アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

子育て終盤、教養主義的雑談のススメ

2015年02月08日 | 生活
【ブラームス】ネチネチグチョグチョした感情の吐露を、理路整然と話す老紳士の恐ろしさ。

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これは、「クラシック悪魔の辞典」(鈴木淳史)という、shigさんち書庫から借りてきた本の一節。私がこれを「おもしろい」と感じるのは、ブラームスという作曲家のことを知っているから、というか、より正確にいえば、このあいだ(まさにその、晩年の作品であるところの)間奏曲を弾いたからだ。

つまり、人が「おもしろい」と感じるのは、知っているとか、体験したことがあるとか、考えたことがあるとかそういうベースがあって、そこをちょいとヒネられたときである。こういう「おちょくり」辞典モノを楽しむためには、そのような「教養」が必要なのであって、正直なところ、私はかなり限定された部分しか楽しむことができなかった。

【ムストネン(ピアニスト)】ピアノをチェンバロに変換してしまう精度の高い装置。

こんなのは、ムストネンさんがどんな人だかまったく知らないので心にヒットしない。もちろんこの名前を検索フィールドに放り込んでみたら何かわかるかもしれないけど、そこまで時間かけて説明されて面白いってもんじゃないし。

この本を読んでみると、つくづくわかったことは私はまったくもってクラオタじゃないってことだ(^^;;
自分がたまたま触れ合った曲や作曲家や演奏家のことしか知らないものね。

およそ、誰かと雑談をしていて面白いというのはなかなか高度な技なのであって、それが成立するためにはその誰かと何か共有できているベースがあるというのが必要条件だ。人と人としての相性というのはまた別の問題でそれもまた必要条件だけれど。

私は特に今年に入ってから、ピアノやバイオリンもそこそこしか弾いてないし、ブログもそこそこしか書いてないし(一時よりはずいぶんペースが落ちている)、それではその分の時間にいったい何をしているかというと、わりと…子ども(のうち誰か)と雑談しているのである。

またろうの部屋を片付けながら(なんとなく引越し準備)
こじろうとくだらないバラエティー番組を見ながら
はなひめと買い物をしながら


たとえばテレビを見るといったことは気軽な娯楽だけれども、時間をなかなか吸い取るので、なんとなく避けていたところがあった。けど、まぁいっしょに見ようかなとか。会社に行くとき、ちょっと五分ずらしていっしょにいけるなら駅まで行こうかなとか。YouTubeでおもしろい動画見つけたから教えてあげようとか。新聞やNewtonとか話のネタになるものを買って帰るとか。

要するに、たまたま機会があれば子どもの誰かといっしょの時を過ごし、ついでになんか話をしようとしているである。

これは、こじろうやまたろうの進路が決まってひと段落した、ということもあるんだけど、一番大きいのは、気が付いたら子どもたちが…というかとりわけこじろうが…雑談相手として十分手ごたえのある相手に成長していたことである。

知らないことだらけの幼い子どもとのおしゃべりはまた別の楽しみだろうけど、雑談の楽しみというのは、お互いの共通知識や理解あってのものだ。

こじろうは、中学受験という機会を経て、日本語の読み書きや理科や社会の基礎知識や、そんなものを仕込んでから中学生。そこで友人関係が広がってあれやこれや、学校での授業は大学受験もないのでわりと教養重視(?)という表現が適切かどうかわからないけど、まっしぐらに「学力」を身に着けるというよりはもうちょっと寄り道的なところでもあるし、そんなこんなで六年経ったら当然中二病も通り過ぎてるし、今や。。

こじろうに比べるとまたろうは、無教養とまではいわないけれど変なところを深堀りしていて、ノリもずいぶん違って妙なこだわりも強くて私とは話が合わないところが多いのだけど、合うところはやっぱりおもしろい。というか、いいやつだなぁと思う。

はなひめはまだまだだけれども、こじろうと同じく中学受験を経て「打てば響く」友人にたくさん囲まれ、学校もやたらと教育熱心なので、高三になったころにはこじろう以上の手ごたえある相手になっているかもしれない。

子どもの側からみて、親と「雑談」することに価値があると感じるかどうかは知らないけれど、これからもしかして親子の人生の重大な齟齬があっても、それまでになんとなくだらだらと楽しく雑談ができた蓄積があったら、乗り越えていきやすいような気がする。あるいは、友だちとの若い会話とまた違う「味」が人生でなんかのコヤシになったとすれば親業の甲斐があるというもの。

はなひめはともかく、あと二人は母と気軽に「雑談」してくれる残り時間も少ないので、今はピアノやバイオリンやブログより、ほんの少しだけ心の優先順位を「そっち」に移している。春からの新学期が軌道に乗ったらいやでも自分の時間が戻ってくるわね。

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(今回もイラストはまたろう)
コメント (2)
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