「歴史と法理のはざま~~尖閣史料最新報告」(いしゐのぞむ長崎純心大学准教授)
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講演ご趣旨 日本政府の公式見解は「尖閣は歴史的にも法的にも固有の領土」。日本の立場の前提は、1895年の閣議決定まで尖閣諸島は無主地であったということにあるが、中国側は史料を元にそれ以前から尖閣諸島は中国の領土であったと主張する。中国側の明清の史料は事実なのか虚偽なのか、日本側の尖閣史料はどんな歴史を描き出すか。近年の研究成果から、主な有力材料を提示し、語りかける。
八重山日報1月23日記事より ・・・石井氏は1594年に当時の明が編纂した公式書「籌海重編」(ちゅうかいじゅうへん)を紹介、同書では日本側の朱印船が福建沿岸の東湧(とうゆう、今の馬祖列島)を明の覇権が及ぶ境界線としたことが記録されていた。明は後の1617年にも尖閣諸島より中国寄りの西側に日中の境界線を設定し、日本に通告したことが、当時の文書「皇明実録」で既に知られている。石井氏によると、中国側史料で見られる尖閣諸島に関する最古の資料は、明の使者が琉球の役人の水先案内で尖閣に渡航したことを記す1534年の「使琉球録」。しかし同書ではそもそも台湾北方諸島と尖閣諸島を区別していなかった。その後の史料でも、尖閣諸島らしいとされる「釣魚ショ」を台湾北方諸島の一つとして誤認し続けている。
18世紀に入っても、1756年に琉球に派遣された大使全魁の渡海のさまを描いた清国の「奉使琉球図巻」で、尖閣諸島の位置を中国の国境線より東の琉球側に描いている。
一方、日本の朱印船時代の航路を記録した17世紀末の日本側史料、「按針術」(1696年、天理大学所蔵)には、尖閣諸島への航路が正確に記録されていることも石井氏の調査で新たにわかった。
石井氏は「当時、中国側にはそもそも尖閣諸島に対する認識自体が存在しなかった」と指摘している。
講演会は外務省の連携シンクタンク、日本國際問題研究所が主催した。石井氏は「『按針術』は,縦横両軸で尖閣の位置を捉えた衝撃的史料だ。今日は政府関係者や一流大学研究者ら満席の人々にこれらを披露できて幸いだった。今後も朱印船史料の研究をおおいに進めたい」と話した。(以上、八重山日報記事より https://www.yaeyama-nippo.co.jp/archives/4923 )
なお、この講演会の前に石井望長崎純心大学准教授はご自身のサイトに次のように書かれている。
福建の針路本『順風相送』には永樂元年(西暦千四百三年)の序文があるため、チャイナ側はこれを尖閣最古の史料だと主張し、尖閣發見命名の證としてゐる。いつもチャイナ側主張の劈頭に提示されるため近年注目されるやうになった。その虚構は以下五點により破られる。
〔甲 〕、書中の下卷に西暦千五百七十年ポルトガル人長崎開港及び千五百七十三年スペイン人マニラ築城が記録されてゐるため、成立年代はそれ以後である。
〔乙 〕、書中の總論、上卷、下卷はそれぞれ内容が異なり、呂宋澎湖鷄籠琉球長崎等の東航路を載せるのは下卷だけであり、總論にも載せない。永樂元年の原始形態は總論と上卷だけで成り、西暦千五百七十三年以後に下卷が追加されたと分かる。
〔丙 〕、上卷には繩を垂らして海底の泥を取ったり、緯度を計測した記録があるが、下卷には基本的に無い。航法そのものが上下卷で異なる。
〔丁 〕、原寫本の上下卷の分卷個所は葉を換へてをり、別の書の合裝だと分かる。
〔戊 〕、馬祖列島から鷄籠を經由せずに北方の彭嘉山に直航し、それから釣魚嶼に向かふ航路を載せる。この航路は他のチャイナ側の書に全く記載されず、同じ航路は琉球『指南廣義』にだけ記載される。琉球人の尖閣航路は北寄りだとの記録も歴代ある。琉球人側の尖閣情報が『順風相送』に採用されたと考へられる。
1 、西暦1981年八月十八日、日本駐英大使館の梅本和義書記官がオックスフォード大學に問合せ、奧原敏雄氏が來館して『順風相送』を閲覽する見込みと申し出る。
2 、同年秋冬の間、梅本和義書記官がオックスフォード大學に來館し、全本マイクロフィルムを委託作成。奧原敏雄氏自身は來館せず。マイクロフィルムは後に奧原氏、尾崎重義氏の手を經て現笹川財團島嶼資料センター藏。
3 、西暦1985年、内田晶子論文で上記の〔甲〕につき指摘。活字本にもとづく。内田晶子「向達校注『両種海道針経』中の「順風相送」について--16世紀における中国商船の針路 」、南島史学 (25・26), p98-114, 1985-09。 https://ci.nii.ac.jp/naid/40003949839 4 、〔戊〕の琉球人北寄り航路について、鄙見を平成二十四年(西暦二千十二年)十一月九日の八重山日報が第一面報導。
5 、同じく〔戊〕の詳細は、鄙作「尖閣釣魚列島雜説四首、順風相送は琉球人の航路だった」、 純心人文研究 (19), pp.220-193, 2013年二月。
https://docs.google.com/file/d/0B2MwcvRggQjpSnJWbkpHZ1ZwTVE/edit
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10486493
6 、〔乙〕〔丙〕〔丁〕につき、鄙作「オックスフォード寫本で新事實、1403年に釣魚嶼なし」、日本會議『日本の息吹』平成二十五年(西暦二千十三年)七月號(六月刊)。『順風相送』寫本フィルムから分卷箇所の書影を掲載。
その後も繰り返し鄙著雜篇で論及してゐる。
7 、平成二十六年(西暦二千十四年)三月二十一日より、香港海事博物館にてオックスフォード大學と共催「針路藍縷、牛津大學珍藏明代海圖及外銷瓷」特別展覽會、『順風相送』原寫本を展示。
8 、平成二十六年(西暦二千十四年)四月、オックスフォード大學インターネット頁で『順風相送』原寫本の全本書影を公開。
9 、平成二十六年(西暦二千十四年)六月七日八日、香港海事博物館とオックスフォード大學との共催《明代海洋貿易、航海術和水下考古研究新進展》國際學術會議開催。 順風相送も議論されるが新論點無し。鄙作についても論及無し。
10 、香港海事博物館刊『針路藍縷』に全本書影を收録。香港中華書局2015年11月13日出版、香港海事博物館2016年1月28日新書發表式典。
以上の内、平成二十五年(西暦二千十三年)六月の書影フィルムは島嶼資料センターから借して頂いた。深甚の謝意を表したい。八重山日報以外のマスメディアにも大きく報じるやう度々依頼し、記者會見を開くことも求めてゐるが、今まで報導無し。 香港と北京の虚構宣傳だけが効を奏し、日本は動かない。いつものことだ 。http://senkaku.blog.jp/2019011978790649.html
次のyoutube、大変痛快な石井先生のお話です。
『第13回オックスフォードの古地図でプロパガンダ①』いしゐのぞむ AJER2018.8.30(5)
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先生のサイトの解説も何度も「香港」 と書かれているが、石井望先生が香港大学にて講演 されたことについて書いておきたい。2017年11月の私のブログですが、このように書いています。
★ 以前にも石井望長崎純心大学准教授が香港大学にて講演されたことを当ブログでご紹介しましたが、今回チャンネルAJIERで報告をされています。(下記の動画、とても面白くユーモアたっぷりに話されています)
『石井准教授、香港への道場破り歴史戦報告①』 仲村覚 AJER2017.11.9(3)・・・(この動画、チャンネルAJERのyoutubeが何者かに消された時、youtubeでは見ることができなくなっている。今、チャンネルAJERの会員サイトで見ることができます。 http://ajer.jp/video/show/ec71dd6d864cf085dd3a9bb75d60cab7 )
なお、チャンネルAJIERにはこの続きもあって、それは「有料動画」になる。私は急遽この続編である動画を視聴した。それは大変感動的でスリリングなお話だった。香港の人たちは約90パーセントがチャイナからの独立を望んでいるが、実際にそれは不可能、また香港大学の首脳部は独立を願う学生たちとは相容れない。そこへ行かれて講演されたのだから、石井先生はその後も学者の精神で正論を仰ったのだが、はたして無事に帰国できるのか、もし拘束などがあればネットで拡散してほしいということをフェイスブックなどでお書きになっていた。いつ帰国されるかというのも《予定通りなのかどうかも)私たちは無事に帰国されるまで不安だった。三宅博夫人やドイツのクライン孝子女史も石井先生のご活躍を期待されるも心配され、無事に帰国されることを願っておられた。(本当によかった!!)
石井先生の勇気ある行動を今の政治家に示したい。またこの続きの有料動画で香港独立についてすごいことを思い切って仰っていて、大変感動した。残念ながらチャンネルAJIERの有料動画なので書けない。書けるときが来たらお知らせしたいと思う。(以上)
いしゐのぞむ氏ご略歴 戸籍名石井望。長崎純心大学准教授。昭和41年、東京都生まれ。平成12年、京都大学文学研究科博士課程学修退学。平成13年、長崎総合科学大学講師。21年より現職。担任講義は漢文学等。笹川平和財団島嶼資料センター調査委員。内閣官房委託尖閣資料調査事業特別研究員。著書『尖閣反駁マニュアル百題』(26年集広舍)、論文「大印度小チャイナ説」(霞山会『中国研究論叢』11)、「尖閣海域史辨妄」(長崎純心大『人間文化研究』15)など。史料監修『真実の尖閣史』(石平著、29年扶桑社)。
★ ところでチャンネル桜の下記の「討論」…虚しい思いで聴いた・・・私個人は内容はあまりない・・・と思った。悲しい気持ち。
【討論】自民党とは一体何だったのか? [桜H31/1/26]
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パネリスト: 荒木和博(元民社党本部書記局員・拓殖大学海外事情研究所教授) 岩田温(政治学者・大和大学政治経済学部専任講師) 加藤清隆(政治評論家) 篠原常一郎(元民主党・日本共産党国会議員秘書) 馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使) 三橋貴明(経世論研究所所長) 宮崎正弘(作家・評論家) 司会:水島総