テレ朝で放送してたドラマ。番組サイトによると「美味しい食事を、明るいキッチンで…! 【食の革命】で日本を変えた2人の女性の物語!!」というものですが、事前知識無く薬師丸ひろ子という文字だけに反応して録画しました。
二人の女性というのは、医師であり料理を通じて栄養学の研究家から教育者になった人と、キッチンに拘った建築家のこと。第一夜が医学と栄養学の話で主役は葵わかなさん、第二夜が公団住宅のキッチン設計で奮闘する話で伊藤沙莉さんが主役。葵わかなさんのその後の姿を薬師丸ひろ子さんが演じるということで、ドラマは薬師丸さんと伊藤さんの出会いの場面から始まりますが、それは戦後すぐの話であり、物語は遡って明治後期から始まります。
感想としては結構面白かったです。前半を見てて「もしや?」と思ったら、やはり葵わかなさんが演じた医師であり栄養学に進んだ女性は女子栄養大学の創始者でした。女子栄養大学はうちの最寄り駅の近所にありますので、なかなか身近な存在です。
それで、ドラマとしては第二夜のキッチンの建築設計の話の方が面白かったです。常識や慣例という壁を破る女性としての姿に若干エキサイトしました。
実際はこのドラマで描かれているよりは複雑な事情が多かっただろうし、いずれも女性医師としての先駆者だったり、女性での一級建築士のパイオニアというのは、苦労や迫害にまみれていたことでしょう。そういう意味で、ちょっと脚本のノリが軽かったような気はしますが、そこはそれドラマと割り切って楽しみました。(偉そう…)
葵さんも伊藤さんも熱演でしたが、第二夜の方は官僚と丁々発止のやり取りをする役柄なので、ハスキーボイスの伊藤沙莉さんは結構大変だったのではないかと思います。まあそういう部分も含めてのキャスティングであり、演出だったのでしょうね。
ただ、見ていて本筋とは別の部分でいろいろ思うところがありました。公団住宅を作る際に、「これまでの平均は12坪だったのが13坪にしたのが画期的だ。」というような官僚のセリフがあって、その時にそこを2倍くらいの広さの住宅にできてれば、もしかしたら今の世の中が変わったのではないかと思ったり。
すなわち4人家族で12坪の公団に住んでた人がその狭さに絶望したり、そこで育った人が自分は結婚しても子供はいらないとか一人でいいとか、そういう考えに至ってしまわなかっただろうかと。当時の日本人の収入からするとそこが限界だったという事なのでしょうが、それも含めて所得の底上げとか無理だったのだろうか、中抜きとか無駄な経費がなかっただろうか、その辺が今の世の中に繋がってないだろうか、とか考えてしまって。
あとは、白米のみ食べることが脚気に繋がるというのは、吉村昭先生の小説「白い航跡」でお馴染みの海軍軍医高木兼寛先生が明治中期には既に様々な発表を行っていたにも関わらず、大正時代になってもまだ解決されていなかったことにはもどかしさを感じたりということもあります。
と、そんなこんなですが、どちらの話も知らなかった世界なので楽しめました。ドラマとしては結構面白かったです。欲をいえばお色気が足らない…。←こればっか