’08/03/09の朝刊記事から
遺伝子組み換え 本格栽培12年 23カ国に拡大
作付け面積 70倍
生産性優先 新興国の伸び顕著
世界で遺伝子組み換え作物の栽培が本格的に始まってから2007年までの12年間で生産国が23カ国に増え、作付面積も約1億1430万ヘクタールと約70倍に急拡大したことが8日、遺伝子組み換え作物の普及を推進する米非営利団体の国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の調査で分かった。
遺伝子組み換え作物は、消費者の健康や生態系への影響に対する不安が根強い。しかし、世界的に穀物価格が高騰する中で①異常気象や病虫害に強い②除草剤の使用量が減る③収穫量も増える―とされる点など生産性向上を優先し、インドや中国など新興市場国、途上国を中心に作付け面積が著しく伸びている。
日本は商業栽培はしていないが、食用、飼料用に輸入している。
遺伝子組み換え作物の普及は、収穫量を増大させて穀物価格を引き下げ、食品インフレの沈静化につながるとの見方もある。石油代替エネルギーのバイオ燃料の原料にも活用されている。
ISAAAによると、遺伝子組み換え作物の作付面積は商業栽培が始まった1996年に米国、カナダ、アルゼンチン、オーストラリアの4カ国などで166万5千ヘクタールだった。その後拡大を続け、07年は世界の耕地面積の8%を占めるまでになった。
07年の国別の作付面積は米国が5770万ヘクタールと世界の約半分を占め、100万ヘクタール以上はアルゼンチン、ブラジル、カナダ、インド、中国など8カ国を数える。
遺伝子組み換え作物の全作付面積中の比率は、大豆が51%で最も多く、トウモロコシ31%、綿花13%の順。それぞれの農作物の全作付面積で遺伝子組み換え作物が占める割合は大豆64%、綿花が43%、トウモロコシが24%だった。
遺伝子組み換え作物の栽培による経済的効果はこれまでに総額340億ドル(約3兆5千億円)に及ぶという。生産国以外に世界有数の食品輸入国の日本、ニュージーランドなど29カ国が輸入を認めている。