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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)4月9日(日曜日)
通算第5260号 <前日発行>
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米中首脳会談はひとつの成果もなく、事実上は失敗
トランプ記者会見で、米中会談に一言も触れなかった
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フロリダ州パームビーチのトランプ別荘は中世ヨーロッパの古城のような風格、空から見ると、まるで軍事要塞でもある。役者二人は、表面的にニコニコしながら、一応握手もしたが、習近平の緊張ぶりは画面にもでてきた。
夕食会の冒頭、トランプは「個人的な関係は深まった。合意に到らない点もあったが、概ね良好な関係を築けたと思う」とだけ発言した。
中国側の出席者の顔は引きつった人が多い。
夕食会の出席メンバーを一瞥すると、この首脳会談に両国とも相当な心づもりで臨んでいることが分かる。
とくに通商が第一議題とばかりに、米国はムニューチン財務、ロス商務が左脇を固めた。ふたりおいてバノン顧問。右脇にティラーソン国務、マティス国防は当然にしてもプリーバス、端っこがクシュナーと三人の大統領顧問全員が列席しており、トランプ政権の中枢は誰々が握っているかの権力状況が把握できる。
中国側も王洋副首相(米中戦略対話責任者)が習の左を固めた。右には王炬寧、栗戦書、劉?らの経済ブレーンばかり。そして軍からは房峰輝参謀部長、鐘山・商務大臣が隅っこに。外交関係では王洋のとなりに楊潔チ国務委員、ひとりおいて王毅外相という布陣だった。
この陣容から判断できることは習近平の外交政策最高意思決定レベルが、奈辺にあるか。とりわけ団派の王洋が出席していること。軍からは国防大臣や中国軍事委員会副主任らをさしおいて、房峰輝が出席していることは留意しておくべきだろう。
中国側はトランプの過去の発言からして貿易不均衡、為替操作などきつい要求が出ることを警戒し、万全の体制で臨んだと考えられるが、結果的に一つの成果もなく、会談後、中国の記者が嘆息したように、「トランプの記者会見はシリア問題だけ、米中首脳会談には一言の言及もなかった」のだ。
北朝鮮問題でいかなる議論が交わされたのかは明らかではない。「北の核開発は脅威であり」「レッドラインを越える状況にある」という二点が共通の認識とされたが、あとはお互いの腹の探り合いだったようだ。また儀礼的に習近平の招待に応じ「年内の訪中」が合意されたが日程は未定とされた。
習近平は会談後、さぞ肩を落として中国へ帰る飛行機に乗ったことだろう。
□○○み□◎◎や○◎○ざ○○□き□◇◇
★ 米中会談は本当はどうだったのか、記事を読むしかないので、下記の記事もどうぞ。
米露はやはり対立でしょうか。
止まらぬ「トランプ節」にも笑顔保つ習主席 米中会談
朝日新聞デジタル 4/8(土) 3:11配信
意外と似ているトランプ大統領と習近平国家主席
6日から2日間にわたって開かれた米中首脳会談。実質的な成果を得ようとテレビカメラの前で不満をぶちまけたトランプ米大統領に対し、中国の習近平(シーチンピン)国家主席はにこやかな表情を崩さず、「良好な関係」を懸命にアピールした。国内の重要行事を控え、何としても米中関係を安定させたい中国の事情がにじんだ。
両首脳の初顔合わせとなった首脳会談で、中国側が目指したのは何よりも「首脳同士の良好な関係をアピールし、両国関係が改善している雰囲気を作る」(政府に近い学者)ことだった。秋に最高指導部が入れ替わる共産党党大会を控える習指導部にとって、北朝鮮問題や貿易摩擦をめぐって米中関係がぎくしゃくすれば、国内の政治も不安定になりかねないからだ。
ただそんな中国の事情をよそに、会談前からトランプ節は止まらなかった。パームビーチへ向かう大統領専用機で記者団に、今回の会談を通じて核・ミサイルで挑発を続ける北朝鮮に対して中国が圧力を「強めるようになるだろう」と、制裁強化などの求めに応じるとの期待感を示した。
貿易問題でも「我々は長年にわたり不公正な扱いを受け、中国とひどい取引をしてきた」と改めて不満を表明。あげくに会談当日にシリア攻撃まで重ねられた。中国はアサド政権の責任を問う国連安保理の決議案にも反対してきただけに、中国にとっては「メンツをつぶされた」と言ってもおかしくない状況だ。
それでも、国営新華社通信は「協力だけが両国の唯一の正しい選択であり、我々は必ずよいパートナーになれる」との習氏の言葉を紹介。「両首脳は深く、友好的に、長時間会談し、新たなスタート地点から中米関係を発展させることに同意した」とひたすら成果を強調した。また、トランプ政権下でも、外交・安全保障、経済、サイバーなどの4分野で対話メカニズムを活用していく方針も打ち出した。
さらに新華社は夕食会でのトランプ氏の発言についても「習主席が指導する中国は素晴らしい発展の成果を出し、世界から幅広く尊重されている」「初めて会って意気投合し、良好な友好関係を築いた」と習氏を持ち上げる内容一色。トランプ氏が「全く何も得ていない」と不満を語った場面はばっさり抜かれ、国内向けに両首脳の蜜月ぶりをアピールする狙いは鮮明だった。
一方、米政府は1日目は会談内容について一切公式発表しなかった。「両国に利益をもたらす結果重視」(トランプ政権幹部)を目指す米側にとって、期待通りの成果が得られなかったと判断しているようだ。(朝日新聞社)
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