
「んー?? お母さん、『定員充足率』って何?」と聞きます。
私が「あぁお兄さん、お目が高いねぇ。それはその筆者が分母と分子を逆にしているんですよ」というと、
こじろう「あっ…ですよねー、いやー何だろうと思った(^^;;」
こじろうがひっかかった問題の個所は
----
逆にこの間、保育園数と定員充足率は増加の一途をたどっています。2005年に22,000強だった保育所の数は、2013年には24,000を超えました。また、定員充足率は全国平均で2000年に100.4%と100%を超え、2009年には103%と一貫して定員を上回っており、「保育園の数が不足しているので働けない」という声は一部の都心など人口が集中して保育園が不足している地域のみにしか当てはまらないと言えます。
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です。
定員充足率というのは、「利用児童数÷定員」(厚労省のページより)のことで、50%なら半分がら空き、100%ならちょうどぴったり埋まってる、103%というのはちょい無理目につっこんだということになります。この人は逆に考えたのね。
けれどもそもそも件の記事は、そんな小さな(あまり小さくないけど)ほころびをツッコむために取り出したものではありません。元々、マイミクのかずいさんが「普通の基準がおかしい。産休育休が取れるのはごく限られた大手企業や公務員だけ。ママ人口の何割がそういった所に勤めてるのさ?」とつぶやいているのを見て、読みに行った記事です。
記事には「いったいこの差は何なのでしょうか? 私には答えは1つしか思いつきません。それは、多くの女性が第一子出産後、育児休暇を取得してから退職している、ということです。」とあり、この方の脳内結論では「育休後ブッチ」の図が渦巻いているらしいのですが(-_-;;
ここでいう「この差」というのは、
・平成24年度雇用均等基本調査。育休取得率は高い
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平成24年度の厚生労働省の「雇用均等基本調査」では、女性の育児休業取得率は15年前の1999年には56.4%だったのが、リーマンショック後でピークの2008年には90.6%となり、2012年度でも83.6%と約30ポイントも上がっています。
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・国土交通白書 2013。出産後も働いている人はなかなか増えない
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「国土交通白書2013」によると第1子出産後の退職率は2000年~2004年の40.6%と比較して2005年~2009年では43.9%と逆に増えているのに、同時期で育休利用して就業継続している女性は14.8%から17.1%とわずか2.3%しか増加していないのです。
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のことを指しています。あれ? 増えたとか減ったとかの話で、比べてる年が合っていないけど。と思ったアナタ。それもそうなんです。そのままじゃ比べられませんが、そもそも、もっと根本的な問題があります。
前者は、「男女の雇用均等問題に係る雇用管理の実態を把握することを目的とする。」というもので、企業にお勤めの人の男女比較とかに主眼があるんです。対象は、「日本標準産業分類に基づく16大産業」の「常用労働者5人以上を雇用している民営事業所のうちから産業・規模別に層化して抽出した事業所」となっています。あくまで、お勤めの方を事業所ごとに調べたものです。
一方、後者は、一般の女性が調査対象なので、まず妊娠前から働いていない人や、出産退職した人が相当いて、育休取らないで働いている人もいて、そのうえで「育休利用して就業継続している女性は14.8%から17.1%」になったんですよ。
この筆者の頭の中では何から何を引き算したのでしょう。というか、「私には答えは1つしか思いつきません。」などという前に、厚労省のPDFの先のほうを読めばこの人が知りたかったことの答えがズバリ書いてあります。
育休を取ったあと、結局辞めてしまった女性は、7.9%(H22)、10.2%(H24)です。決して「多くの女性が第一子出産後、育児休暇を取得してから退職している」というようなものではなくて、育休のあと復職した人が9に対して、退職しちゃった人が1ということは、「育休利用して就業継続している女性は17.1%」からざっくり計算すると2%弱の女性が育休のあと退職しちゃったんですかね。
この女性たちが、結局保育園が見つからなくて諦めたのか、子どもが病弱だったとか親が倒れたとか、育休もらってからドロンしようと思ってたのかとかはわかりません。もし預け先が確保できなかったんならなんとかしてあげたほうがいいだろうし、給付金だけもらいたかったんならそれはぜひやめてもらうとしても、結局のところ、
「育休が普及してもWMは増えないの?」かどうかというところに話を大きく戻すならば。
まずは、「育休を取って(本人がその気で保育園があれば)戻れる」という前提が成り立つ職場自体が(女性の職場としては)かなりレアになっちゃってる状況をなんとかしないと、問い立て自体が意味のないものに。
それにしても、数字を並べ立てて記事を書くのにその数字の意味を根本的に誤解しているとか、ものすごく残念感が漂いますな~。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社
←またろうがイラストを描いた本(^^)

「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)
「育休がふつうになってもなぜ働くお母さんが増えないの?」
という記事を表示したままにしていたら、通りすがりのこじろうがふとそれを見ていて、

「んー?? お母さん、『定員充足率』って何?」と聞きます。
私が「あぁお兄さん、お目が高いねぇ。それはその筆者が分母と分子を逆にしているんですよ」というと、
こじろう「あっ…ですよねー、いやー何だろうと思った(^^;;」
こじろうがひっかかった問題の個所は
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逆にこの間、保育園数と定員充足率は増加の一途をたどっています。2005年に22,000強だった保育所の数は、2013年には24,000を超えました。また、定員充足率は全国平均で2000年に100.4%と100%を超え、2009年には103%と一貫して定員を上回っており、「保育園の数が不足しているので働けない」という声は一部の都心など人口が集中して保育園が不足している地域のみにしか当てはまらないと言えます。
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です。
定員充足率というのは、「利用児童数÷定員」(厚労省のページより)のことで、50%なら半分がら空き、100%ならちょうどぴったり埋まってる、103%というのはちょい無理目につっこんだということになります。この人は逆に考えたのね。
けれどもそもそも件の記事は、そんな小さな(あまり小さくないけど)ほころびをツッコむために取り出したものではありません。元々、マイミクのかずいさんが「普通の基準がおかしい。産休育休が取れるのはごく限られた大手企業や公務員だけ。ママ人口の何割がそういった所に勤めてるのさ?」とつぶやいているのを見て、読みに行った記事です。
記事には「いったいこの差は何なのでしょうか? 私には答えは1つしか思いつきません。それは、多くの女性が第一子出産後、育児休暇を取得してから退職している、ということです。」とあり、この方の脳内結論では「育休後ブッチ」の図が渦巻いているらしいのですが(-_-;;
ここでいう「この差」というのは、
・平成24年度雇用均等基本調査。育休取得率は高い
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平成24年度の厚生労働省の「雇用均等基本調査」では、女性の育児休業取得率は15年前の1999年には56.4%だったのが、リーマンショック後でピークの2008年には90.6%となり、2012年度でも83.6%と約30ポイントも上がっています。
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・国土交通白書 2013。出産後も働いている人はなかなか増えない
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「国土交通白書2013」によると第1子出産後の退職率は2000年~2004年の40.6%と比較して2005年~2009年では43.9%と逆に増えているのに、同時期で育休利用して就業継続している女性は14.8%から17.1%とわずか2.3%しか増加していないのです。
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のことを指しています。あれ? 増えたとか減ったとかの話で、比べてる年が合っていないけど。と思ったアナタ。それもそうなんです。そのままじゃ比べられませんが、そもそも、もっと根本的な問題があります。
前者は、「男女の雇用均等問題に係る雇用管理の実態を把握することを目的とする。」というもので、企業にお勤めの人の男女比較とかに主眼があるんです。対象は、「日本標準産業分類に基づく16大産業」の「常用労働者5人以上を雇用している民営事業所のうちから産業・規模別に層化して抽出した事業所」となっています。あくまで、お勤めの方を事業所ごとに調べたものです。
一方、後者は、一般の女性が調査対象なので、まず妊娠前から働いていない人や、出産退職した人が相当いて、育休取らないで働いている人もいて、そのうえで「育休利用して就業継続している女性は14.8%から17.1%」になったんですよ。
この筆者の頭の中では何から何を引き算したのでしょう。というか、「私には答えは1つしか思いつきません。」などという前に、厚労省のPDFの先のほうを読めばこの人が知りたかったことの答えがズバリ書いてあります。
育休を取ったあと、結局辞めてしまった女性は、7.9%(H22)、10.2%(H24)です。決して「多くの女性が第一子出産後、育児休暇を取得してから退職している」というようなものではなくて、育休のあと復職した人が9に対して、退職しちゃった人が1ということは、「育休利用して就業継続している女性は17.1%」からざっくり計算すると2%弱の女性が育休のあと退職しちゃったんですかね。
この女性たちが、結局保育園が見つからなくて諦めたのか、子どもが病弱だったとか親が倒れたとか、育休もらってからドロンしようと思ってたのかとかはわかりません。もし預け先が確保できなかったんならなんとかしてあげたほうがいいだろうし、給付金だけもらいたかったんならそれはぜひやめてもらうとしても、結局のところ、
「育休が普及してもWMは増えないの?」かどうかというところに話を大きく戻すならば。
まずは、「育休を取って(本人がその気で保育園があれば)戻れる」という前提が成り立つ職場自体が(女性の職場としては)かなりレアになっちゃってる状況をなんとかしないと、問い立て自体が意味のないものに。
それにしても、数字を並べ立てて記事を書くのにその数字の意味を根本的に誤解しているとか、ものすごく残念感が漂いますな~。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社

「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)