★ 先日、藤岡信勝氏の中西京都大学名誉教授の論文を読んで感想をyoutubeで述べられていたのをUPしたが、後半は有料なのでここにはUPできず、藤岡氏がフェイスブックにお書きになった記事があるのでご紹介します。
藤岡 信勝
日韓合意に至る昨年の歴史戦の敗北について、中西輝政氏が安倍首相の責任を問い、決別宣言をした。『歴史通』5月号の「さらば安倍晋三、もはやこれまで」という文章で中西氏は、村山談話と河野談話を「未来にわたって動かしようがないほど確固たる存在」にしてしまったのが、安倍首相の昨年の外交の結果であったことを指摘し、「この場をかりて、これまでの安倍氏への支持を撤回することを明確にしておきたい」と態度表明した。
それは、支持してきた前提が違っていたのだから、「知性と論理に生きる人間として当然の義務である」という理由によるものだ。
その態度表明の意味を、中西氏はこうも表現している。
<あえてここまで言うのは、歴史認識という問題が日本の知識人にとって、生きるか死ぬかというくらい大切なものであり、そのことを忘れた人々に知らしめるために言っているのだ。それ以外に他意はない>
この論文は「政治に譲った歴史認識」と題して、3回にわたって書き継いできた連載の締めくくりにあたっており、もっとも踏み込んだ分析が行われている。
まず、事実の評価について言えば、昨年の「安倍談話」と「日韓慰安婦合意」は、歴史観をめぐるこの数十年にわたる日本の保守陣営の戦いにおいて、まさに歴史的な「大惨事」であったと言う。
<「日韓慰安婦合意」は、いまや殆ど全ての日本人が嘘だとわかっている、
韓国人慰安婦の「強制連行」と「性奴隷」化を日本政府が世界に対し公然と認めたのだから、これを「大惨事」と言わずして、そもそも何と言えようか>
論文では、私が知らなかった事実がいくつか書かれている。
その一つは、昨年の「安倍談話」発表からおよそ1ヶ月後の2015年9月18日、閣議決定された政府答弁書である。
そのなかで「(過去の日本に)「侵略」と評される行為もあった」と明言し、「その事実を率直に反省し、これからも、法の支配を尊重し、不戦の誓いを堅持していく、ということこそが、今回の談話の最も重要なメッセージである」と言い切っている。
この「侵略戦争確認の答弁書」は、私の知る限り、どのメディアも報道していない。
「侵略戦争」を認めた8月の談話と「性奴隷」をようやく日本政府が認めたとされる「日韓慰安婦合意」が合体することによって、世界的にはどういうことになるか。中西氏は言う。
<第二次世界大戦において日本が犯した罪は、ナチス・ドイツ同様まさしくホロコースト=「人類悪」に該当する戦争犯罪だということを日本の指導者が正式な形で認めたこの点に、「70年談話」と「慰安婦合意」の本質がある、と世界は受け止めているのである>
ホロコーストは責任追及の「時効」がない。だから、「70年談話」を出したこと自体によって、「子孫が謝罪の宿命から解放されることなどあり得ない」。
これに「南京大虐殺」が加われば、「東アジアのホロコースト」となることは火を見るより明らかである、と中西氏は言う。
もう一つ、私が知らなかったのは、1昨年亡くなった岡崎久彦氏の遺著『国際情勢判断・半世紀』(育鵬社、2015年)のなかで、岡崎氏は次のように語っていたということだ。
<いわゆる従軍慰安婦の問題については、第一次安倍内閣のときからの私の判断があります。この問題は勝てない、絶対に勝てないということです。(中略)(反論してはだめ、として)だめなものはだめ。ヘルメットをかぶって塹壕の中に入って、弾が頭の上をポンポン飛んでいくのをじっと耐えるしかありません>(以上)
私が1996年秋に、慰安婦問題について発言し始めた時、真っ先に支援して下さったのは岡崎氏だった。
だから、その後慰安婦問題について、このようにはっきりと発言していた事実があることを気づかなかった。私の勉強不足である。
しかし、岡崎氏のこの立場こそ、慰安婦問題に対する外務省の不動の路線だったのであり、その岡崎氏こそ安倍氏のメンター(育ての親)であり、最高の「安倍ブレーン」だったのだ。
善意の安倍首相が悪しき外務省にやられてしまった、ととらえる図式は、(そういう要素が全くないとは言えないが)ミスリーディングであることがわかる。
中西氏は、ここからきわめて重要な安倍内閣論を展開する。
<安倍政権の本質は、「外務省の、外務省による、外務省のための政権」と言ってよい>
谷内正太郎、宮家邦彦、岡本行夫、北岡伸一、といった現役の外交官、外務省出身の評論家や外務省と一体の学者などが、事実上の「安倍ブレーン」であり、「徹底してドライな現実主義」、これが安倍氏と安倍ブレーンを結びつけている「心の紐帯(ちゅうたい)」だと、中西氏は言う。
安倍政権とは、多くの人が誤解しているような「保守」政権ではなく、「徹底してドライな現実主義」に立つ、外務省のための政権であるということになるだろう。
そこから、中西氏は、保守派は安倍氏に過度に期待をかける「安倍ドリーム」から目覚め、政府に頼ることなく、民間の力だけで「日本の主張」を世界に訴えてゆくという気概を取り戻さなければならない、と提言する。
そして、「歴史戦は30年戦争」という歴史戦略に立ち、自分の目の黒いうちに実現することはなくても、延々と「戦いの火」を受け渡してゆこうと決心している、と締めくくっている。
『歴史通』中西論文は、よくぞここまで言ってくださったという、その勇気に感動した。心からの賛意と敬意を表明したい。今、必読の論文である。
<追記> 産経新聞は4月7日付け1面で、米グレンデール市のナジャリアン市長が「日韓合意」を支持した、という記事を載せている。
<2013年7月の像設置を決める採決で賛成したナジャリアン氏が日韓合意の支持を表明したのは、閣僚経験のある与党国会議員らが昨年11月、ナジャリアン氏と面会し、日韓両国の慰安婦問題に関する受け止め方の違いを説明したほか、市議会にパイプを持つ日本関係者が接触を重ねたことが背景にある>
記事は、「近く市議会に提出される見通しの支持決議案も採択される公算が大きく、慰安婦問題に関する米国での日本非難の動きに歯止めがかかりそうだ」と観測している。
本当に歯止めがかかるかは別にしても、慰安婦日韓合意がこういう形で使えるなら大いに活用すべきである。
ただ、これによって、日韓合意の致命的失敗が否定されることにはならない。さらに、これによって、「慰安婦問題は終わった」とか、「これ以上、日本から反論しない方がいい」などという考えを引き出す可能性があり、注意が必要だ。
これこそ、外務省路線そのものであるからだ。
フェイスブックで私の友達にもなっているロサンゼルス在住の作家・馬場信浩氏は、次のような投稿をしている。
<再度、申し上げておきたい。慰安婦問題は終わったのです。騒ぐのは韓国側だけにしていただきたい。
日本側が騒ぐと韓国に利用されて日韓合意が無に帰する恐れがあるからです>
<もしアメリカで慰安婦像が建つと公聴会が開かれたら、「慰安婦問題については不可逆句的に解決したという日韓合意がある。
これにはアメリカ政府もお墨付きを与えた。それでもこの市は慰安婦像を建立するのか」と反論できるのです。市長や市議達は真っ青になるでしょうね。したがって折角の合意を無為にして欲しくないのです>
<慰安婦像撤去裁判などはバカがやるものです。こうして確実に世論を変えて相手の顔をこっちに向けることが大切でした。去年こちらに来ていただいた中曽根元外務大臣、平沢勝栄自民党議員に感謝します。そして安倍総理に大感謝です>
この投稿で、産経の記事の背景がわかる。「閣僚経験のある与党国会議員ら」とは、中曽根弘文元外務大臣と平沢勝栄自民党議員であり、「市議会にパイプを持つ日本関係者」とは、馬場氏ご自身のことであろう。馬場氏はスリーショットの記念写真も公開していた。
すでに述べたとおり、日本は慰安婦問題で窮地に追い込まれており、少しでもプラスの動きにつながるものは生かさなければならない。馬場氏らのご尽力を多としたい。
ただ、馬場氏の投稿には、そのことを越えて危惧を覚える要素がある。3点指摘したい。
①「慰安婦問題は終わった」というが、グレンデールの市長が日韓合意の支持を表明したことから、どうしてそんな巨大なことが言えるのか。ジュネーブの女子差別撤廃委員会では、日本の皇室の皇位継承まで男女平等に反するという最終見解が公表される寸前だった。世界での戦いは始まったばかりだ。
②「日本側が騒ぐと韓国に利用されて日韓合意が無に帰する恐れがある」というのも、個々の小さな局面ではそういう配慮が必要なことはあるとしても、それを越えて慰安婦問題について日本側はもう発言するな、という一般的主張になるとしたら、外務省は喜ぶだろうが、日本の口封じをも狙った「日韓合意」の罠にはまることになるだろう。
③「慰安婦像撤去裁判などはバカがやるものです」というのは、目良浩一氏の訴訟を非難したものだが、暴言である。
目良氏の勇気ある行動によって、日本人がいかに励まされたか、計り知れない。そのことと、訴訟戦術の細かい当否の議論は区別すべきで、こういう論じ方は、いたずらに日本人社会に敵対的対立を持ち込むものではないかと危惧する。(以上)
★ 以上が「中西輝政京都大学名誉教授の論文」を読んだ藤岡信勝氏の感想の全文である。
先日、チャンネルAJIERで藤岡氏が語ったyoutubeは前半しかUPできず、後半は有料で会員だけが見ることができるもので、
藤岡氏自らの文で書かれたこの文をご紹介した。
三宅博氏も1月まもなくのチャンネルAJIERの動画で次のように述べられていた。(一部を転載)
国の名誉と安全保障を計りにかけて、あたかもこれが相反するような二者択一の対立的な構図を示した上で 国防上の実利が大切と言うが、これは決して安全保障と国家の名誉というものは対立するものでない、また別個のものではない。
これを同列に論じて、安倍さんの今回の日韓合意を擁護すると言うのは、一種の詐欺・ペテンに等しいと思う。
http://blog.goo.ne.jp/yaonomiyake/e/4720d5150add62fd4732d18373dd2e8b
・・・全文は三宅博氏のサイトでご覧ください。
★ 以上から・・・自民党内は自由に討議ができない、そして二階氏は「自由にモノが言える」らしい。
「理念と現実」とある人が解説をしていたが、二階氏は悠仁親王殿下がいらっしゃるのに「女性天皇がいないのは時代遅れ」などと言う。これも「どこかの国」または国内の「国会議員ならぬ『国壊議員』」の希望、はたまた「ユネスコ」の希望?
国内が危なくて仕方がない。
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★ 9月です、ベッリーニの名曲「ゆかしい月よ」をルーマニア出身の美貌と美声を兼ね備えた名ソプラノ、
(1965年生まれ、現在51歳!!、この動画の時は48歳)アンジェラ・ゲオルギューのソプラノでお聴きください。
Angela Gheorghiu - Bellini: Vaga luna - recital in Los Angeles, March 2013 (イタリア語歌唱)
・・・これはアンコール? 一輪の赤いバラを手に歌うプリマドンナ、ゲオルギュー。
「銀色の光をふりまく優雅な月よ、この岸辺を 花々を 照らし出し
この世のすべてのものに愛の言葉を吹き込む」と歌いだします。