ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

オペラのプリマドンナの演技力

2008年07月28日 | オペラ
 オペラのプリマドンナの演技力について徒然なるままに、書いてみます。

演技力で絶賛されているのは、カラスとステッラが双璧でしょう。共通点は音楽と演技が密着している、そして顔の向き、手の表情、ただそれだけで大きくドラマをアッピールしています。

違いはカラスが全体の中のひとりとしての動きより、能でいうと「シテ」としての、絶対的な主役として存在感を示していることです。「ノルマ」「トスカ」などの映像から、仇役、恋人役などいつも彼女の動きが中心です。来日時のディ・ステファノとのリサイタルでもそう思いました。彼女はソロでも舞台を彷彿とさせる雰囲気を、強烈にだしてきます。

一方のステッラは登場時、華麗でそこはかとなく美しい雰囲気というエッセンスを香らせながら、その場のドラマにとけ込みます。決して「私が!」という強烈な主張はしませんが、聴衆はそこでただごとではない緊張感で引きこまれます。
さらに相手の歌を包み込み、受けとって自分の気持ちをごく自然に、音楽と共に出していきます。ヴェルディのヒロインの「理想的な」演技が憂いを含んだ声とマッチして、他をたてながら、自分の持てる魅力で包み込むのです。

トウッチは発声を助けるための演技、テバルディは女王として毅然たるものですが、お色気ゼロ、人畜無害の善良なプリマドンナです。

スコットもそう、カラスに「じゃがいも」といわれたそうですが、そのじゃがいも夫人で歌に全力投球、ダイエットしてからは60歳を過ぎてバレエのレッスンに通い、演技力に磨きをかけました。努力の人でしょう。

フレーニはオペラの東海林太郎、いつもまっすぐ前を向き、声をどこに響かせるかを考えています。彼女は自分の声質より大きな役を歌うことも賢明ですから知っています。声を響かせることが、まず第一なのです。それと正直に申し上げて「演技的センス」はゼロに近い、です。華奢だからわからないだけで、同じ位のゼロに近い演技力なのに大損をしているのがカバリエです。出てくるだけで「ごくろうさま」ですが、全盛期は声のツヤで受けいられていました。「大物然」にも見えました。
ところで、似たような体格なのに、わりときめの細かい女性らしさを感じさせるのが、ノーマン。彼女のジークリンデは良かったです。

オペラ歌手、テノール編、バリトン編も書いてみたいですね。つぎの機会にぜひ。
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屋根・壁の塗装で家の中でおとなしくしています。

2008年07月27日 | 生活・介護
 もう、あの橋下に悪態つくのも疲れ果てました。「泣いっとおる」「怒っとおる」「笑っとおる」なんて、おかしくって、あほらしくて!

工事、今日でもう一週間が過ぎました。この暑い日々、職人さんたちは大変なお仕事、そして私は家の回りをブルーのネットで囲まれ、雨戸も塗装のため閉めて、相撲を見ています。
でも、これも力が入りません。やはり朝青龍がいないと、あの闘志ムキダシの姿で盛りあがっていたのに・・・白鵬なんて面白くもない。安馬も負けるし・・・せめて琴欧洲に今日の千秋楽、結びの一番で白鵬をひっくり返してくれないかなあ、とぼやいています。

「ちりとてちん」先日、外伝<まいご3兄弟>が放送されました。泣かせますね。

オペラの放送がどれもこれもあんまりだから、それに島田雅彦さんという作家の「知るを楽しむ」の<オペラ偏愛主義>を見ましたが、この人、オペラの何たるかを全くご存知ない、受け狙いか勘違いか、惨めなものでした。本当に作家?作品は読みたくないですね。
作家といいますと、あの「こいつら」連発の室井佑月、ファッショナブルなかたですが、そしてこの坊やみたいな島田はん、どうも苦手です。
作品もトークもファッションなのでしょうか。

また、李白でも読もうかな、それとも吉川栄治の「スイコ傳」(未完ですが)でも・・・
最近見たテレビニュースで、中国の農民が近くにできた工場のばい煙のせいで果樹ができなくなった、と嘆いていて、「温家宝さま、どうか青い空をお返し下さい。」とみんな地面にひざまづいていた姿を見て、ああ、昔の時代と何も変わっていない、憐れな平民たち、そのうちに困窮した人々によって国土は大混乱になるかもしれません。
中国の歴史はいつもそうです。

ところでとても素敵なコメントを頂いています。
ミー様、ありがとうございます。
ステルラ賛美で偶然にもお友達になったのですが、このかたは東京のプリマドンナ、
もうまもなく15回目のリサイタルが開かれます。
「実力のある声楽家」と絶賛され、お弟子さんも多く、二期会で活躍なさっているかたもそのなかにいらっしゃいます。
うれしい出会いです。

あっ、白鵬勝ってしまった、もう、しっかりしてよ、琴欧洲!
しょうがないな、でも白鵬、強かった、あっぱれ!おめでとう
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教員採用試験不正、一方実力しか通用しないスカラ座の名歌手

2008年07月21日 | オペラ
 腐りきっていると思います。
何でもお金で買える、と思っている人たち、情けない限りです。
採用試験の不正なんて、あらゆるところにあるんじゃないか、とも思います。
そっくりかえって威張った口調の管理職、中味は何もない、上を向いてゴマスリ、下には威張り散らす、また、人にはえらそうに言っても、自分のしてきたことは最低、という人、親が教員で、というのはなぜか多いですね。
大学教授の子が大学に勤める、というのもざら。

でもどうしても、それが通用しないところがあります。
それは、かつてのミラノスカラの天井桟敷、客の態度は良くないけれど、オペラのすみからすみまで知っていて、カルーソは<清きアイーダ>の最後のbフラットの高音をピアニッシモで歌った、また第三幕の「サッチエルドーティ、イオ レスト アテ」(祭司たちよ、私はここに残ります)と英雄ラダメスの壮絶なフレーズ、ここをカルーソはひざまずいて歌った、とか・・・フルオーケストラでティンパニ連打でひざまずいて声で圧倒するのは至難の業、実際に見聞きしたファンが厳しい耳目で歴代のテノールを「採点」よりきつい「評価」をしてきました。

そしてコレッリはアリアの最後のbフラットの高音をピアニッシモならぬピアノくらいで歌い、ベルゴンツイは<イオ レスト アテ>をひざまずいて歌った、もちろんひとつの音も粗末に歌えば即ブーイング、デル・モナコは言っていました。「昨日まで完璧に歌っても、今ここでひとつでも失敗したら、何もないんだ」って。

天井桟敷のファンはこうして本物の名歌手を育ててきました。どんな経歴のある名歌手でも「その時その時」の本番の勝負、テバルディやシミオナートは「引退の日を待っていました。もう今日からぐっすり眠れるわ」と重圧から解放された喜びを言っていました。
名歌手にとっては、その日その日の「その日暮らし」だったのかも?
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なんて暑い日でしょう

2008年07月20日 | 生活・介護
 いちばん暑い昼間に市場に買物に行きました。
暑くても、いろいろな家事や用事はこなさねばならない・・・それどころか屋根の上に登って何時間も塗料を塗ったり、職人のかたも大変だなあ、と思います。
我が家も7月末まで屋根と外壁の塗り替え、職人さんは慣れているとはいえ、最近のこの暑さ、熱中症にならないように、冷たいペットボトルのお茶を出したり、氷入りのビニール袋を用意したり、何とか少しでも暑さをしのげたら、と思っています。

子供の時、夏休みになったら「絵日記」を書くことになっていて、毎日気温を記録していました。普通は28度で暑いなと思った日は30度でした。
暑いのは当たり前と思っていたし、毎日外で遊んでいました。
暑い日は、何もなかったけれどなつかしく幸福だった昔を思います。
やさしい母が忙しく台所で立ち働いていたことも・・・いつもきれいな優しい声で、話してくれていた、愛情のこぼれる声でした。
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オペラ、 高すぎる料金・・・

2008年07月19日 | オペラ
 今の入場料はびっくりするほど高いし、チケットの金額をきいて「ホテル宿泊食事付き?」と思ったものです。すると入場料金だけ

かつてフィレンツエでひとり、ふらっとオペラを見にいきました。テアトロ・コムナーレという近代的なオペラハウスで、すぐに窓口に並びました。
やっと私の番がきて、「今の座席はこれだけです」と座席表を示され、一階の真中、前から19番目の席を買ってみようと思い、値段をきくと係員は「最高の値段ですよ。あなたそれでいいですか?」と何度もきくのです。「だからおいくらなのですか」と尋ねると「いいのですか?」と念を押され、私も持ち合わせがあるのかしらと心配になってきました。
日本円で換算すると約2000円ほどでした。係員は「ほんとにこれでいいんですね」とさらにききます。持ってるわよ、それくらい!と私は気を悪くしました。

入ってみてビックリしました。私が買った席はピンクのベルベット総張りで肘掛のあるやわらかなソファでした。そう、応接室にあるようなふかふかのソファ。
ロングドレスのレディや正装の紳士たちがすわっています。
2000円でこんないい席にすわれるなんて。

主演はリッチャレッリとガラベンタのコンビによるロッシーニの「コリントの包囲」でした。終幕は大掛かりな舞台装置の建物の背景がくずれ落ち、驚きました。
これはすごい、観客はいっせいに大拍手、この時はじめてリッチャレッリを聴きました。
用心深く、丁寧に歌っていました。

幕間にロビーに出てワインを注文、優雅な気分でした。
イタリアではポリーニのピアノコンサートでも1000円を超えるとお客は買わずに帰るとききました。そのポリーニ、日本では二万円でした。

そういえば、日本でもタリアヴィーニのリサイタルが700円、デル・モナコのリサイタルは1000円、という良き時代がありました。
これをいっきにくずしたのが、カラスとピッポことディ・ステファノのジョイントリサイタル、一万円でした。
登場したカラスの乱暴な歩き方、でかい態度に見えました。ディ・ステファノはひたすら彼女に気を遣っていました。カラスの歌は声が割れ、全く響かない憐れなもので痛々しかったです。私の近くの席のひとは、「まだ歌うの・・・」とつぶやきました。

今のオペラは演出がひどい、といえば「表現の自由だ」と叱られるかも知れませんが・・・「アイーダ」が白人のキャリアウーマン風、「トロヴァトーレ」のレオノーラが自動車で登場、背景は工場地帯、「タンホイザー」の舞台は赤ペンキの落書き?だらけ。
「魔笛」は怪獣ショー。「ドン・ジョヴァンニ」もペンキの落書きだらけで、セットの壁にmorteなんてかきなぐっている!(フィレンツエの落書きなんてかわいいほう)
今はオペラに行くとひどいめにあう。お金は高いし、演出家の自己満足のような舞台、隙間風スースーと言う感じの張りのないゆるんだ声、たるんだテンポでオペラのスタイルを知らない指揮者、申し訳ないけれど、私は老親介護でどこにも行けないけれど、行きたいなんて思いません。家でかつての名演のDVDがありますもの。
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