昨日は「活動30周年 千住明 個展コンサート」というのに行ってきました。実のところ、千住明のファンでもなんでもないというか、彼の作った曲として認識している曲すらひとつもないんだけど、「そういや、千住真理子さんの演奏を生で聞いたことがないから行きたいな」と思って行ったんです。
←バイオリン一本の表現力ってスゴイね
これって、不純な動機ってやつですかね…
不純だといけないかっていうと、いや別にいけないことはないんだけど、こう、次々演奏される曲を聞いていてね、しっかり楽しんで聴くためのとっかかりがなかなか見つからないんです。この方、映画やアニメやテレビ番組や、いろんな音楽を手掛けて、これまで数千曲に及ぶそうなんですけど、今回の「個展」ではその中から、とりわけ作曲家人生の節目になったような、選りすぐりの15曲をコンサート前半に一挙演奏していました。
「個展」というのは、概して、その本人にとって一番価値があるんだよな~
などと水を差したいわけではないのですが。会場では、オケが曲を演奏している間、その映画なり番組なりを表すタイトル画像が映し出されています。ところが、この15曲分の映画や番組、私が見たことあるものはひとつもなくて、せっかく絵を出してくれてますが、それが私には曲の「取っ手」として機能しないんです。
曲は、別にとっつきにくいものではなくて、むしろその逆ですね。こういう音楽は、映像やストーリーと一体になって作品世界を語り、盛り上げる役目がありますから、わかりやすく、ノリよく、お約束に従って打楽器が入ってドドドドと盛り上げてくれます。
でもそれを、映像とセットではなくて、コンサートとしておとなしく曲だけで聴こうとすると、「だから何?」ってなってしまうんです。これはつまり、クラシックに馴染みのない人が、うっかりオールスクリャービンプログラムのコンサートを聞きに…行かないでしょうけど(^^;; 仮に行ってしまったみたいなものでしょうか。
私はクラシックのみが好きなわけではないので、たとえばピアニートが弾く「ガンバスター幻想曲」に、涙が出そうになるほど感動してしまったのですが、あれは曲がいいとかパロディーとしてもおもしろいとか編曲がいいとかピアノとしてめちゃうまとか、そういったあれこれを差し引きますと、やはりベースは「作品世界との見事な一致」に支えられたおもしろさ(感動)なのかなと思うんです。だから一緒に聞きに行った(行かされた)きーちゃんさんは、私からやたらかいつまんだ説明「なんかキターーと思ったらそれ、ブラックホール爆弾だから!!」とか聞いたくらいで突然この曲を聞くハメになったので、私ほど感激できなくて終わったと推察します。
ところが、私のこの状態は、千住真理子さんが演奏に参加したとたんに激変します。曲は、やはり千住明さんの作曲したものですが、その中に、ほんまもんのバイオリニストのソロが入って、オケにも大勢いるバイオリンとはくっきりと異なる、音色と際立ったニュアンスで旋律が加わったら、私にとってのとっかかりができたらしいです。
がぜん曲全体が生き生きしてきたし、おもしろいと感じられるようになりました。それにしても、真理子さんのバイオリンの音色は、単に甘く澄んだというのではなくて、けっこう厳しく切り込んでくることもあり、深みがあってとてもすばらしいですね。何かをしっかり語っているバイオリンです。
コンサート後半ではいよいよ、バイオリン協奏曲がありました。これは、前半の曲とはまったく違う成り立ちで、つまり商業的作曲ではないものだそうです。千住きょうだいのもう一人、博さんの絵からインスパイアされて作曲した「Return to the Forest」というタイトルのバイオリン協奏曲。三人が原点に集結する、かえっていく、というようなイメージがあるようです。
この曲は、曲調も前半のものとはがらりと違っていて、わかりやすい「お約束」「記号」で進行していくようなものではなくて、もっと(いい意味で)うにゃうにゃした現代音楽っぽいものです。現代音楽といってもあんまりススんでるものだと私は楽しく聞けませんが、ちょうど私的にストライクゾーンで、最初から最後まで息つく暇なく引き込まれて聴いていました。
前半の曲も、真理子さんが弾いているとがぜん曲がつかみやすくなると感じたのですが、この場合はほんとうに「協奏曲」です。さっきは基本的に合奏の一員として弾いていたのが、今度は「オケ」と「ソロバイオリン」が対峙をしている様子に変わったというか、ソロバイオリンも真理子さんが弾くのを当てにして(?)重音が多い凝ったつくり。それをまたすばらしく生かして演奏していて、渋かっこよかったです。
この曲の最中ずっと、博さんの作った映像も演奏に加わっていました。前半の曲に説明的に投影されていた一枚の静止画ではなくて、静かに移り変わっていく風景が演奏と調和しているつくりになっていて、これで三人が揃って「Return to the Forest」なんですね。
最後は、アンコールの「風林火山」のタクトを振り下ろした瞬間に、風林火山ではなく「ハッピーバースデートゥーユー♪」がサプライズ演奏され(千住明さんの誕生日だった)、めろめろになってました。
「個展」というのは、その本人にとって一番価値があるんだよな~
あ、いい意味でね。
でも次は真理子さんメインのコンサートに行きたいなー
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社
←またろうがイラストを描いた本(^^)

「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)

これって、不純な動機ってやつですかね…
不純だといけないかっていうと、いや別にいけないことはないんだけど、こう、次々演奏される曲を聞いていてね、しっかり楽しんで聴くためのとっかかりがなかなか見つからないんです。この方、映画やアニメやテレビ番組や、いろんな音楽を手掛けて、これまで数千曲に及ぶそうなんですけど、今回の「個展」ではその中から、とりわけ作曲家人生の節目になったような、選りすぐりの15曲をコンサート前半に一挙演奏していました。
「個展」というのは、概して、その本人にとって一番価値があるんだよな~
などと水を差したいわけではないのですが。会場では、オケが曲を演奏している間、その映画なり番組なりを表すタイトル画像が映し出されています。ところが、この15曲分の映画や番組、私が見たことあるものはひとつもなくて、せっかく絵を出してくれてますが、それが私には曲の「取っ手」として機能しないんです。
曲は、別にとっつきにくいものではなくて、むしろその逆ですね。こういう音楽は、映像やストーリーと一体になって作品世界を語り、盛り上げる役目がありますから、わかりやすく、ノリよく、お約束に従って打楽器が入ってドドドドと盛り上げてくれます。
でもそれを、映像とセットではなくて、コンサートとしておとなしく曲だけで聴こうとすると、「だから何?」ってなってしまうんです。これはつまり、クラシックに馴染みのない人が、うっかりオールスクリャービンプログラムのコンサートを聞きに…行かないでしょうけど(^^;; 仮に行ってしまったみたいなものでしょうか。
私はクラシックのみが好きなわけではないので、たとえばピアニートが弾く「ガンバスター幻想曲」に、涙が出そうになるほど感動してしまったのですが、あれは曲がいいとかパロディーとしてもおもしろいとか編曲がいいとかピアノとしてめちゃうまとか、そういったあれこれを差し引きますと、やはりベースは「作品世界との見事な一致」に支えられたおもしろさ(感動)なのかなと思うんです。だから一緒に聞きに行った(行かされた)きーちゃんさんは、私からやたらかいつまんだ説明「なんかキターーと思ったらそれ、ブラックホール爆弾だから!!」とか聞いたくらいで突然この曲を聞くハメになったので、私ほど感激できなくて終わったと推察します。
ところが、私のこの状態は、千住真理子さんが演奏に参加したとたんに激変します。曲は、やはり千住明さんの作曲したものですが、その中に、ほんまもんのバイオリニストのソロが入って、オケにも大勢いるバイオリンとはくっきりと異なる、音色と際立ったニュアンスで旋律が加わったら、私にとってのとっかかりができたらしいです。
がぜん曲全体が生き生きしてきたし、おもしろいと感じられるようになりました。それにしても、真理子さんのバイオリンの音色は、単に甘く澄んだというのではなくて、けっこう厳しく切り込んでくることもあり、深みがあってとてもすばらしいですね。何かをしっかり語っているバイオリンです。
コンサート後半ではいよいよ、バイオリン協奏曲がありました。これは、前半の曲とはまったく違う成り立ちで、つまり商業的作曲ではないものだそうです。千住きょうだいのもう一人、博さんの絵からインスパイアされて作曲した「Return to the Forest」というタイトルのバイオリン協奏曲。三人が原点に集結する、かえっていく、というようなイメージがあるようです。
この曲は、曲調も前半のものとはがらりと違っていて、わかりやすい「お約束」「記号」で進行していくようなものではなくて、もっと(いい意味で)うにゃうにゃした現代音楽っぽいものです。現代音楽といってもあんまりススんでるものだと私は楽しく聞けませんが、ちょうど私的にストライクゾーンで、最初から最後まで息つく暇なく引き込まれて聴いていました。
前半の曲も、真理子さんが弾いているとがぜん曲がつかみやすくなると感じたのですが、この場合はほんとうに「協奏曲」です。さっきは基本的に合奏の一員として弾いていたのが、今度は「オケ」と「ソロバイオリン」が対峙をしている様子に変わったというか、ソロバイオリンも真理子さんが弾くのを当てにして(?)重音が多い凝ったつくり。それをまたすばらしく生かして演奏していて、渋かっこよかったです。
この曲の最中ずっと、博さんの作った映像も演奏に加わっていました。前半の曲に説明的に投影されていた一枚の静止画ではなくて、静かに移り変わっていく風景が演奏と調和しているつくりになっていて、これで三人が揃って「Return to the Forest」なんですね。
最後は、アンコールの「風林火山」のタクトを振り下ろした瞬間に、風林火山ではなく「ハッピーバースデートゥーユー♪」がサプライズ演奏され(千住明さんの誕生日だった)、めろめろになってました。
「個展」というのは、その本人にとって一番価値があるんだよな~
あ、いい意味でね。
でも次は真理子さんメインのコンサートに行きたいなー
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社

「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)