泣き方を忘れた霊感男と迷子の青年との365分の1日の物語
人は死なない。ただ、手の届かない世界に行ってしまうだけだ。
子どもの頃から幾多の死者が旅立っていくのを見送って来た結果、いつしかそう思うようになっていた俺も、流石に兄貴の突然死には平静でいられなかった。ましてや兄貴がどういう理由か現世に留まっていると知っては放置しておくわけにもいかず、俺は死んだ兄貴の成仏を賭けて幽霊になった当の兄貴と一緒にあちらこちらを駈けずり回ることになった。なお、タイムリミットは四十九日が終わるまで、つまり明日だ。
人は死なない。ただ、手の届かない世界に行ってしまうだけだ。
子どもの頃から幾多の死者が旅立っていくのを見送って来た結果、いつしかそう思うようになっていた俺も、流石に兄貴の突然死には平静でいられなかった。ましてや兄貴がどういう理由か現世に留まっていると知っては放置しておくわけにもいかず、俺は死んだ兄貴の成仏を賭けて幽霊になった当の兄貴と一緒にあちらこちらを駈けずり回ることになった。なお、タイムリミットは四十九日が終わるまで、つまり明日だ。