WOWOWのドラマ「フェンス」全5話終了しました。とにかく凄いドラマでした。そもそもの企画自体が大変だったろうと思いますが、脚本も素晴らしいし、セリフの一つ一つがグサッと来る場面が多くて、最後まで目が離せませんでした。
番組サイトによると「日本ドラマ史上初の肌の色の違う女性バディが、復帰50年を迎えた沖縄を舞台に性的暴行事件の真相を追う、エンターテインメント・クライムサスペンス!!」ということですが、このまとめ方はいかかなものかと。
とにかく舞台が沖縄であって、警察官の口から「日米安保条約は日本国憲法より上!」とかいう言葉がサラッと出てきたり、それこそフェンスの向こうに逃げ込まれたらどうにも手が出せない歯がゆさもリアルにあって、私はそういうところに引き込まれたものですが。
主演は松岡茉優で、キャバ嬢の前歴がある三流雑誌のライターという役柄。彼女といえばこぼれるような笑顔が印象的ですが、今回はとにかくその女性が憑依したような完璧な役作り。何も言わないシーンでも、怒りや戸惑いなどの感情がにじみ出てくる感じで、間違いなく彼女の代表作になりますね。
その松岡茉優演じるライターが取材で会ったのがカフェバー店主役の宮本エリアナで、本当に沖縄の人のように演じてましたが調べてみたら彼女は長崎の出身なんですね。驚きました。しかも、彼女の父親は米軍に勤務していた男性ということで、演じるに当たってはなかなかに複雑な心境もあったのではないでしょうか。
今回は警察官役の青木崇高のキャラ設定が絶妙で、ある意味ドラマのキーだったと思います。特に最終回ではしびれました。あとは光石研の適度に嫌な奴というのも存在感あって、今回の作品は登場キャラクターがドラマのシーン以外にも普通に沖縄で暮らしてるんじゃないの?と思わせるほどでした。
脚本は野木亜紀子で、「アンナチュラル」「MIU404」をはじめヒット作品多いですが、さすがの出来栄えでした。最終回は冒頭のおばあの言葉、精神科医役の新垣結衣のセリフ、最後の松岡茉優の一言など、全部文字に起こして常に壁に貼っておきたいくらいです。
とにかく良いものを見せて貰いました。絶対忘れないというか、ちょくちょく引っ張り出して見なければいけないドラマだと思ってます。すべての出演者、関係者にお礼を申し上げます。