カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

『もういない』と【高い】より・名も知らぬ、遠き島より

2015-10-23 22:29:45 | 物書きさん、お題です
 彼はここ数年感、人里離れた孤島で言の葉を育てながら暮らしていた。ある日、彼が大海原に自分が育てた言の葉を流してみると、やがて島の入り江に見慣れない言の葉が流れ着き、それは彼の流した言の葉に対する返事だった。海の向こうの未だ見ぬ世界の人々に思いを馳せる彼は、しかし、結局それからも島から出ることはなかった。そこが己にとっての楽園ではないのだと、孤島で暮らし始める前に思い知っていたから。
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