アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

ナタリア・ストレルチェンコ ピアノ・リサイタル

2009年11月29日 | ピアノ
ナタリア・ストレルチェンコといっても誰も知らないと思うし(私も知らなかった)、その人がグレンダールの作品を弾くといってもこっちも誰も知らないと思う。

というわけで、カザルスホールという数百人も入る立派な場所でコンサートをやるというのにまったく座席が埋まらず、関係者を通じて大量に無料チケットが配布されることになった、らしい。私はいつも習っているヤマハのピアノの先生からもらったのだが、その先生は直接の関係者ではなくて友人からもらったそうだ。

なんでも、グレンダールはチラシによれば「グリーグと共にノルウェーを代表する」作曲家だそうだ。プログラム前半はグレンダールの作品、そして後半はリストの超絶技巧練習曲12曲全部…ぜんぶですか!?

よくわからないけど、ストレルチェンコさんは「13歳でセント・ペテルスブルク音楽院管弦楽団と競演」から始まって、なんかいろんな活躍をしているようなので変なコンサートではないと思う。

四名まで入れる券をもらったので、こまたろう母さん・メゾフォルテさんを誘って行ってみた。平日夜なのに、お二人ともお子さんのフォローやお仕事を放り出してつきあってくださった。

開場時刻に現地直接待ち合わせで、ロビーで軽くお握りとお茶、をしながらおしゃべり。なにしろ、こまたろう・孫またろう・本家またろうの親が揃ったのでしゃべりたいこといっぱい、叫びたいこといっぱい。なんだか、せっかくこの面子で集まったのなら、コンサートなんか聴いてる場合じゃなくて、単に飲むほうがよかったような気もする(^^;;

しかしコンサートが始まってみると、このナタリアさんがとてもチャーミングな方で、目が釘付け。走るように舞台に出てきて、にこやかにささっとおじぎをすると、椅子にお尻が乗るか乗らないかでもう弾き始めている。弾き終わったときも、ぴょこっとおじぎをすると、にこやかにすたたたたと走って舞台袖へ。なんかせかせかと動きの多い様子が子どもっぽい (といっても経歴を見ると30代だ)。こまたろう母さんもなんだか笑いをこらえている。

グレンダールの作品というのは今回初めて聴いたけれども、「子どもの情景」からおやすみ、かけっこ、などのかわいらしい題名から想像するよりもずっと技巧的な曲が多く、旋律はとてもきれいで、華やかなのだが、とてもじゃないけど、「あら、楽譜が手に入ったらこんどアレ弾いてみようかしら」という感じではない。

グレンダールのお師匠さんはハンス・フォン・ビューローという、確かそういう練習曲があったような、のピアニスト兼作曲家で、さらにそのお師匠さんのリストの教えも受けたことがあるとかで、最初の作品からして超絶技巧だったようなのだ。

それを、ストレルチェンコさんの演奏では、とても楽しげに、軽やかに、なんでもないことのように弾いており、弾きながら客席に向かってにこっとしたり、客席上方を見つめて音の舞い降りてくる様子を追ったり(?)している。

この調子なのでリストの超絶技巧12曲も連続でするするっと弾けちゃうわけだろう。プログラムが終わったあと、ふつうはゆっくりお辞儀をして、戻ったり、また出てきたりしてゆっくり時間をとり、アンコール弾くのかな、弾かないのかな、という感じになるものだが、ストレルチェンコさんはぴょこっと出てきてぴょこっとお辞儀して、さっと座る間もあらばこそすかさず弾き始めている。

そうやってアンコール二曲、さらに三回目に椅子に座りかけたときに、あっしまった二曲までっていわれてたっけ、というふうに慌てて立ち上がり、またぴょこっとお辞儀して駆けていった。まだなんかいくらでも弾けそうだ。

ストレルチェンコさんは、リストの超絶技巧練習曲のCDのほか、グレンダールピアノ作品全曲を収めたCD(全五枚)をリリースしたそうなので、そのプロモーションのコンサートなのかとも思うが、そのCDを会場で売るでもなく、なんか商売っ気が感じられない。客席は、我々のように無料で来た人がどれだけいるかわからないが、相当数いるはずで、全体の入りとしては7割くらい?? 元がとれたはずはなし、なんだかよくわからない企画であった。

ともかく、コンサート自体はたいへん楽しめたし、ホールも素敵だったので、お得感たっぷりである。

帰りは、スタバで一時間くらい話し込み、名残惜しくお別れした。…それで、あまりしゃべるほうに忙しくて、ホームコンサートのDVDを渡し損ねた。何やってるんだか…
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« SOS 2009 演奏発表会参加「も... | トップ | こじろう中間試験: けっきょ... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しい夕べ (メゾフォルテ)
2009-11-29 10:43:29
当日は本当にお世話になりました。
いや、アンダンテさん、本当に文才がおありです。当日の表現をどうされるのかと思ってましたが。

こまたろう母さんが当日鋭く指摘されていた通り、著名なコンクール入賞などをされていないことと、本格的なコンサート活動がまだここ数年なのが当日の入りに響いたと思います。しかし、このナタリアさんの何ともお茶目な感じは「芸術家は気難しく神経質」という事実&イメージを軽ーく覆すアンチテーゼとしての存在感に溢れていました。

多少神経質そうでアンニュイなCDの写真、ロシア出身、北欧物専門・・・これをどひゃーっと覆す、つい笑ってしまう(私は笑いをこらえられませんでした)お茶目な感じで、今後彼女がどうなって行くのか、見守りたい気持ちにさせる、すごいテクニックと何ともユニークな個性で、大変楽しませていただきました。
会場も、アンコール3曲目を弾こうとして慌てて立ち去ったところで暖かな笑いに包まれ、皆さんニコニコして帰られていましたよね。

>なんだか、せっかくこの面子で集まったのなら、コンサートなんか聴いてる場合じゃなくて、単に飲むほうがよかったような気もする(^^;;

ここで既に吹きだした私(笑)
返信する
楽しい夕べその2 (こまたろう母)
2009-11-29 20:06:20
いやー、楽しかったです、いろいろな意味で・・・(^^;;

最近、円熟した(老齢の)ピアニストのコンサートに行くことが多かったので、久しぶりに若い技巧派でとても新鮮でした。

バッケル=グレンダールの曲を探してみたらNAXOSで一部聞けたのですが、そんなに技巧的な曲ばかりでもなかったのですが、ストレルチェンコさんの好みで選ばれたのでしょうね。
ふつう、超絶全曲というのはないですしねぇ

帰ってからこまたろう父に、曲目と舞台での行動を報告したら、「なんだか、こまたろうと同じ臭いがする・・・」と申しておりました。やっぱり芸術家にはこのタイプが多いのでしょうか?
返信する
> メゾフォルテさんへ (アンダンテ)
2009-11-29 23:19:43
確かに、あの写真はぜんぜんご本人のイメージを伝えていませんね。
そうそう、皆さんニコニコして帰られてました。いいコンサートでしたよね。

> ここで既に吹きだした私(笑)
だってねぇ…あれじゃしゃべり足りなかったですよ(^^;;
返信する
> こまたろう母さんへ (アンダンテ)
2009-11-29 23:22:20
> そんなに技巧的な曲ばかりでもなかったのですが、
> ストレルチェンコさんの好みで選ばれたのでしょうね。
そうかもしれませんね。なんかいくらでも指まわりそうでしたもんね。あのせかせかした動作パターンと、ピアノ演奏の得意パターンは関係あるのだろうか??

> 「なんだか、こまたろうと同じ臭いがする・・・」
はは(^^;;
同じ星系の住人かもしれませんが、またろうよりはちょっと動きが多い種族のようですね。
返信する
(・o・)! (ばっかバッハ)
2009-11-29 23:39:08
そんなピアニスト&作曲家がいらっしゃったんですね。ハンス・フォン・ビューローといえば、指揮者として超有名じゃないですか。その直系のお弟子さんの作曲家の作品を演奏された、と。
なかなかに興味深いお話しでした。
返信する
> ばっかバッハさんへ (アンダンテ)
2009-11-30 13:36:05
ビューロー、よく知らなかったのでとりあえずwikiを読んできました。ベートーベン-ツェルニー-リスト-ビューローというお弟子さん関係があるんですね。そのほかの逸話もなかなかおもしろかったです。

グレンダールのほうは日本語でgoogleさんに聞いてもほとんど載っていませんね。
返信する

コメントを投稿

ピアノ」カテゴリの最新記事