アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

ピアノでうたう歌と言葉

2015年02月04日 | ピアノ
メンデルスゾーンの無言歌集で、今うちにある楽譜は、よれよれになった全音版で、よれよれになってるのは私が弾いたからではなくて、母の生徒さんがいっぱい弾いたから(つまり実家から持ってきたもの)。

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←「田園」「運命」とか名づけられてるほうが番号だけより売れる気はする

それを見て育ったので、無言歌というだけあって歌詞はないけど、一曲ずつみんなタイトルってのがついてるもんだと思ってました。ちなみに私が大人ピアノ初の発表会で弾いた曲は「さすらい人」といいます。演奏のほうはちょっとすごく…黒歴史なんですけど。

でも「知って得するエディション講座」にあった一覧表によりますと、これはもともとついていたタイトルではなく。というか、タイトルがあったものは「二重唱」ほかほんのいくつかで、大半はついていなかったそうで、びっくり(o_o)

全音版にあるタイトルも、けっこうぴったりした、曲の感じを表すようなものが多くて、すっかり納得しちゃってましたが。曲がわりと情景描写的だったりして、タイトルがほしくなるんですよね。メンデルスゾーン自身も、愛称のような、身近な人に通じる名前をつけていたりしたそうなんですけど、それをあえて出版では出さなかったといういきさつのようです。

そうするとかえって気になっちゃうのが人間ってもので(^^;; 実際、シューマンさんを始め、何人かがメンデルスゾーンさんに問い合わせをしたそうなのですが、彼のお答えは、
「音楽について言葉で語ることは、ほとんど無意味です。本当の音楽は、言葉よりずっとよいもので私たちの心を満たしてくれます。それを言葉で表現しようとするどんな試みも、私は不十分だと感じます。曲を作った時に私が何を考えていたかと訊かれたら、私はそこにある歌そのものだと答えるでしょう。たとえ何らかの言葉を思い浮かべていたとしても、誰にも教えたくありません。言葉の意味するものが、人によって異なるからです。歌だけが誰に対しても同じことを意味し、同じ感情を呼び起こすことができるからです。

…「誰にも教えたくありません」だってよーこりゃ脈ナシですね。

それにしても、太字にした部分って、独特じゃありませんか?? ふつう、言葉をきらう理由をいうなら、歌(音楽)は受け取る人により様々なイメージや感情を呼び起こすはずなのに、言葉をつけたらそれを限定してしまうから、と考えるのではないでしょうか。

それが逆で、言葉は曖昧で歌は同じ意味同じ感情だっていうの。

この本のもう少しあとのほうに出てくるリストさんは、この点に関して対照的な考えを持っていたように見えます。

有名な「愛の夢第三番」の初版楽譜には、曲が始まる前にまず1ページまるごとを使って、元となった歌曲の歌詞が載っています。それも、ピアノ曲としては含まれていないレシタティーボ以降の歌詞までが印刷されているのです。

その、ピアノ曲にはないけれど掲載されていた部分というのは
「言葉に気を付け、冷たい言葉を漏らさないようにしてください。ああ神様、悪気はなかった。でも相手は立ち去りながら涙するのです。」

…なんと、甘く優しい系じゃなくて、どーんと暗重いではありませんか。

ピアノ曲としてのまとまりを重視して(なのかな?)カットした部分があっても、詩の内容としては知ったうえで弾いてほしかったということのようです。

曲が世に出るときに、言葉を伴っていくことをよしとするかどうか。

まぁ、どこまでいっても、音楽で伝わることと言葉で伝わることって、多義性なりニュアンスなりが絶対違うんだから、コラボさせて楽しむっていうのはアリだと思うんですよね~こないだのフォーレのドリーみたいに、タイトルミスで犬が猫に変わっちゃって、猫で納得されてるとかはどうなんだろうって話もありますが、それはそれ、その曲の運命というか別の楽しみ方っていうか。

にほんブログ村 ピアノ  ←ぽちっと応援お願いします
にほんブログ村 ヴァイオリン ←こちらでも
にほんブログ村 中高一貫教育


「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)


「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする