カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

貴方の為だけに

2016-03-08 01:28:49 | 依頼です、物書きさん。
大切な人をずっと待っている天才とその人物を誰より憎む人物、二人にとって余りにも短かった数年間のお話

 あの子は死んだのよという私の言葉に、彼は決して耳を貸そうとしなかった。そしてひたすらその帰りを待ち続けながら、己の天才的な才能を駆使して彼女の絵を何枚も、何枚も描き続けた。やがてそれに耐えられなくなった私は彼のアトリエに忍び込んで彼女の絵を一枚残らず引き裂き、それ故、彼は自らの命を絶った。
 これで私は彼女と彼、自分の親友を二人とも殺したことになる。
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