オペラ歌手の素晴らしい高音は、ドキドキと期待大、ですね。
その期待していた高音が、声が割れたり、高音を避けて低くしたりすると、「なあんだ!」と肩透かしをくったような、損した気分になりますが、ここでは世界的な名歌手の高音のお話をしましょう。
1、パヴァロッティ・・・ドニゼッティ「連隊の娘」のテノールのアリアは難しいハイCが何度も出てくるので、それを歌える歌手が少ない。
しかし、パヴァロッティはこれが軽々できた。「サザーランドの歌っているのを真似た」と彼は言ったが、サザーランドといえば宝石のような美しい高音を出す名ソプラノ。自分のついている教師から、でなく共演のソプラノから、というところがパヴァロッティのすごいところ。彼の下手な演技力に関しては誰も期待していないが、高音が素晴らしく「キング・オブ・ハイC」と讃えられた。
2、フランコ・コレッリ・・・美男で女性に大人気、彼の高音は英雄的で力強いものだったにも関わらず、その高音の為の「準備体操」は、他の歌手が歌っている時でも、後を向いてさかんに「エヘン、エヘン」とせきばらい、相手のソプラノは怒ったがお客はコレッリの英雄的な高音にしびれた。
3、プラシード・ドミンゴ・・・彼は高音に恐怖心をいだいていた。特に「トロヴァトーレ」はハイCを長く伸ばす一発勝負。脇役のルイスを歌うテノールを呼び、床にひざまずき、涙を流して「高音の時、僕のかわりにそこだけ歌って下さい」と頼み込んだ。脇役のテノールは簡単にオーケーし、ほっとしたが、その時にその歌手はいなくなった。仕方なく、「排水の陣」でのぞみ、何とか成功。
しかし、メトロポリタンで「トゥーランドット」の時、見事に声がひっくりかえり
、そのままそれがDVDになっている。
4、ホセ・カレーラス・・・カレーラスもドミンゴに劣らず高音恐怖症だった。
あるパーティーでスペイン出身の先輩テノールのアルフレード・クラウスが、ご機嫌で呑み、食べていた。「ちょっと失礼、これからメトロポリタンで《連隊の娘》を歌うのでね」と、にこやかに言って帰ってしまった。そのオペラは10回以上ハイCを歌わなければならない難曲だった。カレーラスは呆然とした。
また、病気入院中、バリトンのカップッチッリが見舞いにきた。
カレーラスは名歌手カップッチッリに「高音が悩みです」と訴えた。するとバリトンのカップッチッリは高いBの音を思い切り長く伸ばして歌った。(病院ですよ)
「僕でも歌えるんだ。ましてテノールの君は絶対出来るよ」と。
カレーラスはうちのめされた。バリトンでも出るのに・・・って。
カップッチッリの見舞いは、かえってカレーラスを落ち込ませた。
5、高音を失ったカラス
マリア・カラスは高音から低音にかけて声域の広いソプラノだった。ところが「ルチア」のリハーサルで、高音がいくら歌っても出なくなっていたのだ。
他のオペラならともかく「ルチア」はソプラノの超高音を売り物にしている。
カラスはその超高音が楽音でなく、悲鳴になっているのを客にさとらせまいとして、ドラマの中の「悲鳴」にしたのだ。それでなんとか乗り切ったが、これ以後超高音のオペラを歌わなくなった。いつも「悲鳴」でドラマにすることなどできないからであった。
☆いかがでしょうか。世界的な名歌手であっても「高音」は恐怖なんですね。
パヴァロッティは悩みなし、ですね。でもドミンゴやカレーラスのふかーい悩みはどこか笑いを誘いますね。本人は必死ですが、特にカレーラスなんか大変なショックだったようで。
その期待していた高音が、声が割れたり、高音を避けて低くしたりすると、「なあんだ!」と肩透かしをくったような、損した気分になりますが、ここでは世界的な名歌手の高音のお話をしましょう。
1、パヴァロッティ・・・ドニゼッティ「連隊の娘」のテノールのアリアは難しいハイCが何度も出てくるので、それを歌える歌手が少ない。
しかし、パヴァロッティはこれが軽々できた。「サザーランドの歌っているのを真似た」と彼は言ったが、サザーランドといえば宝石のような美しい高音を出す名ソプラノ。自分のついている教師から、でなく共演のソプラノから、というところがパヴァロッティのすごいところ。彼の下手な演技力に関しては誰も期待していないが、高音が素晴らしく「キング・オブ・ハイC」と讃えられた。
2、フランコ・コレッリ・・・美男で女性に大人気、彼の高音は英雄的で力強いものだったにも関わらず、その高音の為の「準備体操」は、他の歌手が歌っている時でも、後を向いてさかんに「エヘン、エヘン」とせきばらい、相手のソプラノは怒ったがお客はコレッリの英雄的な高音にしびれた。
3、プラシード・ドミンゴ・・・彼は高音に恐怖心をいだいていた。特に「トロヴァトーレ」はハイCを長く伸ばす一発勝負。脇役のルイスを歌うテノールを呼び、床にひざまずき、涙を流して「高音の時、僕のかわりにそこだけ歌って下さい」と頼み込んだ。脇役のテノールは簡単にオーケーし、ほっとしたが、その時にその歌手はいなくなった。仕方なく、「排水の陣」でのぞみ、何とか成功。
しかし、メトロポリタンで「トゥーランドット」の時、見事に声がひっくりかえり
、そのままそれがDVDになっている。
4、ホセ・カレーラス・・・カレーラスもドミンゴに劣らず高音恐怖症だった。
あるパーティーでスペイン出身の先輩テノールのアルフレード・クラウスが、ご機嫌で呑み、食べていた。「ちょっと失礼、これからメトロポリタンで《連隊の娘》を歌うのでね」と、にこやかに言って帰ってしまった。そのオペラは10回以上ハイCを歌わなければならない難曲だった。カレーラスは呆然とした。
また、病気入院中、バリトンのカップッチッリが見舞いにきた。
カレーラスは名歌手カップッチッリに「高音が悩みです」と訴えた。するとバリトンのカップッチッリは高いBの音を思い切り長く伸ばして歌った。(病院ですよ)
「僕でも歌えるんだ。ましてテノールの君は絶対出来るよ」と。
カレーラスはうちのめされた。バリトンでも出るのに・・・って。
カップッチッリの見舞いは、かえってカレーラスを落ち込ませた。
5、高音を失ったカラス
マリア・カラスは高音から低音にかけて声域の広いソプラノだった。ところが「ルチア」のリハーサルで、高音がいくら歌っても出なくなっていたのだ。
他のオペラならともかく「ルチア」はソプラノの超高音を売り物にしている。
カラスはその超高音が楽音でなく、悲鳴になっているのを客にさとらせまいとして、ドラマの中の「悲鳴」にしたのだ。それでなんとか乗り切ったが、これ以後超高音のオペラを歌わなくなった。いつも「悲鳴」でドラマにすることなどできないからであった。
☆いかがでしょうか。世界的な名歌手であっても「高音」は恐怖なんですね。
パヴァロッティは悩みなし、ですね。でもドミンゴやカレーラスのふかーい悩みはどこか笑いを誘いますね。本人は必死ですが、特にカレーラスなんか大変なショックだったようで。