先日「育休か出産退職か」という記事を書いたときに、実は最重要ポイントを書き落としていたので補足。
←残業してたら子ども三人いてピアノとバイオリンやってとか無理
私が、迷いや不安を抱えながらも、またろう出産の際に退職せず、復職後も挫折しないで済んだ理由のいちばん大きいもの。
それは、残業が少なかったことです。
あまり私にとってアタリマエのことだったのですっかり忘れていました(o_o)
私が1991年に就職してから今までで、月の残業時間の最高記録は「5h」。たぶん、同じ会社の中でこの記録を超える(いや、割り込む)人はいないと思う。少なくとも会ったことはない。子どもを保育園に預けて働くということは、働く時間と保育園の開園時間との乖離が少なければ少ないほどいいので、とにかく日祝の勤務や出張が少ないこと、そして残業やシフト勤務がないこと。
いわゆる「正規」「それなりの給料をもらえる仕事」で働く会社員としてこれを満たすポジション・職種がとても少ない…
子どもができたからといって、それから急に残業時間を減らすということはとても難しいと思います。
保育園のお迎えのために「やむなく」仕事を切り上げて帰る、ということがたび重なると、それをバックアップする周囲に迷惑がかかったり、自分が心苦しかったり、評価が下がったり。そういうことを考えると、ハナっから辞めてしまうことを選択しがちになるでしょう。いったん辞めて、子どもが生まれて生活の様子がわかってから、今度はそれに合う仕事を考えよう、と。
仮に、職場に「とても理解があって」、保育園の送迎ができるような職種に変更してくれるとしても、でも元はがんがん「男並みに」働いていた人ほど、それまでの仕事でイキイキと能力を生かしていた人ほど、自分で自分の働き方にフラストレーションを感じてしまうと思うんです。
私は、子どもという制約がないころでも(笑)なにせ最高記録「5h」ですから。元と変わりません。なんでこうなったかといえば、入社のときから長時間残業を避ける気満々で、営業はダメ、開発はダメ、研究にしよう♪と選んだこと。研究なら短時間ってことはふつうないと思いますが、比較的自分のペースで段取りできることは確かです。
月間フレックスタイム制か裁量労働制であれば、ある日に都合があって仕事が伸びても、別の日に早く帰るとか、トータルで残業なしにできます。こういう柔軟性があれば、仕事のトータル時間をあまり膨らませなくても中身のある仕事をしやすいわけですけど、そのためには育児のほうもそれに対応する柔軟性がなくては成り立ちません。保育園がそうほいほいと「今日は長時間」といって預かってくれませんから、たとえば夫婦で一日おきに交代しながらお迎えを担当するといったような方法が考えられます。
つまり、仕事と育児が両方「柔軟性」を持っていればそうやってなんとかかんとか一人前のフリして働くこともできるんですが。
これ、いったん女性側が仕事を辞めちゃってる場合、この状態に持って行くのは至難の業です。
まず、そもそも子どもを預けないと働けませんが、預けるところは働いてないと申し込めないというブートストラップ問題が生じます。正確にいえば「求職中」でも申し込めるんですが、優先度が下がってしまって実際にはなかなか入れません。子どもを預けるのが困難なため、家でできる仕事とか短時間の仕事をしているとやっぱり優先度が下がってしまいます。
正社員フルタイムであれは(比較的)簡単に保育園に入れるのに、求職中やパートだとなかなか入れないのです。
また、「正社員」の入り口は、圧倒的に「新卒」に向かって開かれていて、年齢も大して若くなく、子どもつきの女性を取ろうってところはあまりない。とりあえず勤められるところはたいてい、いわゆる主婦パートということになります。
これ、仕事の中身が発展性に乏しいとか、そういう問題はさておき、とにかく圧倒的に安いというところが特徴です。そしていったんその収入に落ち着いてしまうと、いわゆる「壁」があるせいでそこからは抜け出しにくくなります。
安いとどうなるかというと、夫が本気で育児や家事を担いません。
(総務省「社会生活基本調査」によれば、パート主婦の夫は、フルタイム主婦の夫より、そしてなぜか専業主婦の夫よりもさらに家事育児をしない)
担わないととうなるかというと、妻が一人で家事・育児できる範囲で仕事するという制約が絶対のものになってしまい、ますます仕事の重みを変えにくくなります。
こんなふうに、いったん辞めてしまってからの再就職となると、保育園・夫・収入・採用などいろんな壁が幾重にも張り巡らされていて、「身分の固定化」といってもいいほどの非正規の檻に閉じ込められることになります。
そもそも、一人前の仕事しながら育児できないくらい、長時間就労が基本になっちゃってるのがいけないんです(夫もね)。働きすぎか、主婦パートか、二択を求められてしまって、その間、ほどほどというものがない。「転勤」も共働きを続けるうえで重大な支障になることが多いんですが、出産前後での退職につながりやすいのはとにかく「残業」ファクターです。これについてはまたろうが生まれた20年前と比べても、世の中ちっとも良くなってる感じはしないんだよね。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)
←残業してたら子ども三人いてピアノとバイオリンやってとか無理
私が、迷いや不安を抱えながらも、またろう出産の際に退職せず、復職後も挫折しないで済んだ理由のいちばん大きいもの。
それは、残業が少なかったことです。
あまり私にとってアタリマエのことだったのですっかり忘れていました(o_o)
私が1991年に就職してから今までで、月の残業時間の最高記録は「5h」。たぶん、同じ会社の中でこの記録を超える(いや、割り込む)人はいないと思う。少なくとも会ったことはない。子どもを保育園に預けて働くということは、働く時間と保育園の開園時間との乖離が少なければ少ないほどいいので、とにかく日祝の勤務や出張が少ないこと、そして残業やシフト勤務がないこと。
いわゆる「正規」「それなりの給料をもらえる仕事」で働く会社員としてこれを満たすポジション・職種がとても少ない…
子どもができたからといって、それから急に残業時間を減らすということはとても難しいと思います。
保育園のお迎えのために「やむなく」仕事を切り上げて帰る、ということがたび重なると、それをバックアップする周囲に迷惑がかかったり、自分が心苦しかったり、評価が下がったり。そういうことを考えると、ハナっから辞めてしまうことを選択しがちになるでしょう。いったん辞めて、子どもが生まれて生活の様子がわかってから、今度はそれに合う仕事を考えよう、と。
仮に、職場に「とても理解があって」、保育園の送迎ができるような職種に変更してくれるとしても、でも元はがんがん「男並みに」働いていた人ほど、それまでの仕事でイキイキと能力を生かしていた人ほど、自分で自分の働き方にフラストレーションを感じてしまうと思うんです。
私は、子どもという制約がないころでも(笑)なにせ最高記録「5h」ですから。元と変わりません。なんでこうなったかといえば、入社のときから長時間残業を避ける気満々で、営業はダメ、開発はダメ、研究にしよう♪と選んだこと。研究なら短時間ってことはふつうないと思いますが、比較的自分のペースで段取りできることは確かです。
月間フレックスタイム制か裁量労働制であれば、ある日に都合があって仕事が伸びても、別の日に早く帰るとか、トータルで残業なしにできます。こういう柔軟性があれば、仕事のトータル時間をあまり膨らませなくても中身のある仕事をしやすいわけですけど、そのためには育児のほうもそれに対応する柔軟性がなくては成り立ちません。保育園がそうほいほいと「今日は長時間」といって預かってくれませんから、たとえば夫婦で一日おきに交代しながらお迎えを担当するといったような方法が考えられます。
つまり、仕事と育児が両方「柔軟性」を持っていればそうやってなんとかかんとか一人前のフリして働くこともできるんですが。
これ、いったん女性側が仕事を辞めちゃってる場合、この状態に持って行くのは至難の業です。
まず、そもそも子どもを預けないと働けませんが、預けるところは働いてないと申し込めないというブートストラップ問題が生じます。正確にいえば「求職中」でも申し込めるんですが、優先度が下がってしまって実際にはなかなか入れません。子どもを預けるのが困難なため、家でできる仕事とか短時間の仕事をしているとやっぱり優先度が下がってしまいます。
正社員フルタイムであれは(比較的)簡単に保育園に入れるのに、求職中やパートだとなかなか入れないのです。
また、「正社員」の入り口は、圧倒的に「新卒」に向かって開かれていて、年齢も大して若くなく、子どもつきの女性を取ろうってところはあまりない。とりあえず勤められるところはたいてい、いわゆる主婦パートということになります。
これ、仕事の中身が発展性に乏しいとか、そういう問題はさておき、とにかく圧倒的に安いというところが特徴です。そしていったんその収入に落ち着いてしまうと、いわゆる「壁」があるせいでそこからは抜け出しにくくなります。
安いとどうなるかというと、夫が本気で育児や家事を担いません。
(総務省「社会生活基本調査」によれば、パート主婦の夫は、フルタイム主婦の夫より、そしてなぜか専業主婦の夫よりもさらに家事育児をしない)
担わないととうなるかというと、妻が一人で家事・育児できる範囲で仕事するという制約が絶対のものになってしまい、ますます仕事の重みを変えにくくなります。
こんなふうに、いったん辞めてしまってからの再就職となると、保育園・夫・収入・採用などいろんな壁が幾重にも張り巡らされていて、「身分の固定化」といってもいいほどの非正規の檻に閉じ込められることになります。
そもそも、一人前の仕事しながら育児できないくらい、長時間就労が基本になっちゃってるのがいけないんです(夫もね)。働きすぎか、主婦パートか、二択を求められてしまって、その間、ほどほどというものがない。「転勤」も共働きを続けるうえで重大な支障になることが多いんですが、出産前後での退職につながりやすいのはとにかく「残業」ファクターです。これについてはまたろうが生まれた20年前と比べても、世の中ちっとも良くなってる感じはしないんだよね。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)