「ピピッと第六感」というのは、デビュー曲「右向け右」のB面です。ただし私が初めて聞いたのはアルバムにて。それも「ひとみ…」がリリースされてから1stアルバムを聞いたので、石川ひとみさんがどういう歌手かよくわかってからでした。なので、B面としてこれを聞いた人とは感覚が違うかもしれません。ということで、この曲を語るに当たり1stアルバム「くるみ割り人形」の話から始めることとします。
このアルバムはかなり気に入ってますが、私なりに一言でいうと「ごった煮」。アルバムA面の1曲目が「くるみ割り人形」で、2曲目が「アリスのひとりごと」という曲。これはカントリーフレーバーの明るい曲で洋楽カバーらしいですがオリジナルは知りません。彼女の明るい声が全開なので、後のプリンプリンのキャラにも通じます。「プリンプリンの挿入歌だった」と言えば、騙される人も多いでしょう。
次が「サムシング・フォーリン・ダウン」という曲で、私は初めて聞いたときぶっ飛びました。ボサノバ風というかフレンチポップというか、あるいはバート・バカラックというか。(ああ、うまく言えない…) 曲といい歌唱といい、何よりアレンジが凄く良いです。(編曲は大村雅朗氏) この曲で一気にこのアルバムの雰囲気が変わります。アルバム曲ではありますが、今月発売される40周年記念のベストアルバムにも収録されてるので好きな人は多いでしょう。これを機会にいろんな人に聞いて欲しいです。なお、この曲の作詞・作曲は「小室とまと」となってますが、これは小室みつ子さんの筆名なんですね。この人はアルバムB面の「ショッキング・ブルー」では「松岡つばめ」という名前で作詞してます。なぜそんなことをしていたかは不明ですが…。
次の「雨に誘われて」は、歌謡曲っぽいとは一言でいえませんが岩崎宏美が歌いそうな感じの曲でこちらもかっこいいです。そんなこんなで方向性があっち行ったりこっち行ったりで、私の感想は「ごった煮」。ま、かなり美味しいごった煮ですが。
そしてA面最後が「ピピッと第六感」になるわけです。この曲のタイトルを初めて聞いた時は「右向け右と全然タイプが違うやんか!」と驚いたもので、「どういう曲だろう?」と関心を持たせるにはバッチリでした。
この曲は、作詞:三浦徳子/作曲:丹羽応樹/編曲:竜崎孝路という布陣。作曲の丹羽応樹さんは「ニワマサキ」と読みます。女性です。元々歌手でありソングライターでしたが、私のような石川県出身者はドラマ「こおろぎ橋」の主題歌を作って歌ったことでお馴染み。(とはいえ、「こおろぎ橋」よりは「ピピッと第六感」の方が発売は先ですが)
このドラマは樋口可南子さんのデビュー作でTBS系のポーラテレビ小説の1作でした。世間一般の評価では、「ドラマはたいしたことないけど歌はいい」というものだったかと。(失礼…) 丹羽さんはこのドラマの翌年またまた石川県を舞台にした「恋路海岸」というドラマの主題歌も歌ってました。この人はプロフィールによると「君こそスターだ」の審査員もやってたそうで、その縁で石川ひとみさんの曲を書いたのかもしれませんね。ちなみに、テレビで見たことはないですが、レコードジャケットで見る限り美人です。
ああいうしっとりした曲を歌ってた人が作った曲はどんなじゃろ?と思ったのですが、初めて聞いたときはあのピロピロしたピアノのイントロと歌の出だしを聞いて「あかんわ、これ」と思いました。何しろ歌詞が「パラパラパラ パラパラパ 土曜日の昼下がり チラチラチラ チラチラリ 心が覗いてる」ですから。が、聞いているうちにこれが快感になって。
好きなのはBメロというか「そうよ冗談まじりの~」からの部分で、歌詞はふざけてますが(失礼…こればっか)、アイドルの曲というのはこれくらいインパクトがあった方がいいのかもしれません。石川ひとみさんというとA面曲は失恋とか別れの曲ばっかですが、これは彼と出会って1週間も経っていない女子が嬉しくて浮かれまくってる脳天気な感じもいいし。(失礼…またまた)
実際いいメロディーだし、アレンジもバッチリです。ギターが凄くいい音ですが、これも松原正樹さんでしょうか。普通の人はなかなか聞く機会がないでしょうが、興味のある人はいろいろ探して聞いてみて下さい。
ということで、今回も長くなりましたが次回は「くるみ割り人形」です。