またろうが公立中に通っていたとき、学校で親向けの説明会があって、そこで先生は
「内申と●●テストの結果を合わせてほぼ正確に進路指導できます!! 自信を持っています」
と断言していた。
←ニーズがあるから復活するわけやね
●●テストは業者テストの名前で、別に伏字にしてるわけじゃなくて忘れただけだ(^^;;
巷ではVもぎとかWもぎとかがメジャーで、またろうは市進に通ってたから市進のテストを受けていたけど、そういうのとは別にあっちもこっちも公立中という公立中が広く利用してる業者テストがいくつかあったんだろうね。
というわけで、業者テストというのは、公立中が自校舎使って生徒全員に受けさせるもので、これで「実力」を測ってどのへんの高校に行けそうかを推測して進路指導してた。もちろん中学校の定期テストは年5回あって(これは内申に反映されるからだいじ)それだって英数国理社のテストはしてるんだけど、それじゃ「実力」が推測できないから。
ここで「実力」というのは、たとえば都立高校の入試に行って当日とれる点数のことだ。なんでそれが定期テストで推測できないかといったら、定期テストは範囲が狭いから真面目に対策する子に有利だし、あとテスト内容や正答とされるものが先生の趣味や独断や誤解に基づいてたりすると世間一般でいう実力とは違うサムシングを測ってることになっちゃうのだ(わりとよくある)。
業者テストの難易度は、いわゆる都立高入試(の標準問題)に合わせたものだから簡単で、だからこれでいうとまたろうはあんまり数学のできない子みたいに見えちゃうんだけど、どうせ難しい入試問題が出るような高校を受ける子は塾テストで判定するから問題ない。親が子どもの受験に無関心な場合も含めて全員どこかにつっこむ(中学浪人を出さない!!)ことが至上命題な中学校の先生にとっては、ほんとに大事なテストだったんだよ。業者テスト。
でもこのとき、このありがたい「業者テスト」というものが、あるときいったん禁止になって大混乱して、けど必要に迫られてじわじわ戻ってきて軌道に乗ったところだっていう話を何かで聞いて…へぇー何があったんだろって思ってたの。
…前置きがすっかり長くなった。それで、図書館でこないだ借りた本「なぜ公立高校はダメになったのか」(小川洋)にそのへんのいきさつが詳しく書いてあったので、備忘録的メモ。
きっかけは1992年秋に埼玉県の竹内教育長が県内の中学校に「業者テスト結果を私立高校に提示することを禁止する」と言い出したことだ。提示というのは何かというと、実際に入試シーズンが始まる前に、業者テストの結果を持って私立高校に相談しておくと、確約がもらえて、人材確保したい高校側と、進学先確保したい生徒側でwin-winってやつね。
つまり竹内さんの意図としては「青田買いけしからん」というつもりだった。それが、私学からも足元(公立中)からも総スカンくらって立ち往生しかけたところ、この話題に鳩山文部大臣が飛びついて自体が急展開。文相は強い調子で私学の生徒募集方法を批判し、全国の実況調査を指示した。そこからマスコミ報道にも火が付いた。
まだ調査中にすぎないはずの期間に、一面トップの見出しが「業者テスト全面追放へ」ってな調子。なぜそこまで前のめりだったのか謎だが。ともかく過熱する中で話は私学の青田買いの話というより、入試とか偏差値とかそんな話にふくらんでいったのである。
年明けて1993年1月、改革推進会議が「高等学校入学者選抜方法の改善について」という最終報告を出した。しかし内容はたいして激しいものではなくて「業者テストの結果は進路指導のひとつの参考資料」として「偏差値などに依存して…志望する高等学校を受験させないよう指導したりすることがないようにする必要がある」という調子。
ところがこの報告を受けた文部省が出した通知は「業者テストの偏差値などに依存して…指導したりすることのないよう、直ちに改善すること」といきなり調子が強まっている。業者テストの結果を参考資料として使うことも否定されていた。
通知を無視して業者テストを続ける地域があれば、西に東に赴いて叩きつぶし(^^;; 強硬に指導した。業者テストをやめて教育委員会が市の共通テストのようなものを作ったところもあったが、結果を集約して順位など出すと中止の指導が来た。公立中はデータを持たなくなり、塾の指導を頼る人が増えた。結果どうなったかというと塾推薦なるルートが現れる始末(笑)
その状態で初めて行われた入試(1994)はどうなったかというと…
公立高がガラ空きになり、私立高が激混みになった。結局、「青田買いけしからん」の趣旨からいって逆の結果にしかなっていないが、これはどういうことかというと、前年度までならココは無理だねとなって1つ下げて公立を受けるところ、偏差値指導しないわけだから、チャレンジするのだ。そうすると公立は落ちて私立に行くことになる。そりゃそうだ。
さらに、不透明になった公立高入試を避けてか、最上位層は私立に流れた。そして、前年までなら普通高校に行かなかった下位層が定員割れの公立高に流れ込み、中退率が悪化した。
つまりちょうどまたろうが保育園のゼロ歳児クラスに入園するとき、公立高入試は大混乱に陥り、そしてまたろうが中学生になるころまでには戻ってきていたんだ…それにしても、悪い結果しか招かないことを、やる前に誰か気が付かなかったのかねぇ??
業者テストや偏差値みたいなただの目安を悪者にして追放して、「偏差値なんか気にするな」って受けても、結局学力テストではじかれるのでは意味がない。偏差値ドリブンの入試(偏差値表上で1ポイントでも高いところに入れればよしとする)にせず、偏差値から見て入れそうな中から、偏差値にこだわらず行きたい学校を決めるってんならわかるんだけど。
偏差値をほんとに追放するなら、そんなもんで占えない入試にするというのが根本的解決なのは明らかで…だからこの本の最後ではナント「高校入試全廃」を提案してる(o_o) いやいやいや…誰もついてこないと思うけどな。つじつまは合ってるか…
(高度成長期の人口動態とか、この本すごくおもしろかった。けどこの著者とは仲良くなれなそう)
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●●テストは業者テストの名前で、別に伏字にしてるわけじゃなくて忘れただけだ(^^;;
巷ではVもぎとかWもぎとかがメジャーで、またろうは市進に通ってたから市進のテストを受けていたけど、そういうのとは別にあっちもこっちも公立中という公立中が広く利用してる業者テストがいくつかあったんだろうね。
というわけで、業者テストというのは、公立中が自校舎使って生徒全員に受けさせるもので、これで「実力」を測ってどのへんの高校に行けそうかを推測して進路指導してた。もちろん中学校の定期テストは年5回あって(これは内申に反映されるからだいじ)それだって英数国理社のテストはしてるんだけど、それじゃ「実力」が推測できないから。
ここで「実力」というのは、たとえば都立高校の入試に行って当日とれる点数のことだ。なんでそれが定期テストで推測できないかといったら、定期テストは範囲が狭いから真面目に対策する子に有利だし、あとテスト内容や正答とされるものが先生の趣味や独断や誤解に基づいてたりすると世間一般でいう実力とは違うサムシングを測ってることになっちゃうのだ(わりとよくある)。
業者テストの難易度は、いわゆる都立高入試(の標準問題)に合わせたものだから簡単で、だからこれでいうとまたろうはあんまり数学のできない子みたいに見えちゃうんだけど、どうせ難しい入試問題が出るような高校を受ける子は塾テストで判定するから問題ない。親が子どもの受験に無関心な場合も含めて全員どこかにつっこむ(中学浪人を出さない!!)ことが至上命題な中学校の先生にとっては、ほんとに大事なテストだったんだよ。業者テスト。
でもこのとき、このありがたい「業者テスト」というものが、あるときいったん禁止になって大混乱して、けど必要に迫られてじわじわ戻ってきて軌道に乗ったところだっていう話を何かで聞いて…へぇー何があったんだろって思ってたの。
…前置きがすっかり長くなった。それで、図書館でこないだ借りた本「なぜ公立高校はダメになったのか」(小川洋)にそのへんのいきさつが詳しく書いてあったので、備忘録的メモ。
きっかけは1992年秋に埼玉県の竹内教育長が県内の中学校に「業者テスト結果を私立高校に提示することを禁止する」と言い出したことだ。提示というのは何かというと、実際に入試シーズンが始まる前に、業者テストの結果を持って私立高校に相談しておくと、確約がもらえて、人材確保したい高校側と、進学先確保したい生徒側でwin-winってやつね。
つまり竹内さんの意図としては「青田買いけしからん」というつもりだった。それが、私学からも足元(公立中)からも総スカンくらって立ち往生しかけたところ、この話題に鳩山文部大臣が飛びついて自体が急展開。文相は強い調子で私学の生徒募集方法を批判し、全国の実況調査を指示した。そこからマスコミ報道にも火が付いた。
まだ調査中にすぎないはずの期間に、一面トップの見出しが「業者テスト全面追放へ」ってな調子。なぜそこまで前のめりだったのか謎だが。ともかく過熱する中で話は私学の青田買いの話というより、入試とか偏差値とかそんな話にふくらんでいったのである。
年明けて1993年1月、改革推進会議が「高等学校入学者選抜方法の改善について」という最終報告を出した。しかし内容はたいして激しいものではなくて「業者テストの結果は進路指導のひとつの参考資料」として「偏差値などに依存して…志望する高等学校を受験させないよう指導したりすることがないようにする必要がある」という調子。
ところがこの報告を受けた文部省が出した通知は「業者テストの偏差値などに依存して…指導したりすることのないよう、直ちに改善すること」といきなり調子が強まっている。業者テストの結果を参考資料として使うことも否定されていた。
通知を無視して業者テストを続ける地域があれば、西に東に赴いて叩きつぶし(^^;; 強硬に指導した。業者テストをやめて教育委員会が市の共通テストのようなものを作ったところもあったが、結果を集約して順位など出すと中止の指導が来た。公立中はデータを持たなくなり、塾の指導を頼る人が増えた。結果どうなったかというと塾推薦なるルートが現れる始末(笑)
その状態で初めて行われた入試(1994)はどうなったかというと…
公立高がガラ空きになり、私立高が激混みになった。結局、「青田買いけしからん」の趣旨からいって逆の結果にしかなっていないが、これはどういうことかというと、前年度までならココは無理だねとなって1つ下げて公立を受けるところ、偏差値指導しないわけだから、チャレンジするのだ。そうすると公立は落ちて私立に行くことになる。そりゃそうだ。
さらに、不透明になった公立高入試を避けてか、最上位層は私立に流れた。そして、前年までなら普通高校に行かなかった下位層が定員割れの公立高に流れ込み、中退率が悪化した。
つまりちょうどまたろうが保育園のゼロ歳児クラスに入園するとき、公立高入試は大混乱に陥り、そしてまたろうが中学生になるころまでには戻ってきていたんだ…それにしても、悪い結果しか招かないことを、やる前に誰か気が付かなかったのかねぇ??
業者テストや偏差値みたいなただの目安を悪者にして追放して、「偏差値なんか気にするな」って受けても、結局学力テストではじかれるのでは意味がない。偏差値ドリブンの入試(偏差値表上で1ポイントでも高いところに入れればよしとする)にせず、偏差値から見て入れそうな中から、偏差値にこだわらず行きたい学校を決めるってんならわかるんだけど。
偏差値をほんとに追放するなら、そんなもんで占えない入試にするというのが根本的解決なのは明らかで…だからこの本の最後ではナント「高校入試全廃」を提案してる(o_o) いやいやいや…誰もついてこないと思うけどな。つじつまは合ってるか…
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