アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

レターフロムS19 初冬の山から晩秋の川まで

2024-11-24 | レターフロムS

「初冬の山から晩秋の川まで」レターフロムS19再掲です

 

 「ハァッ、ハァッ・・・フゥーッ」

荒い息を吐きながら、高度差約150メーターの急な斜面をゆっくりと登っていく。

三本杭山の頂上は、もうすぐそこ。

急斜を登りきると、それまで頭上をおおっていた木々がなくなり、ゆるやかな起伏の広々とした場所に出た。

そこは、三本のたるみと呼ばれる鞍部。登山道の分岐。

左手にちょこんと三本杭の頂上が見える。あと5分ほどか。

もう一方の道は、御祝山を経て、滑床渓谷へ抜けるルート(所要2時間30分)。

クマザサとアセビのあいだを歩き 、三本杭の頂上へ。標高1226メーター。

ヒュウ―!突きぬけるような青空の下、スルドク頬に冷たい北風が僕をむかえてくれた。

 

 おだやかに晴れた11月20日。

紅葉の黒尊渓谷&冬芽の黒尊山塊、三本杭山(滑床山)を歩いてきました。

黒尊スーパー林道(全面舗装 落石おおし)八面山登山口に車をおき、入山。

大久保山、八面山(1165メーター)、熊のコルを経て三本杭の頂上へ。所要、約1時間30分。

三本杭山が遠くに見える

熊のコル 冬芽の尾根をゆく

 分岐 もうすぐ頂上

              

三本杭山頂上

 

 西は、鈍く光っている宇和海。南と東は、土佐の山並み。北は、伊予の山並み。

頂上からぐるり360度開けたながめがスバラシイ。うーん、イイキブン。

 
 冷たい北風をさけ、南東の斜面に腰をおろし、黒尊川源流の水で茶をいれ、おにぎりをほうばった。

頂上には僕のほかに5~6組の登山者のすがたがみえる。

尾根のブナ、カエデ、ミズナラの落葉樹達は、すでにその葉を落とし冬芽で遠い春を待っている。

ヒュウ―!ときおり突風が吹きぬけてゆく。ほほや耳に染みる風の冷たさに冬のおとずれを感じた。

 

 ♪フン、フン、フン♪
 
頂上をあとにした僕は、鼻歌を歌いながら冬枯れの尾根を歩く。

歌は「もりのくまさん」。今年は、日本のあちこちで熊が里に出没し問題になっている。

でも、このあたりの山には、もう熊(ツキノワグマ)はいない。ザンネン!

鯨は、豊かな海のシンボル。熊は、豊かな森のシンボル。
 
 
 下山し黒尊渓谷へ。渓谷には紅葉を見にきた人達のすがたがチラホラとあった。

今年は例年にくらべて、色付いた葉がすくなくイマイチ派手さがない(台風で散った)。

木の実などの堅果類も全体的にすくないようだ(これも台風で落ちた)。

ボンヤリと紅葉をながめていると、何故かおばちゃんにつかまってしまった。

僕はおばちゃんに、このあたりの植生や自然について話す。それは、なかなか楽しいヒトトキでした。

 黒尊渓谷

 カヌー(カナディアン)の船首を白波に突っこんだ。

ザブン、ザブン!船体が大きく上下にゆれ、船内に水飛沫が飛んでくる。

汗ばんだカラダが一気に冷えてゆく。イヤッホー!気持ちよさに思わず声をあげた。

岩などの障害物にぶつからぬよう、パドルでしっかり舵をとり、瀬を下ってゆく。

流れのゆるやかなとろ場に出た。缶ビールを取りだした。ムフフ・・・。

プシュー!ウメーッ!

カヌーの上で仰向けになった僕は、蒼い空と地味な紅葉に染まる山をながめながらビールを飲んだ。

透明度高し

 

 11月おわりの四万十川。晴天。北西のゆるい風。気温17度。

あまり服を着こんでいないけど、陽のあたる水面を漕いでるとカラダが汗ばんでくる。

日陰に入る、とヒンヤリした風が心地良い。川面の水温14度。あまり沈はしたくない水温だ。

 

 減水期の川の水量は少なく、水位は、春~夏の平均的な水位よりも約1メーターほど下がっている。

浅瀬が増え、ところどころでゴツゴツとカヌーの底をこすってしまう。

水の透明度は高く、約5メーター下の川底がみえる。

水温が下がる秋~冬の川は、微生物の活動がにぶくなる。それが水の透明度が高くなる要因のひとつ。

 

 瀬に突入、入り口の浅いところは、水がないように錯覚してしまうほど透きとおっている。

まるでカヌーで空を飛んでるかのよう・・・わおっ、空飛ぶカヌーだ!(ちょっとおおげさですね)。

冬は苦手です

 

 キャラ キャラ!(モヒカンヘッドの)ヤマセミが水面すれすれを滑るように飛んでいった。

警戒心が強く、おもに支流に生息するヤマセミを本流で見るのはひさしぶり。

カメラをかまえ、そーっと近づいてみるが、もう少しで撮れそうなところで前方に逃げられた。

再び、そーっと寄っていくが、また前方に。晩秋の川でヤマセミとおいかけっこだ。

ブルブル、カワガラスが尾っぽを、ふるわせたあと、水の中に潜っていった。

 昼間でもヤカン

 

「秋の日はつるべ落とし」。秋の川は、陽が山にしずむのがとてもはやい。

ヒンヤリした空気の薄明の川原で、火をおこした。

先日の大水のおかげで、川原には流木がたくさんある。

川原に腰をおろした僕は、焚き火料理をつまみに、栗焼酎のお湯割りを飲んだ。

やがて、東の空から大きな丸い月が昇ってきた。月昇る川。

まるで今、流域で熟れているブンタンのような色と形の月。この月を「ざぼんの月」と呼ぶのかな?

 

 そろそろ(秋の透明度よい川と自然を楽しめる)カヌー&焚き火キャンプのベストシーズンも終了~。

12月に入ると、川は冷たい北風が(木枯らしが)ビュウビュウと吹きはじめます。

冬でも、ひとたびカヌーでくだれば、冬の川にしかない風、水、景色が楽しめますが。

では。



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