時々 最高気温31度。
「もうこの辺が潮時だぜよ」
と言わんばかりに、ぶあつい灰色の雨雲たちは、空の彼方へのったりと去っていった。
ピカッと顔を見せた真夏の太陽が、ニコニコと僕に手をふっている(ように見えた・・・)。
まぶしくつよいヒカリの中、川にはゆるい南風が吹き、山には濃い緑がかがやいている。
頭上から降り注ぐセミの大合唱。「どうやら、四万十も梅雨明けのようだ」。
ジョグに出れば20分もたたないうちに、僕の顔は、たっぷりと汗をかいたグラスのように。
頬を流れる汗は、アゴからしたたり落ちてアスファルトに、黒い染みとなった。
湿った暑い空気が肌にからみ、まるでぬるめのサウナの中を走っているかのようだ。
家に戻り、絞れるほど汗をかいたシャツを脱ぎ、素っ裸でザブザブと頭から水をかぶった。
キンキンに冷やした大ぶりのグラスに、ガチガチに氷を詰め、ジンと炭酸を注ぎかるくステア。
グラスにぎゅっとライムを絞り、スライスしたライムもIN。
ベランダに出て、ハダカのまま風に吹かれながら、そいつをゴクゴクと飲んだ。
キューバの音楽をBGMに。
そして、椅子に腰をおとして、ベランダの手すりに両足をほうり投げて一遍の詩を読んだ。
「八月の終わり」
もう諦めていたのに、夏はもう一度力をとりもどした。
夏は、だんだん短くなる日に凝り固まったように輝く、雲もなく焼きつく太陽を誇り顔に。
このように人も一生の努力の終わりに、失望してもう引っ込んでしまってから、
もう一度いきなり大波に身をまかせ、一生の残りを賭して見ることがあろう。
はかない恋に身をこがすにせよ、遅まきの仕事にとりかかるにせよ、
彼の行いと欲望の中に、終わりについての、秋のように澄んだ深い悟りがひびく。
「ヘルマン・ヘッセ」 ドイツ/1877-1962
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