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080623 中国に「服従」 仏大統領

2016-04-05 11:33:08 | 海外
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‘08/06/23の朝刊記事から

中国に「服従」 仏大統領
人権より経済利益に重き


ルモンド・ディプロマティク前総編集長 イニァシオ・ラモネ     



中国・四川大地震はフランスの外交にとって中国との関係を修復する絶好の機会となった。
両国関係は4月にパリで行われた北京五輪聖火リレー以来、極度に悪化していたからだ。

パリ聖火リレーでは大規模な警備態勢にもかかわらず、デモ参加者が大勢の取材陣を前に、チベット抑圧と中国での人権侵害を糾弾した。

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は耳目を引く抗議行動を展開した。
インターネットや大手メディアによって、その行動は世界中に伝えられた。
国会議員の一団は聖火リレーの通過に合わせ、議会に「中国に人権尊重を」と書いた横断幕を掲げた。

ダメ押ししたのはパリのドラノエ市長。
チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世をパリの名誉市民に推した。

中国当局はこれらの動きを挑発とみなし、怒りを募らせた。
ダライ・ラマに名誉市民の称号を贈ることをパリ市議会が正式決定すると中国外務省は直ちに「粗暴な内政干渉だ」と反発した。

間を置かずに中国各地で反フランスの抗議行動が始まった。
市民はフランス系スーパー、カルフールの前に集まり、不買運動を呼び掛けた。
そして中国政府はこれをとがめなかった。

これほど大規模な抗議行動は中国ではまれだ。
こうした抗議行動の多くは共産主義青年団などの公的機関が後押ししていることは周知の事実だ。
今回の反フランス運動は、2005年の反日デモ以来の大規模デモ。
フランスを標的にした抗議行動は1964年の国交樹立来、初めてだ。

中国側の反応に驚いたフランス政府はすぐに引き下がった。
3年前、中国による反日宣伝の脅威にひるまなかった日本や、最近のドイツの態度とは大きく異なり、フランスはすぐさま事態沈静化に向けた行動を取り始めた。
パリのメディアはこれを「服従的態度」と呼び、批判した。


07年5月にサルコジ氏が大統領に選出されて以来、フランスと中国の関係はぎくしゃくした印象を与えている。
選挙期間中、サルコジ氏は人権問題では一歩も譲らないと繰り返し表明したが、今では自らの言葉に背いている。

07年11月、大統領就任後初めて訪中したサルコジ氏を中国は大歓迎した。



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強い関係期待

06年にフランスは中国に対して約160億ユーロの貿易赤字を記録した。
フランスの大企業トップ約40人を引き連れて訪中したサルコジ氏には、複数の大型契約の署名にこぎ着けたいとの思惑があった。
ドイツと中国の関係が緊張する中で、サルコジ氏にはフランスと中国との間で強い関係を築きたいとの思いもあった。

だからこそサルコジ氏は現実政治の名の下に、ヤド外務・人権担当相を訪中団から締め出すこともちゅうちょしなかった。
おそらくフランス大統領府は中国側の圧力に屈したのだろう。

ところが、今年3月10日にチベットで僧侶らが抗議デモを開始し、デモへの弾圧が始まると、サルコジ氏は情熱的な調子で人権侵害を非難した。
北京五輪開会式をボイコットする可能性にも言及。
中国とダライ・ラマとの対話の進展を見ながら判断すると言い切った。

しかし中国に対するフランスの毅然とした態度は長続きしなかった。
中国政府代表とダライ・ラマの特使が非公式対話の席に着き、フランス側が要求した「条件」が少なくとも形式的には満たされたことにもよるが、パリ聖火リレーの混乱に対する中国側の暴力的な反応もフランス側を尻込みさせた。



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地震機に修復

こうした中、四川大地震は両国関係のつまずきをぬぐい去る機会となった。
サルコジ大統領自ら中国大使館に出向き、中国の市民への支援を表明した。
中国に進出しているフランス企業に対しては、犠牲者の救出に尽力するよう指示した。
企業は約3百万ユーロの義援金を送り、自らの技術を被災地に役立てることを決めた。

これらの企業は、最近中国で2百億ユーロの契約を手にした。
軽蔑すべき「現実政治」に重きを置くサルコジ氏は、2百億ユーロの前では人権など取るに足らないと考えている。


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