じゃ、僕の話をします。

『本気食聡咲』の記事は「居酒屋・和食」カテゴリーよりご覧下さい。/※各掲載店の閉店情報等は基本的に追記しておりません。

「吉花 CHICCA」

2022-10-28 | イタリアン・フレンチ
二年ぶりです。

札幌のテレビ塔近く。「創成川イースト」とも呼ばれるエリア。

そこにお店はあります。

元々は「オステリアヨシエ」と言う名のイタリアンでしたが、ちょうど二年ほど前に「吉花」としてリニューアル。

イタリアンのみならず、和食などの要素を含めた、シェフの吉江さんが生み出す「フュージョン」料理のお店となりました。




この佇まい。

この扉を開けると、今日はどんな世界が拡がるのか。

毎回、胸が高鳴るのです。

六名だけが座ることのできる、広々としたカウンター。

そのカウンターに繋がる様にキッチンが。

そして、六名のためだとしたら、贅沢なくらい広々とした店内。

席に着くと、吉江シェフが白木のケースに入った今宵の食材を紹介して下さいます。

そして、今夜自分が使うナイフを選ぶ、いつもの儀式を経て、目の前で調理が始まります。



戸井産マグロと白魚のサラダ。カブのソースと自家製カラスミ、岩海苔。

戸井は北海道の南、函館の近く。津軽海峡に面していて、つまりは「大間のマグロ」と同じエリアで獲れるマグロですね。

そこに自家製のカラスミ。

海の幸の宝石箱、ってのはまさにこのことだなと。

たまらず、日本酒を。


鯖と二十世紀梨のサラダ。山葵を添えてあります。

コレが食べたくて秋に来たんです。

この鯖と梨の組み合わせは、「オステリアヨシエ」の頃からあった、吉江シェフならではのお料理。

来てよかった…と、しみじみ思いつつ、味わいました。


たちのボリート。イタリアの魚醤で味付けをしているそうです。そして、上には平取産松茸の炙りが。

北海道の平取町で採れる松茸は、特に最近、その美味しさを耳にすることが多くなりました。

ずっと食べたかったのですが、ついに対面することが叶いました。

目の前で、シェフが松茸を割いている最中からすでに、芳醇な香りを感じました。

「ボリート」とは、イタリアの料理法のひとつらしいのですが、魚醤を使ってるだけあって、鰹出汁のような風味が。

その濃厚な旨味と、松茸の豊かな香り。

添えられたすだちを絞れば、また爽やかな味わい。これまた松茸とよく合います。

至福。

こんな素晴らしい松茸を食べる機会は、二度と無いでしょうね。


ボタンエビの漬け。


マルサラ酒に八角やシナモンなどで漬け込んだ、いわばお寿司屋さんの「ヅケ」とのこと。


イタリアンなんだけど、和食だったり、中華で多用される香辛料だったり。


「吉花」ならではのお料理のひとつ、と言うことになるのではないかと。


鵡川のシシャモのフリッター。

胸びれがカッコいい。

フリッターですけど、つまりは天ぷらですよね。



「アイコ」と言うトマトで作ったドライトマトとイクラの茶碗蒸し。甲殻類の出汁が利いています。

この食材の組み合わせの絶妙さ。

トマトの旨味は、和食の素材とも合うんですね。


ポレンタと宗谷のホタテの炙り。

最初、丁寧な卵焼きかなと。

しかし、ポレンタでした。とうもろこしの粉で作った、滑らかな食感のポレンタは、香ばしく炙られてまさに「焼きとうもろこし」。

ホタテとの相性も素敵。

メインです。

鹿肉のスモーク、帯広の和田ごぼうと松の実添え。熊石町の釜炊きの塩で頂きます。

イタリアンなんだけど、和食。

噛み締めるたびに旨味が溢れる鹿肉。

これまた旨味の塊のような牛蒡。

松の実の食感と風味が、これまた合います。

締めは…

ラーメンにしか見えませんが(笑)パスタです。

パスタ・イン・ブロード。


「ブロード」はつまりは出汁だったりブイヨン、ってことですが、今回は鹿、牛、鴨、カツオを使っていると。贅沢なスープです。


で、パスタは北海道小麦と長沼の平飼い卵で手打ちされたもの。目の前で、四角い生地をパスタマシーンで麺にしてくださいました。


途中では、味変で黒胡椒を。


もはや、超高級なラーメン…(笑)。箸でいただきましたよ。


二条市場の「のれん横丁」に「オステリアヨシエ」があった時は、よく泥酔してお店に行き、締めのペペロンチーノをお願いすると言う、今ではとても出来ない振る舞いを僕はしてまして(笑)、未だにシェフにお詫びの言葉を述べてるのですが…


本当に締めのラーメン…的な、極上のパスタを頂ける日が来るとは。




デザートは、季節のフルーツにサバイヨンソース。マルサラ酒で風味付けされています。

昔から果物を使ったお料理が、唯一無二な吉江シェフの真骨頂とも言えると、僕は思うのですが、そんなシェフが果物を活かしきったデザートを。

素材の甘さを一切邪魔せず、その美味しさを高めるソース。

うっとりします。このデザートには。

そんな、幸せな時間はあっという間に過ぎてしまいます。

以前は父の誕生日をお祝いしたり、姪を連れてきたりと、節目ごとに訪れる事も多いのですが、「自分へのご褒美」としてはこの上ありません。

本当はもっと足繁く通いたいのですが…自分には「自分を褒めたい時」に行くのが身の丈に合っているんでしょう。

それでも、いつお伺いしても、まるでご自宅に招いてくださった様に温かく迎えてくださり、素晴らしいお料理でおもてなしをしてくださる吉江シェフには、いつも感謝しかありません。



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