レターフロムS 5 「秋の黒尊川をカヤックで下る」 期間限定公開中
♪季節はずれの台風顔負けの低気圧が、窓や屋根に雨をたたきつけて荒れ狂っている♪
10月13日。平水より2、5メータほど水位が上がった四万十川は、
コーヒー牛乳色の水が、グングンと速く流れている。
14日も小雨が降り続いたが、川の水位は下がりはじめている。
15日。晴れ。四万十川は、平水よりも1、5メータの増水。水の色は、モスグリーン。
15日。朝。今日は、「黒尊川を下ってみよう」と思い立つ。
平水時の黒尊川は、カヌーで下れる程の水量はない。
しかし、「増水した時には、スリルのある面白い流れになる」と、以前知り合いから聞いていたのだ。
まずは、たまった洗濯物を2回戦、部屋の掃除をすませた。
そして、ボンヤリと空をながめ、ベランダでお茶を飲み、
弁当を作り、カャックを車につみ、11:20分、よーやく出発。
9:30には出たかったのだけど・・・「うーん、また遅くなっちまった。まあ いいか!」
黒尊川は、四万十川中下流域の口屋内村で本流に合流している、水の透明度がよい支流。
黒尊川沿いのせまい道路を上流に向かい、小1時間程走ると黒尊渓谷に着く。
このあたりにはまだ自然林が残されている。秋には落葉樹の紅葉がなかなかキレイなところだ。
その中流域5~6キロの区間をカャツクで下る。
スタート地点の川原にカヤックと装備をドロップ。
その後、ゴール地点に車を置き、チャリでカャックを置いたスタート地点へ戻る。
(道路上から見える範囲内で)川をチェックをしながら、チャリを走らせた。
下る区間には、狭い流れの岩と岩の間を縫うように、白波が激しく流れる瀬が多い。
「うーん、思っていたよりも水量が少ないなぁ。でもまぁ、やってみっか」
気持ちの級数は、ドキドキ度「6」ワクワク度「4」といったところか(10点満点として)。
天気は快晴だけど、狭い川(幅4メ-ター位)の脇には、山がせまり、
木々におおわれた頭上の空は小さく、川面を照らす日差しは少ない。
水温17、5度。薄手のウエットを着たけど、「沈脱はしたくないなぁー」。
増水で濁っている四万十川本流、でも支流の黒尊川は、水深3メータの川底が見えた。
どこを通るかな?
どどどっ
狭い川を下り始めると、ほぼ50メータの間隔で瀬があらわれた。
岩と岩のあいだを縫うようにスバヤク走る、白波。
岩に張り付いたり、落ち込みに吸い込まれぬよう瞬時に方向をきめ、流れよりも速く漕ぐ。
瀬の中では、流れよりも速く漕がないと、艇のコントロールが出来ないのだ(舵がきかない)。
やばそうだと思った瀬の手前では、カヤックをとめ、下見をして突入!
右に左にするどくターンを入れ、落差のおおきい落ち込みでは、頭から波をかぶり通過。
「ふぃーっ、忙しいっ!」
連続する瀬
ある落ち込みで、右側にせり出した、デカ岩に右肩をしたたかにぶつけ、
こらえきれず「沈!」何とか、ロールで起きあがる。
全体の流れが浅く速い所では、カヤックの底をゴツゴツとこすってしまう。
すこし弱い流れに気をゆるめ、ボンヤリと他のことを考えていて、「あっ」と気がつけば、時すでにおそし・・・。
イヤラシイ流れに吸い込まれた艇は、岩を避けきれず、またまた「沈!」ひっくり返ったまま流される。
天地がさかさま、だ。
「コツ・コツ・コツ」水底の石にあたって鳴るヘルメット。
水中で目を開けると、頭上スレスレを川底が流れていくのが見えた。
浅い水中でロールをすれば、ガツン!起きあがる時にパドルが川底をたたく。
なんとか起き上がり、一息ついていると、「キャラ・キャラ」ヤマセミが前方の水面を飛んで行った。
透明度はグッド
約1時間漕ぎ、車を置いたゴール地点着。濡れた体に秋風が冷たくしみる。ぷるぷる。
短い距離だったけれど、よい体験ができた今回の川下り。それは、秋の川のグッドタイム。
僕のココロの地図に、新たな黒尊川の時と流れが刻まれた(うわっ、さぶっ!!)。
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